これが「呼び込み君」です。
スーパーに行くと「♪ポポポポポ~ポポポポポ~」とやけに耳に残る音楽が流れていることがある。特に覚える気も無いのに、うっかり1コーラス口ずさんでいる自分にハッとする。
あの曲は「呼び込み君」というマシーンが流していると聞いた。そういえば白いボディをちらっと見たことがある。いったいどういう目的で作られた製品なのか。直接メーカーに話を聞いてきた。
1975年宮城県生まれ。元SEでフリーライターというインドア経歴だが、人前でしゃべる場面で緊張しない生態を持つ。主な賞罰はケータイ大喜利レジェンド。路線図が好き。
前の記事:「君はスタンディングオベーションを10分間続ける体力があるか」 人気記事:「スケートリンクを勘で0.2mm削る「整氷」の世界」 > 個人サイト 右脳TV 「スーパーだ」「ドンキだ」「焼き芋だ」いやそもそも「♪ポポポポポ~ポポポポポ~」って? という方もいるだろう。これを聞いたら「あぁ~!」と膝を打つはずだ。そして今日の夜ふと思い出して、延々と頭の中をループするはずだ。
デイリーポータルZの編集会議で「まずはこちらをお聞きください」とイントロクイズみたいな前振りで曲を流したところ、出席者全員が「あ-!」と声を挙げ、「スーパーで流れてる」「ドンキにあるよね」「焼き芋の売り場で聞いた」と目撃証言(耳だけど)が割れた。そんなにあちこち置いてあるの?
いったいこの「呼び込み君」は、誰がなにをきっかに作ったのか。真相を確かめるべく、我々取材班は群馬県に飛んだ。 東武鉄道 特急りょうもうに揺られること1時間半(赤のストライプがかわいい)
赤城駅から徒歩5分。群馬電機さんに到着
お話をうかがったのは「呼び込み君」の開発に携わった藤巻さん。商品開発部の取締役本部長である。
「呼び込み君」を製造販売している群馬電機株式会社の本社にお邪魔した。取材の場には既に呼び込み君がスタンバイされている。本物だ!
左:LED付き29,800円、右:LED無し 21,800円。手が「寿司ざんまい」なのは偶然です。
あっさりご対面である。藤巻さんも「これですね」といきなり「♪ポポポポポ~」を流してくれた。これですこれです……!
取材前「今日はかっちりした格好をしてきた」と、かしこまっていた編集部の古賀さんが、「こうしちゃいられない」とジャケットを脱ぐ。服単位の腕まくりを初めて見た。 思いのほか高機能まず驚くのが、呼び込み君の意外な高機能さ。ボディの裏面がこう。
裏はスイッチやツマミだらけ
正直、延々と曲を流し続けるだけの機械だと思っていた。それにしてはやたらツマミがある。右上の「人感知センサー 入/切」ってなんだろう?
「人が近づいたことを感知するセンサーがついているんです。センサーが人を感知したら、あらかじめ録音しておいた音声を流すことができます。お客さんが近くに来たときに呼び込むことができるわけです」 この黒い丸の部分がセンサー。感知距離は最大3m。
スーパーで「らっしゃいませ~らっしゃいませ~本日さんま1匹98円~」などと録音された声が流れていることがある。あれだ。あれも流せるのだ。
本体には「録音」のボタンがあり、アナウンスを直接吹き込むことができる。音質にこだわるなら外部マイク端子もある。音声は2パターン録音できてスイッチで切り替えられる。録音した音声が流れるときはBGMの音量が少し下がる……至れり尽くせりじゃないですか。 で、こうなったらやらせていただくしかない。 録音ボタンを押しながら吹き込みます。最大約90秒までいける。
はしゃぎすぎて、「豚肉100グラム98円」「ニュージーランド産キウイフルーツ1袋398円」など、ありもしない目玉商品を量産してしまった。なんだ「とんがりコーンつかみ取り」って。指一本一本に指すのか。
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