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山中伸弥氏が“寄付”を募る弊害も…京大准教授が語る「研究費事情」

長倉克枝AERA

ノーベル賞を受賞したことで、国の研究予算がつきやすくなったが…(※写真はイメージ)

ノーベル賞を受賞したことで、国の研究予算がつきやすくなったが…(※写真はイメージ)

 (c)朝日新聞社

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 ノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥氏が、クラウドファンディングで研究活動資金を募っていることをご存じだろうか? 国による研究費の予算配分が影響しているというのだ。同研究所特定准教授の八代嘉美さんに聞いた。

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 2012年にCiRAの山中伸弥所長がノーベル賞を受賞したことで、iPS細胞の臨床応用に国の研究予算がつきやすくなり、実用化が加速した。それ自体はよかった。

 一方で、課題も残した。

 ひとつは、国の実用化政策が戦略性を欠いていたことだ。

 実際の治療につながる開発を進めた一方で、実用化に不可欠な、安全性や規制の研究の重要性が認識されず、十分な人や予算が確保されなかった。iPS細胞の臨床応用第1例目となった加齢黄斑変性症の臨床研究では、ここが足かせになった。

 研究費の予算配分で国が「選択と集中」をしてしまったことも疑問だ。

 大学の管理費や人件費の元となる「基盤的経費」が削減され、研究者は公募に応募して競争的資金を得る必要がある。

 だが、国からの研究費でも企業の製品開発のようにあらかじめ最終成果が規定され、進捗(しんちょく)管理も厳密な「委託研究事業」という研究費が増えて、萌芽(ほうが)的な研究をしにくくなった。そのため、臨床応用を目指した研究に偏りがちになった。


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