新燃岳の噴火続く 噴石や火砕流に警戒を

新燃岳の噴火続く 噴石や火砕流に警戒を
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鹿児島と宮崎の県境にある霧島連山の新燃岳では、噴煙が一時火口から2000メートルの高さまで上がるなど噴火が続いています。気象台は噴火警戒レベル「3」を継続し、火口からおおむね2キロの範囲で大きな噴石や火砕流に警戒するよう呼びかけています。
福岡管区気象台によりますと、11日、平成23年以来となる噴火が発生した霧島連山の新燃岳は、12日午前11時には黒っぽい噴煙が11日からの観測で最も高い火口から2000メートルまで上がりました。

また、噴火に伴う「鳴動」と呼ばれる音が聞こえたということです。噴火はその後も継続していますが、午後3時の時点で噴煙は火口から400メートルの高さとなっています。

気象台は今後より規模の大きな噴火が起きるおそれがあるとして、噴火警戒レベル3の火口周辺警報を継続し、火口からおおむね2キロの範囲で噴火に伴う大きな噴石や火砕流に警戒するよう呼びかけています。

また、火山灰は12日夜にかけて、宮崎県小林市や鹿児島県霧島市でやや多く降ると予想されていて、気象台は火山灰や小さな噴石にも注意するよう呼びかけています。

専門家 長期化や活発化の可能性も考え対応を

新燃岳の噴火活動について、火山噴火予知連絡会の前の会長で東京大学の藤井敏嗣名誉教授は「午前中は噴煙が高く上がり、このまま噴火が激しくなるかとも思ったが、午後には再び低くなった。ただ、こういった状況を繰り返すことはありうるので、これで即、安心とは言えない。山の膨張を示す地殻変動も続いているので、地下のマグマが断続的に供給され、今後、爆発的な噴火を起こす可能性もある。採取した火山灰の詳しい分析を進め、地殻変動などを注意深く監視する必要がある」と指摘しています。
そのうえで、「噴火に伴って『鳴動』と呼ばれる音が聞こえているようだが、こうした音が大きくなったり、噴火が激しくなったりするなど、短時間で火山活動が変化する可能性があり、早めに対策を取る必要がある。火山の近くにいて、こうした活動の変化があった場合に不安を感じるようであれば、念のため避難場所に行くなどの対応も取ってもよいと思う。噴火活動が長期化や活発化する可能性もあると考え、今後、気象庁が出す情報に注意してほしい」と話していました。

清掃車や散水車が出動

新燃岳のふもとの宮崎県高原町では、12日朝から清掃車や散水車が出て、道路に積もった火山灰を取り除く作業を行っています。

作業を行っているのは宮崎県や町などが手配した清掃車や散水車、合わせて5台です。町内の道路では、清掃車が側面についたブラシのようなものを回して路肩にたまった火山灰をタンクに回収していました。

畜産農家「早く活動が収まってほしい」

新燃岳のふもとの宮崎県高原町では、6年前の噴火の際に一部の地区で避難勧告が出されました。当時、子牛を処分せざるをえなかった地元の畜産農家は「早く活動が収まってほしい」と願いながら山の動きを見守っています。

高原町蒲牟田の畜産農家、反田吉己さん(65)は、新燃岳の火口から東に6キロほどにある牛舎でおよそ70頭の牛を飼育しています。11日からの噴火で牛舎の周辺では断続的に火山灰が降り、鼻をつくような硫化水素の臭いも立ちこめているため、反田さんは牛がストレスを抱えないか不安に感じています。

また、反田さんは、6年前の新燃岳の噴火で、牛舎が避難勧告の範囲に含まれたため、飼育していた牛を隣の小林市まで避難させました。当時は、みずからが避難した町内の避難所から小林市の牛の避難場所に頻繁に通い、心配のあまり牛のそばに寝泊まりしたこともあったということです。それでも、牛の避難場所が十分確保できず、数頭の子牛を処分せざるをえませんでした。

反田さんは「新燃岳の噴火で6年前を思い出しました。子牛を処分することはもう二度としたくないので、火山活動が早く収まってほしいです」と話しながら山の方向を見つめていました。

農業用ハウスにも降り積もる

新燃岳の火口から8キロほどのところにある高原町蒲牟田では、農業用ハウスの屋根に火山灰が降り積もりました。このままではハウスの中の農作物に十分に日が当たらなくなるため、要請を受けたJAの職員が送風機で火山灰を吹き飛ばす作業を行っていました。

農業用ハウスできゅうりを栽培している久保田恭平さん(34)は「灰がかぶったままだと、きゅうりの成長や収穫作業に影響します。できるだけ早く灰を取らないといけないと思い、お願いしました」と話していました。

また、同じ地区にある米農家では、農機具の修理に追われていました。降り積もった灰の影響で、稲を刈るときに使用する機械の動きが悪くなってしまったということです。米農家の男性は「灰が詰まってしまったようだ」と話し、工具を使って黙々と修理していました。

新燃岳の噴火続く 噴石や火砕流に警戒を

鹿児島と宮崎の県境にある霧島連山の新燃岳では、噴煙が一時火口から2000メートルの高さまで上がるなど噴火が続いています。気象台は噴火警戒レベル「3」を継続し、火口からおおむね2キロの範囲で大きな噴石や火砕流に警戒するよう呼びかけています。

福岡管区気象台によりますと、11日、平成23年以来となる噴火が発生した霧島連山の新燃岳は、12日午前11時には黒っぽい噴煙が11日からの観測で最も高い火口から2000メートルまで上がりました。

また、噴火に伴う「鳴動」と呼ばれる音が聞こえたということです。噴火はその後も継続していますが、午後3時の時点で噴煙は火口から400メートルの高さとなっています。

気象台は今後より規模の大きな噴火が起きるおそれがあるとして、噴火警戒レベル3の火口周辺警報を継続し、火口からおおむね2キロの範囲で噴火に伴う大きな噴石や火砕流に警戒するよう呼びかけています。

また、火山灰は12日夜にかけて、宮崎県小林市や鹿児島県霧島市でやや多く降ると予想されていて、気象台は火山灰や小さな噴石にも注意するよう呼びかけています。

専門家 長期化や活発化の可能性も考え対応を

新燃岳の噴火活動について、火山噴火予知連絡会の前の会長で東京大学の藤井敏嗣名誉教授は「午前中は噴煙が高く上がり、このまま噴火が激しくなるかとも思ったが、午後には再び低くなった。ただ、こういった状況を繰り返すことはありうるので、これで即、安心とは言えない。山の膨張を示す地殻変動も続いているので、地下のマグマが断続的に供給され、今後、爆発的な噴火を起こす可能性もある。採取した火山灰の詳しい分析を進め、地殻変動などを注意深く監視する必要がある」と指摘しています。
そのうえで、「噴火に伴って『鳴動』と呼ばれる音が聞こえているようだが、こうした音が大きくなったり、噴火が激しくなったりするなど、短時間で火山活動が変化する可能性があり、早めに対策を取る必要がある。火山の近くにいて、こうした活動の変化があった場合に不安を感じるようであれば、念のため避難場所に行くなどの対応も取ってもよいと思う。噴火活動が長期化や活発化する可能性もあると考え、今後、気象庁が出す情報に注意してほしい」と話していました。

清掃車や散水車が出動

新燃岳のふもとの宮崎県高原町では、12日朝から清掃車や散水車が出て、道路に積もった火山灰を取り除く作業を行っています。

作業を行っているのは宮崎県や町などが手配した清掃車や散水車、合わせて5台です。町内の道路では、清掃車が側面についたブラシのようなものを回して路肩にたまった火山灰をタンクに回収していました。

畜産農家「早く活動が収まってほしい」

新燃岳のふもとの宮崎県高原町では、6年前の噴火の際に一部の地区で避難勧告が出されました。当時、子牛を処分せざるをえなかった地元の畜産農家は「早く活動が収まってほしい」と願いながら山の動きを見守っています。

高原町蒲牟田の畜産農家、反田吉己さん(65)は、新燃岳の火口から東に6キロほどにある牛舎でおよそ70頭の牛を飼育しています。11日からの噴火で牛舎の周辺では断続的に火山灰が降り、鼻をつくような硫化水素の臭いも立ちこめているため、反田さんは牛がストレスを抱えないか不安に感じています。

また、反田さんは、6年前の新燃岳の噴火で、牛舎が避難勧告の範囲に含まれたため、飼育していた牛を隣の小林市まで避難させました。当時は、みずからが避難した町内の避難所から小林市の牛の避難場所に頻繁に通い、心配のあまり牛のそばに寝泊まりしたこともあったということです。それでも、牛の避難場所が十分確保できず、数頭の子牛を処分せざるをえませんでした。

反田さんは「新燃岳の噴火で6年前を思い出しました。子牛を処分することはもう二度としたくないので、火山活動が早く収まってほしいです」と話しながら山の方向を見つめていました。

農業用ハウスにも降り積もる

新燃岳の火口から8キロほどのところにある高原町蒲牟田では、農業用ハウスの屋根に火山灰が降り積もりました。このままではハウスの中の農作物に十分に日が当たらなくなるため、要請を受けたJAの職員が送風機で火山灰を吹き飛ばす作業を行っていました。

農業用ハウスできゅうりを栽培している久保田恭平さん(34)は「灰がかぶったままだと、きゅうりの成長や収穫作業に影響します。できるだけ早く灰を取らないといけないと思い、お願いしました」と話していました。

また、同じ地区にある米農家では、農機具の修理に追われていました。降り積もった灰の影響で、稲を刈るときに使用する機械の動きが悪くなってしまったということです。米農家の男性は「灰が詰まってしまったようだ」と話し、工具を使って黙々と修理していました。