結婚75年の夫婦含め死者21人に カリフォルニア州山火事
米西海岸カリフォルニア州史上最悪の規模となった山火事で11日、確認された死者数は21人に上った。結婚75周年を祝ったばかりの夫妻も犠牲になった。
同州ソノマ郡などで相次いだ合計22件の山火事によって、2万6000ヘクタールと建物3500棟が焼失した。
チャールズ・リッピーさん(100)と妻のサラさん(98)は、そのなかで亡くなった。夫婦の息子たちが米紙ニューヨーク・タイムズに語ったところによると、夫妻はウィスコンシン州出身で出会いは小学校だった。
深刻な被害を受けたソノマ郡当局によると、いまだ380人が行方不明だ。ロバート・ジョルダーノ保安官によると、行方不明者は670人。状況は絶えず変化しているという。
保安官によると、一時安否が分からなかった約150人がすでに見つかっている。行方不明者名簿の情報を更新していない人も、中にはいると思われる。
11日には風向きが変わったことを受けて、さらに避難命令が出された。ナパ郡では人口約5000人のカリストガ町全体に避難命令が出された。警察はこの地域へ向かう車両を交通停止にした。
「父は母の寝室の方へ」
リッピー夫妻はナパ郡の自宅で8日に亡くなった。火の手が急速に広がり、2人は自宅から出られなかった様子。
長男マイク・リッピーさん(71)によると、がれきとなった自宅内で、お互いのそばに倒れていた2人の遺体をマイクさんと弟が10日に発見したという。
「僕たち兄弟は、両親の片方が死んで片方が生きていたらどうなるのだろうと、よく話していた」とマイクさんはニューヨーク・タイムズに話した。
「離れ離れになるなど、考えられない人たちだった。一緒に亡くなったのは、もしかしたら2人の希望通りだったかもしれない」
小学校で知り合った夫妻は、ウィスコンシン大学で学んだ。チャールズさんが第2次世界大戦で海外へ派遣される前、1942年に結婚した。
夫妻は5人の子供と、ナパ郡の自宅で35年暮らしていた。
マイクさんによると、チャールズさんはサラさんの部屋に向かっている時に、煙と炎に飲み込まれたようだ。
「もちろん父が母親を置いておくはずなどない」とマイクさんは話した。
山火事は、カリフォルニア州の歴史上最大規模の被害をもたらしており、煙は約100キロ南のサンフランシスコにまで達した。
死者のうち11人がソノマ郡で見つかったが、当局によると530人がまだ行方不明。ただし、居場所が確認できないのは、避難の混乱が原因の可能性もある。。
行方不明になっている人たちの家族や友人たちが、ソーシャルメディアで行方を探す一方、当局は行方不明の住民たちに、ソーシャルメディアの安否確認機能で無事を知らせるよう促している。
カリフォルニア州消防局の広報担当ヘザー・ウィリアムズ氏は米紙ロサンゼルス・タイムズに、メンダシーノ郡で6人、ユバ郡で2人、ナパ郡で2人が死亡したと話した。
ソノマ郡サンタローザ市では、ヒルトン・ホテルとトレーラーハウス用駐車場が焼失した。当局によると、ソノマ郡では数十万人の住民が避難している。
地元紙プレス・デモクラットによると、サンタローザ市の丘陵地帯で暮らすピーター・ラング氏(77)は、自宅を守るか、自分が経営する野生保護施設サファリ・ウェストで身動きが取れなくなっている1000頭以上の動物を救うかで板挟みになった。
ラング氏によると、動物は1匹たりとも犠牲にならなかったが、自宅は全焼した。
被災地では9万1000棟の住宅や事業所が停電している。カリフォルニア州のジェリー・ブラウン知事は、ソノマやナパを含む7つの郡に非常事態宣言を発令した。
ドナルド・トランプ米大統領も緊急災害地区の指定を承認した。連邦政府から復旧支援予算が割り当てられる。
(英語記事 California wildfires kill 21 including elderly couple)