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ロストテクノロジ研究会 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2017-08-09

ネット上のレビューに驚く。誰も『合身戦隊メカンダーロボ』の真実に気付いてない。「さすらいの星ジミー・オリオン」二度と帰れぬ故郷の空とは。Add Starmoikai

00:56 | ネット上のレビューに驚く。誰も『合身戦隊メカンダーロボ』の真実に気付いてない。「さすらいの星ジミー・オリオン」二度と帰れぬ故郷の空とは。を含むブックマーク ネット上のレビューに驚く。誰も『合身戦隊メカンダーロボ』の真実に気付いてない。「さすらいの星ジミー・オリオン」二度と帰れぬ故郷の空とは。のブックマークコメント

地球より500光年離れたガニメデ星。公害汚染が深刻化し、住民たちの健康にも被害が生じ始めた頃。皇女メデューサは2歳になる赤子ジミーを避難カプセルに封じ込め、自然環境がわずかに残る地球に向けて送り出した。ガニメデ星の住民が全て生体改造され国家としての体をなさなくなる以前に。

合身戦隊メカンダーロボ』は、リアルロボットストーリーである以前に、公害に汚染された故郷を棄てざるを得なかった人々の話なのである。

毎回、エンディングに曲が流れる。

二度と二度と帰れぬ故郷の空

 いまじゃ仲間のいまじゃ仲間の心が故郷

放送当時。その数年前まで。日本は公害列島だった。水俣病四日市スモッグ、カネミ油イタイイタイ病。毎日それらの話題がテレビでも新聞でもメインであった。テレビはジャーナリズムの世界だった。社会悪を暴く。1980年代に入って漫才ブームが生じる以前にはテレビにはバラエティ番組はなかった(少なかった)。スポーツの話題が過剰に世間を占めるなんて、1984年ロサンゼルスオリンピック以前にはなかったのである(オリンピックは以前は早朝時差のある時間帯にNHKとかだらだら流してる超地味な番組だった。ショーアップの要素はゼロだった。コマーシャリズムが入る以前は本当にアマチュアの祭典だった)。

そんな時代に放映されていた数々の変身ヒーローもの、スーパーロボットもの。つまり1970年代の子供番組。

敵対するものは公害であり(『宇宙猿人ゴリスペクトルマン』)人間の我欲であり(『正義のシンボル コンドールマン』)日本を狙う犯罪組織だ(『愛の戦士 レインボーマン』)。ドキュメンタリーが取り上げるリアルな対象なのだ。その時代の末尾に作られたスーパーロボット作品である合身戦隊メカンダーロボ

メデューサとジミーの親子関係は当時の子供視聴者はわかっていた。

あれは田舎で居住環境を破壊され家族がばらばらになり都会に出て来ざるを得なかった、熊本県三重県新潟県、あるいはその他諸々の、日本の見棄てられた土地の人々の物語だったのである。

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放送当時。日本の産業構造が変化し、第三次産業へのシフトが生じて膨大な人数が首都圏に集まってきた。これを受容するように1970年代に大規模団地が続々と形成された。地縁も血縁もない人々が1箇所に住む。互いの理解は予め存在しない。団地の人口密度は平家建より高い。しかも家族形成直後の世代だ。同じ年頃の互いに面識のない小学生中学生が近所の小中学校に通う。これは過去の日本社会にはなかった状況なのである。

そこでこう歌うのだ「いまじゃ仲間の心が故郷」。

わかりますよね!? そして、素晴らしいですよね!!

これが当時の物語『合身戦隊メカンダーロボ』なのである。

※内容が子供向けと言うなかれ。子供たちにとっては、細かいストーリーなんかより「大型魚雷ジョーズ」の腹部に「小型魚雷コバンザム」が合体し、敵に突入することに意味がある。学校の休み時間に、どれだけそういうごっこ遊びに興じれるかが、TVマンガの本質なのだった。

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ちょっと自画自賛しちゃいますが今回のこのレビュー最高だよ。いまでは忘れられた当時の真実を突いてる。それ以降のロボットものである『ガンダム』は確かに素晴らしい。それは物語内部だけで世界像が完結し、より"ポータブル"な構造となっている(可搬性が増している。現代見ても意味が通じる。海外で見ても意味が通じる)。

しかし『メカンダーロボ』、あるいは『レインボーマン』『コンドールマン』『スペクトルマン』は、その当時の視聴者でなくては理解は不可能なのだ。

日々放送される田舎の疲弊、公害、犯罪、社会問題。自分たちの周囲に存在する悲観的な状況。それらとリアルに対決する(あるいはリアルに苦悩し自問自答する)スーパーヒーローこそ彼らなのであった。

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実を言うとこの事実に私が気づいたのもつい最近なのである。

子供たちにロボットの話を聞く「どんなロボットあるのか教えてね。大人だとロボットって聞いたら、昔あった『合身戦隊 メカンダーロボ』なんて書いちゃうから」。

そしたらお母さんの一部がいきなり「きゃはははははww!!」と笑い出したのだ。保護者の意表を突いたと同時に、母親自身『メカンダーロボ』を覚えていたことに私は驚いたのである。

マイナーな作品て思ってたのに知られていたのだ。当時の子供の心をつかんでいた。

常々「おたく」的存在を其処彼処で批判している私である。

しかし実は東京に出てきて、その「おたく」という指摘の意味するところを深く知りはじめたのも実はいまなのである。

盆休みに田舎に帰省する。一族で会い、会話し酒を飲み、先祖の墓に詣でる。それは家族が破壊されなかった人々の話だ。安定した世界に住む人々の話だ。

家族構造が破壊された人々は大勢いるのである。

彼らは盆に帰省するところをもたない。二度と帰れぬ故郷の空なのである。代わりに彼らが向かうのは東京だ。日本中で帰省する人々の車が大渋滞を引き起こしている間に彼らは逆方向に向かう。ひょっとするとそれは東京湾岸であるかもしれない。晴海で、幕張で、お台場であるのかもしれない。

嗚呼(ああ)。私は知らなかった。

アニメーションは新たな紐帯を作り、寄る辺なき人々を救済したのであった。

アニメがなかったら「大変!!」でしたよ。おそらく。これ本当。

もしかするとその直前まで各地で行われていた若年者相手の政治活動に巻き込まれていたかもしれない。中高生から暴力的革命活動に興じる人々がいたのだ。

彼らの活動も公害企業主に劣らない欺瞞である。USO800である。異常な内容である。しかし例えばキリスト教の一教派が当時の小中学校の校門付近で布教活動を繰り返していたように、寄る辺なき民を狙う存在は続々いた。

その場に、超健全な「スペクトルマン」「レインボーマン」「コンドールマン」「メカンダーロボ」ですよ!!

公害企業、暴力革命テロリスト宗教関係者を一掃ですよ!!

大型魚雷ジョーズ&小型魚雷コバンザムで、悪の関係者を粉砕ですよ!!

ジョーズとコバンザムを発射してれば彼らが寄り付くことはない。子供たちは精神的な武器を手にしたのだ。大人たちは「ははははは!」と笑っていたが(子供遊びと思っていたが)そんな精神的支柱により、不健全な汚染された思考と距離を置くことができたのである(常にスカウトされる対象としてみられている「寄る辺なき民」でも「子供」でも)。

合身戦隊メカンダーロボ OP&ED [STEREO]

70s anime 視聴回数 12,286 回

2017/03/03 に公開OP:トライアタック! メカンダーロボ

作詞:保富康午 / 作曲・編曲:渡辺宙明 / 歌:水木一郎、コロムビ アゆりかご会

ED:さすらいの星 ジミー・オリオン

作詞:保富康午 / 作曲・編曲:渡辺宙明 / 歌:水木一郎こおろぎ'73

https://www.youtube.com/watch?v=Ajm2Fc0-WcM

D

『メカンダーロボ』に存在する各種先進技術も魅せる。

空母キングダイヤモンドに存在するスキージャンプ式甲板。静止軌道上に存在し衛星コンステレーションを形成する放射線を感知するオメガミサイル衛星群。

これらは10年後20年後、各国の空母GPS衛星等によって実用化された技術である。

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