『革命のファンファーレ ~現代のお金と広告~』は発売1週間で10万部を突破した。
IMG_20171011_163611_857.jpg
この本に書いたのは推測でも何でもなく僕の《体験談》なので、普段から僕の活動を細かく追いかけてくださっている方なら、知っていることばかりだ。

僕はそれでいいと思っているし、なにより、普段、肩身の狭い思いをしている僕のファンの人達を肯定する為には、自分達が面白がっているものをこうして外に出した時に圧倒的な結果が出ることを証明したいので、それがいいと思っている。
音楽の『ベストアルバム』的なものだと考えていただければ。

"インターネットの星の数ほど転がっている僕が提供した情報の中"から、僕が特に力をいれている情報だけを選び回収するコストよりも、本一冊(ベストアルバム)のコストの方が圧倒的に安いので、それでいい。それがいい。


『革命のファンファーレ』では、今年1月におこなった『えんとつ町のプペル』の無料公開についても言及している。

無料公開した理由は二つ。
①お金を出せない子供に届けたいから。
②業界全体のことを考えても、もう無料公開を受け入れる段階にきているから。

今回は、主に②について書いた。
このブロックについては、かなり多くのページを割いていて(紙の本の良いところはまさにココ!重要度が面積(ページ数)で可視化される)、それを全部語ると長くなるので、今日は無料公開について言及したブロックの冒頭部分を無料公開したいと思う。

続きが気になった方は本を購入していただくか、誰かがブログに勝手にアップしているであろう『革命のファンファーレ』の無料公開ブロックのコピペを探しだしてくださいな。

それでは、どうぞ。
『革命のファンファーレ ~現代のお金と広告~』から一部抜粋、「無料公開を批判する人間に未来はない」です。


━━━━
無料公開を

批判する人間に

未来はない。

 

 

 

 

 

 

無料公開を批判する人間の矛盾点

 

 2017年1月19日。

 『お金の奴隷解放宣言』と題して、絵本『えんとつ町のプペル』の全ページをインターネット上で無料公開した。

 これには、大変な賛否両論が巻き起こり、中でもイラストレーターさんや漫画家さんといった絵を描くことを生業にされている方からの批判が目立った。

 

 主だった批判は、以下のとおり。

 

 ・「価値があるものを無料にしたら、今後、同じようなものにお金を払ってもらえなくなるじゃないか!」

 

 ・「無料が当たり前になってしまったら、業界にお金が落ちなくなって、業界が疲弊する!」

 

 ・「労働に対してお金を支払ってもらうのは当然の権利だ!無料はおかしい!」

 

 ・「お金を貰って働いている我々は、お金の奴隷なのか!」

 

いずれも、なんだか正論っぽい。こうした意見が続々"無料アプリ"のツイッターで届いた。

言うまでもないが、「無料許すまじ!」の声を上げられたこれらの方々は、ツイッター社には1円も払っていない。

当然、そのニュースを仕入れる際に利用したGoogleYahoo!にも1円も払っておらず、彼らの言う「労働に対してお金を支払うべき」というルールを、彼ら自身が盛大に破っている。

本当は、ここで話は詰んでいるのだけれど、当時、それでもご納得いただけない方が多かったので、もう少しだけ。

 

テレビも無料公開

 

ちなみに、とある声優さんと、その声優さんの数万人の熱狂的ファンの方からは、「作品を無料公開してしまうと、『作品にお金を払う』という意識が薄まり、子供の教育上良くない!」というご指摘を受けたが、声優さんの主戦場であるテレビアニメーションは、半世紀以上前から無料公開だ。

日本テレビやフジテレビの地上波放送にお金を払っている個人がいたら、是非、御紹介いただきたい。

 

番組の制作費(声優さんやスタッフさんのギャラ)を支払っているのは、番組スポンサーで、視聴者は無料でテレビアニメーションを視聴している。

その中で、一部の視聴者が、そのアニメの映画や有料イベントや有料放送やグッズ、さらには番組スポンサーが流したCMの商品を購入する。

その売り上げが番組スポンサーに入り、またテレビアニメーションを無料で視聴することができる。

御覧のとおりテレビアニメーションは無料公開の形をとっているが、しかしお金の流れは止まっていない。

 

ここがポイントだ。

 

価値がないモノ(ゴミ)を無料で提供しても、お金は発生しない。

価値があるモノ(無料ではないモノ)を無料公開しているから、ファンが生まれ、巡り巡って、その声優さんにお金が落ちているけだ。

テレビは「無料公開をして、ユーザーを増やして、そのうち100人に1人でいいから、お金を払ってくれる人がいたら、売り上げが上がるよね」と判断したから、無料公開に踏み切ったわけだ。

 

無料公開は時間差でお金が発生している

 

ツイッターにしても、我々は直接ツイッター社にはお金を払っていない。

しかし無料にすることで、より多くの人に利用してもらい、"多くの人が利用している"という価値を生み、広告枠その他で売り上げを上げている。

GoogleYahoo!も「無料にした方が売り上げが伸びる」という判断だ。

一見無料のようだが、その実、マネタイズのタイミングを後ろにズラしているだけの話。

入り口を無料にすることで、更に大きな見返りを狙っている。時間差でお金は発生しているのだ。

 

こういったお金の流れについて学ぶことを放棄し、「お金を貰って働いている我々は、お金の奴隷なのか!」と目クジラを立ててしまう方に対しては、「はい」としか言いようがない。

「全てのサービスには、利用したその瞬間にお金を支払うべきだ」ということが常識となっている人からは、当然、入り口が無料のツイッターやGoogleYahoo!やテレビといったアイデアは出てこない。

『自分の意思』ではなく、『お金』によって、選択肢が狭められ、行動が抑制されている。そして、そのルールの外に出ようともしない。

これを『お金の奴隷』と呼ばずして、何と呼ぼうか。

 

さてだ。

まず、事実として受け止めておかなければならないことは、『えんとつ町のプペル』は無料公開後、売り上げが伸び、給料契約であったスタッフの皆さんに「ボーナス」という形で更にお金が落ちたということだ。

当然、〝無料公開していなかった未来〟と比べているわけではないので、無料公開していなくても、同様(もしくは、それ以上)の売り上げが出ていた可能性もあるが、少なくとも「無料化してしまったら、お金が落ちなくなる」という言い分は、この時点で正当性を失った。

 

自分の本を売りたいのなら、ライバルの作家の売り上げに貢献しろ

 

僕はチームで動いている。

スタッフや、スタッフの家族のこともよく知っている。

スタッフに子供が生まれて、今まで以上に稼いでいかなければならない状況も知っている。

となると、『えんとつ町のプペル』の売り上げのことは無視できない。

もっと言うと、『えんとつ町のプペル』を取り巻く絵本業界や、出版業界のことも無視できない。

シルク・ドゥ・ソレイユが大人気になり、サーカスのブームが起こって、人がそっちに流れてしまうよりも、絵本業界、出版業界が盛り上がった方が、ひいてはライバルの作家さんの売り上げが伸びた方がいい。

ライバルの作家の作品がヒットすれば、より多くの人に本屋に足を運んでもらえるようになり、自分の本も見つけてもらえる機会も増える。

最終的に、自分の作品のスタッフやその家族にお金が落ちる。

なので、戦略を公開し、共有する。

 

感情に任せて無料公開などするわけがない。

計算した結果、「無料公開した方が、売り上げが伸びる」「無料公開した方が、出版業界が盛り上がる」という答えが出たので無料公開に踏み切った。 

そして事実、無料公開によって売り上げが伸び、その瞬間を国民が目撃した。

無料公開した『えんとつ町のプペル』のヒットの構造を業界全体が共有した。

無料公開時代の幕開けだ。

革命のファンファーレ 現代のお金と広告
革命のファンファーレ 現代のお金と広告
www.amazon.co.jp
【Kindle】