中村太地六段が初の王座獲得 羽生棋聖1冠へ後退
第65期将棋王座戦五番勝負(日本経済新聞社主催)の第4局は11日、横浜市西区で行われ、挑戦者の中村太地六段(29)が羽生善治王座(47)に80手で勝ち、3勝1敗で王座を獲得した。中村は3回目のタイトル挑戦で初の獲得。20代のタイトル保持者は佐藤天彦名人(29)のほか、今年8月、羽生から王位を奪取した菅井竜也王位(25)に続き3人目。羽生は、今年初めの3冠から棋聖の1冠へ後退した。羽生が1冠になったのは13年ぶり。
中村六段は規定により七段へ昇段する。東京都出身、米長邦雄永世棋聖門下。2006年に棋士になり、実力派の若手棋士として注目されてきた。順位戦ではB級2組に在籍している。
これで将棋界のタイトルは、佐藤名人▽久保利明王将(42)▽渡辺明竜王・棋王(33)▽菅井王位▽中村王座▽羽生棋聖の6人で分け合うことになった。タイトル戦に昇格したばかりの叡王は来年春に決まる。7タイトルを6人で分け合うのは27年ぶり。
羽生は王座6連覇はならず通算24期となった。羽生は1996年に7冠を達成後、04年6月に王座の1冠となったが、同9月に王位を奪還して以降は2冠以上保持していた。歴代最多の通算タイトル獲得は、98期で止まっている。20日に開幕する竜王戦七番勝負では挑戦権を獲得しており、史上初の永世7冠をかけて渡辺竜王に挑戦する。【山村英樹】
中村新王座の話 中終盤がむずかしい将棋ばかりだったが、タイトルを何とかとりたかったので、よかった。
羽生棋聖の話 小さなミスが負けにつながった。気持ちを新たに頑張りたい。(棋聖の1冠になったことは)勝負の世界なので。