「休まない上司」が部下の迷惑でしかない理由

「ブラック」な残業と「ホワイト」な残業の差

上司が異常に働きづめると、部下にとってはプレッシャーになるだけです(写真:masa / PIXTA)

いよいよ10月22日には衆議院議員選挙が行われますが、今回の解散総選挙に伴って、政府が当初に予定していた「働き方改革関連法案」の閣議決定は見送られることになりました。国としてこうした「働き方改革」の取り組みを続けていくことには、一定の意味があると思います。

ただ、個別の企業で、社員がつねに働きにくいと感じるような「ブラック」な状態から抜け出すには、マネジャーの努力が不可欠です。拙著『超ホワイト仕事術』でも詳しく解説していますが、重要なのは、マネジャー自身の「休暇」と「残業」のとらえ方です。

「自分がいなければ回らない」というマネジャーは…

年間の有給休暇の取得日数を見てみると、欧米では平均30日なのに対して、日本は10日です。有休消化率は年間有給休暇日数20日の50%、世界28カ国中で最下位です。

休暇を増やすためには、まずマネジャー自身が思い切った休暇を、率先して取ることが必要です。マネジャーが休める職場では、メンバーも休みやすいのです。「働き方改革」とコインの表と裏の関係があるのが「休み方改革」。ドイツ語で休暇を表す「Ferien(フェーリエン)」は複数形しかありません。まとまった休みを取ることが休暇という意味だからです。働き方改革も大切ですが、この「休み方改革」も大切です。

私は講演やコンサルティングで、「マネジャーこそ、自ら休暇を取りなさい」とお話ししているのですが、こう言うと、決まって「いや、自分がいなければチームが回らないから、休めない」と答える人が実に多いのです。でも、そうしたマネジャーの考え方にこそ「ブラック」な要素が含まれています。

実際にやってみればよくわかることなのですが、マネジャーである自分が1週間や2週間休んだところで回らない仕事なんて、ないと思ったほうがいいでしょう。すべてとはいいませんが、大半の場合は、問題なく回るものです。

部署のメンバーの能力を伸ばすことを行い、役割を明確にしていれば、業務は遂行できるはず。普段からそうした取り組みをしないで、何かちょっとしたトラブルが発生したときに「自分でしか解決できない環境」をつくっているのは、マネジャーとして決して有能とはいえません。

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  • NO NAME7711cd7854c9
    よほどの特殊技能者でも無い限り「その人にしか出来ない」なんて仕事は無い。
    有るとするならば、それは大概、自分の仕事と地位を守る為に仕事自体をブラックボックス化する無能の仕業。

    どんな役職者でも、どんな特殊技能者でも未来永劫生きてる訳じゃない。
    どんなポジションに居ようが、自分が今日・今・この瞬間に死んでも、会社組織としての仕事は何事も無く回る。多少軋みながらでも回る。てか、回す。
    その軋みを最小限に抑える事が出来るかどうかがその人の価値。
    「自分が居なきゃ」とか、自分に対する期待値が異常に高いのも無能の証。
    up39
    down2
    2017/10/12 09:02
  • NO NAMEb356d9647cc0
    優れた上司は部下を育てる、か
    up25
    down1
    2017/10/12 08:36
  • NO NAME5c6982da203f
    部下もその人にしかできない業務か気にかけないといつかパンクして辞めてしまいます。
    あまり休まない人ほど要注意
    up21
    down3
    2017/10/12 08:37
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