物流・ロジスティクス
傭車探しはあきらめ 自社便の増車を拡大
慢性的な人材不足で傭車がままならないことから、自社車両の増車を計画する運送会社も少なくない。昨年に比べて物量が減少していると言う意見も多いが、繁忙期の対応を考え、増車を計画する運送会社に話を聞いた。
大阪・泉北郡で鋼材製品などを輸送する運送A社では現在、専属として傭車を数社に依頼している。しかし、人材不足やドライバーの高齢化により、傭車先でも車両維持は将来的に難しいという。人材確保が困難ということもあって、A社では1年に1台から2台の増車を計画していると言う。
A社社長は「リーマン・ショックの影響で傭車を減らしていたが、ここ数年の好景気と人材不足から車両も人手も大幅に不足している。自社・傭車を問わずドライバーの高齢化もあり、労働時間短縮から自社車両を増車していかなければ、現状の輸送はもちろん、繁忙期の対応も困難となる」と語る。
さらに、「以前は専属傭車とスポット傭車で対応できたが、ここ数年は専属はもちろん、スポット傭車も確保出来ていない。荷主企業から依頼された輸送を断ることも増えてきている。荷主は車両提供を希望して当社と取引している。そのニーズにこたえられなければ、元請けとしての立場も危うい。荷主は運賃より正確に車両を提供してくれる運送会社を求めている。それにこたえるには自社車両を増やすしかない」と話している。
また、大阪・堺市で鋼材をはじめ雑貨、海コン輸送を展開する運送B社でも「現在、トラックやトレーラなど約200台を超える車両を保有している。景気低迷時はさほど増車していなかったが、ここ数年から必然的に増車し、ドライバーの募集も随時行うなど常に年間で数十台を増車している状況。その結果、荷主からのアプローチも増え、元請けとしての契約が多くなっている。荷主にアプローチしてきた理由を尋ねると、保有台数の多さなどが理由。大手企業などでは輸送車両が確実に提供してもらえる運送会社との契約を重視しているようだ。ドライバーを集まりやすくするため、賃金はもちろん労働時間短縮、新車への乗務を約束するなどしてドライバーの確保に取り組んでいる」と、話している。
B社はこの2年で新規荷主との契約は5、6件になるという。そのほとんどの荷主は大手企業の物流子会社や中堅鋼材メーカー。荷主がいま最も求めるものは保有台数。滞ることなく車両の提供が約束できる運送会社との取引を求めているようだ。いまでは運賃よりも車両台数が魅力となっている。
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