(英フィナンシャル・タイムズ紙 2017年10月10日付)

米大統領は「ならず者の新入り」 イラン大統領、国連で核合意擁護

米ニューヨークでの国連総会で演説するイランのハッサン・ロウハニ大統領(2017年9月20日撮影)。 (c)AFP/ANGELA WEISS〔AFPBB News

 米国の新たな制裁に身構えるイランで、穏健派と強硬派が結束を固めている。ドナルド・トランプ米大統領がイラン政府による核合意の順守を認定するのを拒む構えだからだ。

 イランのハッサン・ロウハニ大統領は、欧州諸国の政府に核合意を擁護するよう働きかけながら、米国の反感をさらに買うのを避けるために強硬派のレトリックを抑えることで、核合意を守る努力を先導している。アナリストらは、2015年の核合意の立役者であるロウハニ氏はこの取り組みについて、強硬派に近く、彼らを抑える力を持った最高指導者アリ・ハメネイ師から支持されていると話している。

「トランプ要因は間違いなく、対立する政治集団の間の結束につながっている」。改革派で副大統領を務めたモハンマド・アリ・アブタヒ氏はこう語る。「大統領と最高指導者は、トランプ氏の決断に対応するために緊密な関係を築いている。つまり、強硬派は米国に立ち向かううえでロウハニ氏が主役を務めることを受け入れなければならないということだ」

 だが、実利的な大統領は、核合意の経済的な恩恵――特に石油を輸出する能力――を守りながら、米政府とアラブの同盟国が中東を不安定化させていると主張するイランの介入主義的な地域政策を擁護しようとすることで、難しい綱渡りをしている。

 核合意を「史上最悪の取引」と呼んだトランプ氏は、10月15日の期日に先駆けて合意の承認を取り消すと見られている。