大手鉄鋼メーカーの神戸製鋼所は、11日夜、記者会見を開き、アルミ製品と銅製品の検査データの改ざんに続き、DVDを作る際に使われる金属製品についても検査を行ったように装うなどの不正があったことを明らかにし、謝罪しました。
神戸製鋼は、ことし8月末までの1年間に出荷したアルミや銅製品の一部で、顧客に事前に約束した強度などを満たしていないにもかかわらず、検査証明書のデータを書き換えるなどして出荷していました。
会社側は11日夜、記者会見を開き、この問題に加え、子会社のコベルコ科研が製造したDVDや液晶ディスプレイを作る際に使われる「ターゲット材」と呼ばれる金属製品についても、不正があったことを明らかにしました。
具体的には、平成23年11月以降、70社に出荷した製品について、実際には、検査をしていないにもかかわらず、検査したよう装ったり、データを改ざんしたりしていたということです。
また、自動車などの部品の材料になる「鉄粉」で、検査データが改ざんされたのは、昨年度、兵庫県の工場で製造された140トン分だったことも明らかにしました。
いずれの製品も、今のところ安全性に問題は確認されていないということです。
神戸製鋼の勝川四志彦常務は記者会見で、「ご迷惑をおかけし、改めて深くおわび申し上げます」と述べ、陳謝しました。
JR東海の社長 部品の交換進める考え
JR東海の柘植康英社長は、強度などのデータが改ざんされた神戸製鋼所のアルミ製品が、新幹線の部品の一部に使われていたことについて、「極めて遺憾だ」と述べたうえで、部品の交換を進める考えを示しました。
JR東海は、事前に約束した強度などを満たしていないのに、検査証明書のデータを書き換えて出荷していた神戸製鋼のアルミ製品が、新幹線の車輪を回すために使われる部品の一部に採用していたことを明らかにしています。
この問題について、JR東海の柘植社長は11日の定例会見で、「確認したところ、われわれが求めた規格には達していなかったが、極めて高い強度はあり、安全性に問題はないが、極めて遺憾だ」と述べたうえで、車両の定期点検を行う際に部品の交換を進める考えを示しました。
一方、部品の交換にかかる費用の負担や取り引きの見直しについて、柘植社長は「どういう形を取りうるか、今は考えられる状況にない」と述べ、まずは部品の交換を優先して行う考えを示しました。