2017年10月11日

仲間・身内と一緒だと途端に頭を下げられなくなる人


そういう生態の人がいる。実際に、いる。

以下、そんな厳密な話でもないことはご承知おき頂きたい。雑感だ。

こういう人は、一人だと意外な程大人しい。礼儀正しい、とまではいかないことも多いが、まだ割と大人しい。注意されたらふてくされながらも謝るし、強く出られたら逃げる。

が、例えば仲間の前とか、彼女の前なんかだと途端に豹変する。自分の非がいかに明確でも認めないし、注意されたら逆ギレするし、時には暴力的に恫喝することもある。


これ、いろいろ観察したり話を聞いていると、「仲間と一緒なので気が大きくなる」というシンプルなものとはどうもちょっと違うらしい。


むしろ逆だ。「仲間の前で頭を下げることになると、仲間の間での序列が下がるようで、それに耐えられない」「仲間に弱みを見せられない」「仲間の前で注意されると、恥をさらされたようで無性に腹が立つ」という心理のようなのだ。勿論、「強く出ても集団であれば反撃されにくい」という前提条件みたいなものはちゃんと計算しているのだろうが、本人の気分的には防衛意識に近い、らしい。主観的には、「立場を守る」「自分を守る」為にやっていることなのだ。

だから彼らは、「別に相手を脅すつもりではなかった」と言う。「注意されたから反撃しただけ」と言う。飽くまで「反撃」なのだ。


身内の前で注意されること、非を認めることに耐えられない。


こういう話は、私が関東圏のとある田舎に住んでいた頃、町内会の知人から聞いた話だ。町内会というのは、どうも地域によって年齢層にかなりの開きがあるようで、私が今住んでいる東京区内では60未満の人など私を含めて数える程しかいないのだが、その田舎町では20代、30代の人もそこそこの人数、いた。多分、小さな町の中だけで人材が還流しているので、小さな規模ながらもそこそこ世代交代が回っているということなのだろう。

田舎町の町内会というのはなかなか面白い組織であって、本当に色んな職種、色んな世界の人間が集まる。地元の有名校の校長先生と、暴走族をやっていたらいつの間にか40近くなっちゃいました、みたいな人が普通に同じ場所でビール飲んだりしている。あの空間は結構面白い。

ただ、そんな中でも私は、この「仲間・身内と一緒だと途端に頭を下げられなくなる人」の存在を、田舎のオラついている人たちの間だけで観測出来る習性だと思いこんでいた。いわゆる「DQN」と言われるような人の特徴だ、と。


どうもそうでもなさそうだ、と思うようになったのは割と最近のことだ。


東京に出てからも、形を変えて、この手の習性は結構な範囲で観測できるようだということを知った。下記は、私が実際に観測した、「子どもの前では謝れない」というお父さんの話だ。



東京で、普通に会社勤めで、普通に立場もある人の話だ。この人と上記の人たちの共通点は、


・普段は大人しい
・身内の前では急に謝れなくなる
・謝ることを「弱みを見せること」だと考えている
・謝れない時に態度が妙に攻撃的になる


この辺りだ。どうも、心理傾向的に根差しているものは同じものである、ような気がする。

そう気づいた時、ちょっと怖くなった。

上記のお父さんの話を書いた時も、「自分はそうではない」と私は思っていた。非を認めることは、むしろお手本として子どもに見せるべき姿だ、と思っていたし、今でもそう思っている。

けれど、この心理傾向がそう特殊なものではないということは、多かれ少なかれ誰にでもそういう傾向はあり得る、ということだ。自分は無関係だと断言するのは難しいということだ。

謝ることは恥ではない。非を認めるのは恥ではない。

しかし自分は、本当に「身内の前で謝ることを恥と考える」傾向と無縁なのだろうか?


webでは「謝ったら死ぬ病」という言葉があって。明らかに非があるのに、それを指摘する人に対して妙に攻撃的になり、絶対に非を認めない、という人はそんなに珍しくない。

で、そういう人と、例えばDMで、一対一でやり取りすると、案外大人しかったり、非を認めることが普通に出来る人だったりする。

これも、言ってみれば「身内(フォロワー)が見ている前で謝ることは出来ない」という、一種の共通した心理傾向なんじゃないかなーと、なんとなく私は想像する。


仲間・身内と一緒だと途端に頭を下げられなくなる症候群というのは、実は極めてありふれた症例なのではないか。自分がその症例と無縁かどうかというのは、誰しも慎重に判断するべきことなのではないか。


東名高速の事故の話を見て、なんとなくそんな風に考えたのだ。


posted by しんざき at 23:49 | Comment(0) | 雑文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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