東京証券取引所は11日、東芝株について、内部管理体制に問題のある「特設注意市場(特注)銘柄」の指定を解除する方針を固めた。不正会計問題を受けた2015年9月の指定から約2年を経て解除を決めた。東芝が17年3月に出した再発防止策や聞き取り調査などを基に審査を進め「内部管理体制は改善した」と判断。東芝は上場維持に向けて一歩前進する。
東証が審査を委託する日本取引所自主規制法人が11日、臨時の理事会を開き、東芝の特注銘柄指定解除を決めた。自主規制法人は昨年12月、東芝の内部管理体制について「(改善に向けた)さらなる取り組みが必要」として、解除を見送った。その後も改善が認められなければ、東芝株は上場廃止になる恐れがあった。
東芝の内部管理体制について、自主規制法人は「改善した」と判断した。審査における焦点の一つは財務状況の報告体制だった。17年4~6月期の四半期報告書は「限定付き」ながら監査法人の適正意見を得て、法律で定められた期日までに提出。過去に提出の遅延を繰り返した状況から改善が認められた。
問題の多かった子会社・関連会社の管理についても一定の改善を確認できた。米原発事業子会社を巡っては、旧経営陣が従業員に過度な圧力をかけていた問題が発覚した。東芝は問題を起こしたトップを解任。3月に最終的にこの子会社の破綻処理を実施し、親会社にさらなる損失が発生するリスクを抑えた。
東芝の上場維持を巡り、残る課題は債務超過の解消となる。東証の上場ルールでは2期連続の債務超過で上場廃止。東芝は半導体メモリー売却で得る資金で資本を増強する考えだ。世界各国の当局による審査に時間かかり、債務超過の解消が18年3月末に間に合わなければ上場廃止となる。