新燃岳が6年ぶりに噴火 警戒レベル3に 警戒呼びかけ

新燃岳が6年ぶりに噴火 警戒レベル3に 警戒呼びかけ
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11日朝、鹿児島と宮崎の県境にある霧島連山の新燃岳で、平成23年以来となる噴火が発生しました。気象庁は今後、より規模の大きな噴火が起きるおそれがあるとして、噴火警戒レベル3の火口周辺警報を発表し、火口からおおむね2キロの範囲で大きな噴石や火砕流に警戒するよう呼びかけています。
気象庁によりますと、11日午前5時半すぎ、鹿児島と宮崎の県境にある霧島連山の新燃岳で、平成23年9月以来となる噴火が発生し、噴煙が火口から300メートルの高さまで上がりその後も噴火が続きました。
このため気象庁は、午前11時すぎ、改めて火口周辺警報を発表し、噴火警戒レベルを「入山規制」を示すレベル3に引き上げました。

気象庁が上空から行った観測では、噴煙が火口から700メートルの高さまで上がっているのが確認されたほか、地上での調査では宮崎県の高原町や都城市、小林市、それに宮崎市で火山灰が降ったのが確認されたということです。
新燃岳では午後5時の時点でも噴火が続いていて、山の膨張を示す地殻変動や、地下のマグマや火山ガスなどの動きを示すと考えられる火山性微動も続き、時折、微動の振幅が大きくなっているということです。

気象庁は、今後、より規模の大きな噴火が起きるおそれがあるとして、火口からおおむね2キロの範囲で噴火に伴う大きな噴石や火砕流に警戒するよう呼びかけています。
また風下側を中心に火山灰や小さな噴石が降るおそれがあるほか、爆発的な噴火が起きた場合は、空振=空気の振動で窓ガラスが割れるおそれもあるとして、注意を呼びかけています。

児童がヘルメット着用し下校

新燃岳のふもとの宮崎県高原町では、火山灰だけでなく小さな噴石が風に流されて落下するおそれがあるとして、小学生がヘルメットとマスクを着用して下校する姿が見られました。
高原町の小学校のうち、新燃岳の火口から12キロ離れている高原小学校では、午後3時すぎ、全校児童およそ300人がヘルメットとマスクを着用して下校しました。
高原町教育委員会は11日、町にある4つの小学校すべてに、登下校の際にはヘルメットの着用を呼びかけました。

小林市が登山道を規制

ふもとの宮崎県小林市は、警戒が呼びかけられている半径2キロ以内の立ち入りを規制しました。
またこの範囲の外にある登山道についても、降灰の影響があるとして11日午後5時に立ち入りを規制しました。

立ち入りが規制されたのは、新燃岳から北東におよそ9キロ離れた登山道です。
11日は午後2時ごろ市の職員2人が、新燃岳につながる大幡山に向かう登山口に入山規制を示す看板を設置していました。

小林市商工観光課の橋谷理己主任主事は「これから紅葉の季節で残念ですが、登山者は、規制にしたがって行動してほしい」と話していました。

新燃岳のふもとの小林市や都城市、高原町では、新燃岳から4キロ以内には住宅は無く、規制は登山道より先に限られています。

鹿児島側でも登山口に注意呼びかけの貼り紙

新燃岳の噴火警戒レベルが「3」に引き上げられたことを受けて、鹿児島側の5か所の登山口には、登山客に注意を呼びかける貼り紙が設置されました。
このうち新燃岳の火口からおよそ3キロの場所にある高千穂河原の登山口では、登山口を管理する財団の職員が、噴火警戒レベルが引き上げられたことや、立ち入り規制範囲が広がったことを伝える掲示物を、これまでのものから差し替えました。

また噴火警戒レベルを伝える看板の数字も貼り替え、登山客に注意を呼びかけていました。
登山口を管理する自然公園財団高千穂河原支部の中之薗勝信主任は「けさから登山客に新燃岳の状況を伝えるなど注意を呼びかけてきた。前回もこういった動きから大きな噴火に変化したので、登山客の安全のため気を配っていきたい」と話していました。

霧島市が対応協議

新燃岳に近い鹿児島県霧島市は、噴火警戒レベルが「3」に引き上げられたことを受けて、今後の火山活動で仮に規制が強化された場合に必要な対応などを話し合いました。
午後に開かれた会議では、これまでの市の対応について、地元の消防がパトロールを行ったほか、火口から5キロ圏内にある住宅や宿泊施設に防災行政無線で注意を呼びかけたことなどが報告されました。

また現在「火口から2キロ以内」とされている規制について、今後、仮に規制が強化された場合の対応についても話し合い、火口から3キロほどにある2つの宿泊施設に避難を呼びかける必要があることや、火口から3キロの範囲に入る県道104号線を通行禁止とすることなどを確認しました。

霧島市によりますと、市内のホテルには利用客からの問い合わせが数件程度入っているものの、市内の宿泊施設はいずれも現在の規制の外で、今のところ宿泊予定のキャンセルはないということです。

霧島市の徳田純危機管理監は「火山の活動について情報を収集するとともに、万が一の際にはすぐに対応していけるよう、準備を進めていきたい」と話していました。

気象台が現地調査 火山灰採取

宮崎地方気象台は、今回の噴火を受けて、宮崎県高原町で現地調査を行い、詳しく分析するため火山灰を採取しました。
調査は高原町役場の屋上で行われ、気象台の職員2人が、屋上にうっすら積もった火山灰を集めました。

気象台によりますと、火山灰の成分を詳しく分析することで、今回の噴火で比較的新しいマグマが関与しているのかどうかや、主に水蒸気が関わっているのかなどを推測できるということです。

宮崎地方気象台の渡辺剛防災気象官は「高原町では広い範囲で降灰しているのがわかった。今後分析を進め、今回の噴火について調べたい」と話していました。

専門家「数日続くか」

東京大学地震研究所の中田節也教授は「噴煙の高さが低く、連続的に黒い噴煙が出ているので、山頂にたまっている溶岩のすぐ下の水が熱せられて起きた水蒸気噴火ではないかと考えられる。今回の噴火は6年前、平成23年に発生した噴火と比べると、規模ははるかに小さい」と話しました。
また「6年前と同じ規模の噴火がすぐに起きるとは考えにくいが、今回のような小規模な噴火は数日続く可能性が高い」と指摘しました。

そして「現時点では気象庁が発表している噴火警戒レベルで規制された範囲に近づかなければ大きな問題はないだろう。火山灰が降ると、今後の雨によって土石流のおそれがあるので、火山灰が積もった地域では注意してほしい」と話していました。

専門家「規模拡大も念頭に」

今回の新燃岳の噴火について、火山噴火予知連絡会の前の会長で東京大学の藤井敏嗣名誉教授は「映像を見ると、火口周辺に大きな噴石などが飛散している様子は見当たらないため、今回の噴火は、連続的に火山灰を噴出するタイプのようだ。今は噴煙が高くまで上がっていないうえ、火口の一部から出ている状態だが今後、噴煙の勢いが強くなったり、噴煙が出る範囲が火口全体に広がったりすると、規模の大きな噴火につながるおそれがある。採取した火山灰の詳しい分析を進めるとともに、地殻変動などを注意深く監視する必要がある」と指摘しています。

そのうえで、「地殻変動のデータからは、地下深くのマグマだまりに前回、平成23年の噴火で噴出した量を上回るマグマが蓄積している可能性がある。今後、噴火の規模がさらに大きくなる可能性も念頭に置いて、対策を進めておく必要がある」と話していました。

新燃岳が6年ぶりに噴火 警戒レベル3に 警戒呼びかけ

11日朝、鹿児島と宮崎の県境にある霧島連山の新燃岳で、平成23年以来となる噴火が発生しました。気象庁は今後、より規模の大きな噴火が起きるおそれがあるとして、噴火警戒レベル3の火口周辺警報を発表し、火口からおおむね2キロの範囲で大きな噴石や火砕流に警戒するよう呼びかけています。

気象庁によりますと、11日午前5時半すぎ、鹿児島と宮崎の県境にある霧島連山の新燃岳で、平成23年9月以来となる噴火が発生し、噴煙が火口から300メートルの高さまで上がりその後も噴火が続きました。
このため気象庁は、午前11時すぎ、改めて火口周辺警報を発表し、噴火警戒レベルを「入山規制」を示すレベル3に引き上げました。

気象庁が上空から行った観測では、噴煙が火口から700メートルの高さまで上がっているのが確認されたほか、地上での調査では宮崎県の高原町や都城市、小林市、それに宮崎市で火山灰が降ったのが確認されたということです。
新燃岳では午後5時の時点でも噴火が続いていて、山の膨張を示す地殻変動や、地下のマグマや火山ガスなどの動きを示すと考えられる火山性微動も続き、時折、微動の振幅が大きくなっているということです。

気象庁は、今後、より規模の大きな噴火が起きるおそれがあるとして、火口からおおむね2キロの範囲で噴火に伴う大きな噴石や火砕流に警戒するよう呼びかけています。
また風下側を中心に火山灰や小さな噴石が降るおそれがあるほか、爆発的な噴火が起きた場合は、空振=空気の振動で窓ガラスが割れるおそれもあるとして、注意を呼びかけています。

児童がヘルメット着用し下校

新燃岳のふもとの宮崎県高原町では、火山灰だけでなく小さな噴石が風に流されて落下するおそれがあるとして、小学生がヘルメットとマスクを着用して下校する姿が見られました。
高原町の小学校のうち、新燃岳の火口から12キロ離れている高原小学校では、午後3時すぎ、全校児童およそ300人がヘルメットとマスクを着用して下校しました。
高原町教育委員会は11日、町にある4つの小学校すべてに、登下校の際にはヘルメットの着用を呼びかけました。

小林市が登山道を規制

ふもとの宮崎県小林市は、警戒が呼びかけられている半径2キロ以内の立ち入りを規制しました。
またこの範囲の外にある登山道についても、降灰の影響があるとして11日午後5時に立ち入りを規制しました。

立ち入りが規制されたのは、新燃岳から北東におよそ9キロ離れた登山道です。
11日は午後2時ごろ市の職員2人が、新燃岳につながる大幡山に向かう登山口に入山規制を示す看板を設置していました。

小林市商工観光課の橋谷理己主任主事は「これから紅葉の季節で残念ですが、登山者は、規制にしたがって行動してほしい」と話していました。

新燃岳のふもとの小林市や都城市、高原町では、新燃岳から4キロ以内には住宅は無く、規制は登山道より先に限られています。

鹿児島側でも登山口に注意呼びかけの貼り紙

新燃岳の噴火警戒レベルが「3」に引き上げられたことを受けて、鹿児島側の5か所の登山口には、登山客に注意を呼びかける貼り紙が設置されました。
このうち新燃岳の火口からおよそ3キロの場所にある高千穂河原の登山口では、登山口を管理する財団の職員が、噴火警戒レベルが引き上げられたことや、立ち入り規制範囲が広がったことを伝える掲示物を、これまでのものから差し替えました。

また噴火警戒レベルを伝える看板の数字も貼り替え、登山客に注意を呼びかけていました。
登山口を管理する自然公園財団高千穂河原支部の中之薗勝信主任は「けさから登山客に新燃岳の状況を伝えるなど注意を呼びかけてきた。前回もこういった動きから大きな噴火に変化したので、登山客の安全のため気を配っていきたい」と話していました。

霧島市が対応協議

新燃岳に近い鹿児島県霧島市は、噴火警戒レベルが「3」に引き上げられたことを受けて、今後の火山活動で仮に規制が強化された場合に必要な対応などを話し合いました。
午後に開かれた会議では、これまでの市の対応について、地元の消防がパトロールを行ったほか、火口から5キロ圏内にある住宅や宿泊施設に防災行政無線で注意を呼びかけたことなどが報告されました。

また現在「火口から2キロ以内」とされている規制について、今後、仮に規制が強化された場合の対応についても話し合い、火口から3キロほどにある2つの宿泊施設に避難を呼びかける必要があることや、火口から3キロの範囲に入る県道104号線を通行禁止とすることなどを確認しました。

霧島市によりますと、市内のホテルには利用客からの問い合わせが数件程度入っているものの、市内の宿泊施設はいずれも現在の規制の外で、今のところ宿泊予定のキャンセルはないということです。

霧島市の徳田純危機管理監は「火山の活動について情報を収集するとともに、万が一の際にはすぐに対応していけるよう、準備を進めていきたい」と話していました。

気象台が現地調査 火山灰採取

宮崎地方気象台は、今回の噴火を受けて、宮崎県高原町で現地調査を行い、詳しく分析するため火山灰を採取しました。
調査は高原町役場の屋上で行われ、気象台の職員2人が、屋上にうっすら積もった火山灰を集めました。

気象台によりますと、火山灰の成分を詳しく分析することで、今回の噴火で比較的新しいマグマが関与しているのかどうかや、主に水蒸気が関わっているのかなどを推測できるということです。

宮崎地方気象台の渡辺剛防災気象官は「高原町では広い範囲で降灰しているのがわかった。今後分析を進め、今回の噴火について調べたい」と話していました。

専門家「数日続くか」

東京大学地震研究所の中田節也教授は「噴煙の高さが低く、連続的に黒い噴煙が出ているので、山頂にたまっている溶岩のすぐ下の水が熱せられて起きた水蒸気噴火ではないかと考えられる。今回の噴火は6年前、平成23年に発生した噴火と比べると、規模ははるかに小さい」と話しました。
また「6年前と同じ規模の噴火がすぐに起きるとは考えにくいが、今回のような小規模な噴火は数日続く可能性が高い」と指摘しました。

そして「現時点では気象庁が発表している噴火警戒レベルで規制された範囲に近づかなければ大きな問題はないだろう。火山灰が降ると、今後の雨によって土石流のおそれがあるので、火山灰が積もった地域では注意してほしい」と話していました。

専門家「規模拡大も念頭に」

今回の新燃岳の噴火について、火山噴火予知連絡会の前の会長で東京大学の藤井敏嗣名誉教授は「映像を見ると、火口周辺に大きな噴石などが飛散している様子は見当たらないため、今回の噴火は、連続的に火山灰を噴出するタイプのようだ。今は噴煙が高くまで上がっていないうえ、火口の一部から出ている状態だが今後、噴煙の勢いが強くなったり、噴煙が出る範囲が火口全体に広がったりすると、規模の大きな噴火につながるおそれがある。採取した火山灰の詳しい分析を進めるとともに、地殻変動などを注意深く監視する必要がある」と指摘しています。

そのうえで、「地殻変動のデータからは、地下深くのマグマだまりに前回、平成23年の噴火で噴出した量を上回るマグマが蓄積している可能性がある。今後、噴火の規模がさらに大きくなる可能性も念頭に置いて、対策を進めておく必要がある」と話していました。