アディーレの不適切業務めぐる「処分」の重み

懲戒の段階によって影響は断然変わってくる

アディーレの本部は東京・池袋の高層ビル「サンシャイン60」(写真中央)にある(写真:YNS / PIXTA)

「過払い金の返還。あなたも対象かもしれません。着手金無料! 成功報酬制! お電話ください」

テレビをよく見る人なら、1度はこんなCMを見掛けたことがあるでしょう。法律事務所としては珍しく、大々的にテレビCMを仕掛けて一躍有名になったのが弁護士法人「アディーレ法律事務所」です。

「今だけ無料」は景品表示法に違反と議決

そのアディーレに対して東京弁護士会を含む3つの弁護士会の綱紀委員会が、弁護士法人としてのアディーレと石丸幸人弁護士、複数の所属弁護士について、「懲戒審査が相当」とする議決をしていたことが判明しました。

消費者庁は昨年2月、アディーレがホームページ上で行っていた、着手金を全額返還するキャンペーンを、実際は5年近くの長期にわたって行っていた事実に反し、1カ月間の期間限定でのキャンペーンと宣伝していたことが景品表示法に違反するとして、措置命令を出しています。それを受けて、同事務所や所属弁護士への懲戒請求が各地の弁護士会で起こされた結果、3つの弁護士会が今回の判断を出しました。

今回の事件は対象となったアディーレがいわゆる過払い事件をきっかけに成長してきた「新興大手事務所」の最大手であることもあり、懲戒審査の行方が注目されています。

「弁護士の懲戒」というとどんな状況を想像されるでしょうか。近年は弁護士による横領事件などがメディアにより取り上げられることもありますし、「暴力団やアウトローの手先」に堕した弁護士を想像する方もいらっしゃるでしょう。

次ページ懲戒制度がなぜ重要なのか
関連記事
トピックボードAD
人気連載
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

  • M、M  58歳e3b5ea61a2b6
    労働審判を依頼し、35万円の勝訴。が着手金12万、弁護士日当1日、5万円、成功報酬11万、計28万円の高額費用が発生。1年間、手間を考慮したら7万円。悪質景品表示商法の一端を見た。
    up36
    down6
    2017/4/15 07:06
  • NO NAME624aa3e74917
    弁護士を目指して幾度も司法試験を受けていた友人から聞いていたのですが、弁護士で儲かるのはテレビに呼ばれるようなタレント弁護士と顧問弁護士くらいなもので、多くの弁護士は依頼の取れる事務所に属さないと厳しい、まして一般市民が起こす民事訴訟などを親身になって弁護しようものなら経費を全額請求できなかったり、支払い猶予を設けたり、交通費を抑えるために交通機関の代わりに自転車で走り回ったりせねばならず、生活はかなり厳しいと聞きました。

    なので大手事務所に属さねばならず、サラリーマンのごとく事務所の方針や上からの命令に逆らえない実情もわからなくもありません。

    けれど弁護士という立場の者がこれであってはならないと思います。

    指示した者には厳しく懲戒処分を与え、それに逆らえない末端の者には再チャレンジの機会を与えて欲しいと思います。
    up33
    down7
    2017/4/15 14:15
  • アイフル金狼067d18cc5222
    直接消費者庁(国民生活センター)にこの問題について、調査依頼をお願いしたのは私(他数名)。依頼から約半年で措置命令でした。

    この件について、日弁連幹部の一人はアディーレはいずれ必ず潰すと明言。
    彼等は過払い金で、この国の弁護士の社会的地位を著しく失墜させたとして、また法律に弱い弁護士事務所としても世間の失笑をかったと怒り心頭です。

    今回の問題の主は度を過ぎた過払い金活動。

    これ以上過払い金CMや活動を続けると「本当にお前ら、潰すぞ。」
    と、警告を出した。これが、今回の本当の目的。
    アディーレが余程バカでなければ、今後過払い金活動は大きく縮小すると思います。
    しかし、その後過払い金CMに変化はありません。
    恐らくアディーレは、業務停止→倒産となるでしょう。
    up39
    down13
    2017/4/15 07:25
  • すべてのコメントを読む
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • いいね!
トレンドウォッチAD
地価崩壊が来る

土地余り時代が目前だ。2022年に生産緑地に指定されている都市部の農地が一気に放出。2025年以降は土地相続が大量発生。現在の地価上昇は終焉を迎える。日本の土地問題を全解明。