仕事中毒が産みだした悲劇として最も残酷なのが過労死です。過労死の場合は、自ら仕事に没頭しているというより、没頭させられているというイメージが強いです。しかし、たとえ自分で進んでその仕事に邁進したとしても、雇用者側の罪は大きいのではないでしょうか。明らかに仕事量が多いとか、勤務時間が長すぎることを雇用者側は把握できるからです。
命を落としてまでしなければいけない仕事なんてこの世にありません。人命を軽視する企業は糾弾されるべきでしょう。雇われる側も仕事にしがみつくことが自分を守ることではないことに気づくべきです。
日本人の過労死は横ばい状態
過労死が問題になってから久しいですが、厚生労働省の発表を見る限りは過労死する労働者の数は横ばい状態で減ってはいません。しかも、厚生労働省が把握しているのは、労災申請を行ったもののみ。これは氷山の一角なのではないかという気がします。しかも労災に申請しても支給が決定する率は半分以下のようで、高くありません。このままでは亡くなった方はうかばれません。
しかも正社員だけではなく、契約社員、派遣社員、アルバイト・パートまでが過労死するケースもあります。とくにアルバイド・パートは使い捨てが可能な雇用形態です。職を失うのではないかと怯えながら命をけずって働いた人がいたというのは、日本は本当に豊かな国なのか?と疑いたくなるほどです。
使い捨てされる若者。ブラック企業を取り締まれるか?
「今どきの若者は根性がない。すぐに仕事をやめてしまう」そういわれている陰で、某大手居酒屋チェーンなどで長時間労働により就職して間もない若者が 過労死 するケースがありました。派遣労働者が増え、正社員が減って以来、多くの企業が人を大切に育てていくことを放棄し、安易に結果だけを求めるケースが増えてきていることは事実でしょう。まじめな若者にかぎって、そうした事情の犠牲になってしまっています。
厚生労働省は、過酷な労働を強いているブラック企業を取り締まるため、立ち入り調査を行ったり、電話相談を行ったりしています。これでブラック企業が姿を消せばいいのですが、雇用自体が安定しないかぎりそれも難しいでしょう。
過労死の問題は、表に現れる例が少なく、証明も難しいので、やはり自分で自分を守ることが大事だと感じられます。常識を越えた勤務時間やあまりに大きい負荷の場合は、一度誰かに相談すべきでしょう。しかし、それすらできずに家族をかかえて働く人が絶えないのが悩ましいところです。