11日の東京株式相場は続伸し、日経平均株価はおよそ21年ぶりの高値を付けた。国際通貨基金(IMF)の成長率予想の引き上げや日本の機械受注で内外景気に対する楽観的な見方が広がった。食料品やサービス、陸運など内需株や保険株、個別では設備投資関連のファナック、SMCが高い。
日経平均株価の終値は前日比57円76銭(0.3%)高の2万0881円27銭と、ことし最長を更新する7日続伸。15年6月のアベノミクス相場の高値(2万0868円03銭)を超え、1996年12月5日(2万0943円90銭)以来の高値水準となった。TOPIXの終値は1.67ポイント(0.1%)高の1696.81と3日続伸。
三菱UFJ国際投信・戦略運用部の石金淳チーフストラテジストは、「IMFの上方修正など景気指標が強く、素直にマーケットが反応している」と指摘。1株利益で現在8%増益が予想されている企業業績の背景にあるのは、「内外経済が拡大を続けることで、昨今の指標をみる限り、大崩れすることはない」との見方を示した。
東証前の通行者
Photographer: Yuriko Nakao/Bloomberg
IMFは10日、ことしの世界の経済成長率は3.6%、来年は3.7%と予想、7月時点の予測からそれぞれ0.1ポイント引き上げた。アナリスト予想では17年が3.4%、18年は3.5%の成長見込みだった。日本は、外需や財政刺激策の継続が主導し、17年の成長率は1.5%と前回から0.2ポイント上方修正。18年は0.7%への鈍化を見込むが、3カ月前の予想より0.1ポイント高い。
このほか、トランプ米大統領は10日、税制改革案について「さらに強力にするため、向こう数週間かけ少し調整を加えるつもりだが、極めて幅広い支持を集めていることを強調したい」と発言。同日の米国株は、S&P500種株価指数が0.2%高と反発した。
為替の円高推移、相対力指数(RSI)などテクニカル指標からみた過熱感からきょうの日本株は小安く始まったが、日経平均は午前後半にかけ上昇転換。TOPIXとともに午後もプラス圏で堅調だった。IMFによる成長率見通しともに、相場を支える材料となったのが日本の機械受注だ。内閣府が朝方発表した8月のデータは、前月比3.4%増と市場予想の1%増を上回った。前月比プラスは2カ月連続。
ただし、主要株価指数が記録的水準を回復し、徐々に上値に慎重なムードが広がってきたのも事実で、上げ幅も限定的。三菱国際の石金氏は、「日経平均2万1000円、TOPIX1700ポイントの壁があり、問題はここから。過熱感が出ていて、今すぐの突破は難しい」とみる。東海東京調査センターの鈴木誠一シニアマーケットアナリストは、「下期入りで国内機関投資家からの利益確定売りがあった」と話していた。きょうのドル・円は一時1ドル=112円20銭台と、前日の日本株終値時点112円66銭からドル安・円高方向に振れる場面があった。
東証1部33業種は保険、非鉄金属、その他製品、陸運、サービス、食料品、建設など19業種が上昇。下落は鉄鋼、倉庫・運輸、輸送用機器、海運、化学など14業種。売買代金上位では、大和証券が目標株価を上げた東海カーボンが大幅高。業績予想を上方修正したローツェは急騰し、任天堂やリクルートホールディングス、住友金属鉱山も高い。半面、データ改ざん製品が広がりを見せる神戸製鋼所は連日の大幅安。ジェフリーズが判断を弱気に下げた関西ペイントのほか、スズキ、新日鉄住金、豊和工業も安い。
- 東証1部の売買高は15億3158万株、売買代金は2兆3704億円
- 値上がり銘柄数は879、値下がりは1045