衆議院選挙に注目が集まる今、知ってほしい法案がある。自民党が国会に提出しようとしている「家庭教育支援法案」である。
すでに同党の文部科学部会は法案を了承し、早ければ次の国会に提出される可能性がある。小池百合子氏も推進派に名を連ねているので、選挙の争点としては注目されていない。
しかし、法案の内容は、国家が「上から目線」で家庭に介入と指導を行うというもの。憲法改正だけでなく、この法案も「国のあり方」を大きく変える問題として議論されるべきだ。
問題点を探るには、5年前に大阪市で撤回された条例案が参考になる。そこから考えてみよう。
2012年5月1日、大阪維新の会・大阪市議団は「家庭教育支援条例案」を発表。そこには次の内容が含まれていた。
あまりに非科学的な内容に唖然とする。発達障害は脳機能の障害であり、「伝統的子育て法」で予防できるものではない。不登校や非行を発達障害と結びつけるのは短絡的であるうえ何の解決策にもならない。「気になる子」という言い方には蔑みを感じる。
しかも、発達障害の子や親への支援策は一切ない。これでは、発達障害の子をもつ親は「問題児を生み出した親」とされて息苦しくなってしまう。
当然ながら、障害児の親をはじめ幅広い市民から批判され、維新市議団は撤回と謝罪に追い込まれた。