前回の話🔻
終わりの無い校内暴力の話① - 警察官クビになってからブログ
終わりの無い校内暴力の話③ - 警察官クビになってからブログ
キムラくんは人相が悪く。
頭はベタベタに固められたオールバック。
まるで「私は不良です!」
そう周囲に主張しているような・・・・?
そーんな見た目でした。
(彼なら・・・・殴っても大丈夫だろう・・・)
そう思いました。
私は数日間・・・・
遠くからキムラくんをチラチラ観察しました。
どうやらキムラくんは不良達の中でも、
ちょっと偉い立ち位置にいるようでした。
(人望があるのかなぁ・・・・?)
そんなキムラ君を観察していると・・・・
私は廊下ではち合わせになってしまいました。
キムラくんは廊下のド真ん中を、
ズンズンと歩いて向かってきます。
廊下を歩いていた人達は、
前から歩いてくるキムラ君を見て、
壁際にササッと避けるのです。
なぜこう、不良は自分の力を誇示したがるのか?
(私は・・・・彼を避けるワケにはいかない!)
私は足を止めず廊下の真ん中を、
キムラくんに向かって歩き続けました。
しかし・・・二人がぶつかる直前・・・・・
怖くなった私は少し横に避けてしまったのです・・・
が・・・・・・・・・
ドンッとキムラくんに肩をぶつけてしまいました。
(あっ・・・・・・)
キムラくんが足を止めて・・・・
何も言わずゆっくりと振り返ります・・・
(あっ・・・・)
臆病な私は・・・・・
急いで階段を駆け下りて逃げました。
キムラくんは・・・・ただ階段の上から、
ジッと逃げる私を見つめていました・・・
(怒らせてしまっただろうか?)
その日はもうずっと・・・・
足の震えが止まりませんでした。
不良っていう生き物は・・・・
やっぱり我々とは違う・・・
(あんな人を殴れるのだろうか?)
そして・・・・・数日後・・・・
私はまたキムラくんと顔を合せました。
私は彼が来るのを待っていたのです。
人気の無い『放課後の自転車置場』で・・・・
ボーッと・・・・・・・・
キムラくんは私に気づくと、
ジッと見つめてきました。
私もキムラくんを見つめます。
何か・・・言おうとも思ったのですが・・・・
言葉が何も出ません。
それもそのハズ・・・・・
私達はお互いの事を何も知らないのです。
キムラくんは・・・・
無言のままズンズンと近づいてきます。
(あっ・・・まずい・・・)
彼は拳を握っています。
私は・・また怖くなって思わず後ずさりします。
が・・・・・・・
突然!ドンッ!と
お腹を殴られました!
うっぷ痛い!
しかし・・・ありがたい!
これで『殴る正当な理由』が出来た。
私は反射的にブンッ!
と殴りかかりました。
しかし・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
空振り・・・・当たりません。
(あ・・・れ・・・・・・?)
私はショックで硬直してしまいました。
(なんで当たらないんだ?!)
この日の為に・・・・・・
ずっと準備してきたのに・・・・・・・
『警察官』を目指し、
『不良を殴りたかった』私は・・・・・
高校三年生になってから強くなる為に
格闘技ジムに通い始めました。
プレハブ小屋みたいなボロボロのジムです。
(大きい所は怖い!こんな小さい所なら安心だろう!)
そんな風に思っていました。
入門初日・・・・・
トレーナーに笑顔で
「サンドバック殴ってみるか?」
そう言われたので殴ってみました。
「おっパワーはあるなぁ!」
そう褒めてもらえた事が嬉しかった。
実は格闘技を始める前に徹底して
『ウェイトトレーニング』をしていたのです。
(大きな重りを上げたり下げたりする練習)
だから力はあった方だと思います・・・・・
しかし・・・入門1ヶ月後には 、
「お前はパワーだけだなぁ?!」
と言われてしまうようになりました。
そして追い打ちのようにこう言われました。
「センスがまるで無い」
そうなのです・・・・私は弱かった。
ドスン!と
トレーナーのパンチが私の腹に突き刺さります。
私はダンゴムシのように丸くなります。
いつもの光景です・・・・・
「折れたかぁ~?」
軽い調子でトレーナーが笑顔で声をかけてきます。
「よーし折れて無いなら立とうか~?」
(まさか・・こんなに厳しいジムだとは・・・・)
息も絶え絶えで立ち上がり・・・
なんとかダンゴムシから人間に戻ります・・・・
しかし数秒後には、またダンゴムシに逆戻りです。
私は弱い・・全部が弱い・・・
もちろん最初から知っていました・・
実際に戦ってみると30数名がいるこのジムで、
子供を除けば私は最弱。
でも弱いだろうなと・・・知ってはいましたが・・・
格闘技を始めたからこそ、自分が弱いと実感出来た。
実感出来たからこそ懸命に練習に取り組めた・・・・
「お前は弱い!」そうハッキリ言ってくれる
トレーナーがここに居てくれて良かった・・・・・・
格闘技の練習が終わると真夜中ですが・・・・
今度はウェイトトレーニングに励みます。
はじめてから大体1年ほどで、
上半身は『大人2人分』
下半身は『大人4人分』
の重量を持ち上げられるようになりました。
普通の大人の男性が持ち上げられる重量の
3倍くらいだと思います。(たぶん)
他に褒めてもらえる所が無かったので・・・
私はウェイトトレーニングが楽しくて
楽しくてたまりませんでした。
そんなある日・・トイレに行くと・・・・
『血尿』が出ました・・・・・
慌ててトレーナーに相談すると、
「気にすんな!よくある事だから」
の一言で終わりでした。
カラダにアザが出来すぎるとこうなるらしい・・・
恐ろしい世界だと・・・・改めて思いました。
こうして数ヶ月ボコボコと、
殴ったり殴られたりしていると・・・
少し・・・・自分が強くなったように感じました。
(早く・・・・不良を殴りたい・・・・・)
でも殴るだけじゃダメなのです。
正義は勝たなくちゃ・・・・
絶対に・・・絶対に・・・・・・・・
私は焦りました・・・・
そう・・・・・時間が無いのです・・・・・・
高校の卒業が近づいているのです。
ずっと目障りだった不良というモノに、
自分が学生のウチに一矢報いなければ・・・・
そうで無ければ・・・それが出来なければ・・・
正義の味方(警察官)になれない!
そして考えた結果・・・・・・
・・・悪(不良)の代表はキムラくんに決めました。
しかし・・・イザ殴ってみると・・・
当たらなかった。
(ええっ!?そんな・・・・)
簡単に避けられてしまった・・・・・
ショック!
ケンカの最中にも関わらず・・・
私は動揺を隠せません。
しかし・・・・・・・・・
恐怖と緊張と動揺で固まる私に・・・
キムラくんからの反撃がきません・・・・
(あれ・・・・・・?)
・・・・・・・・・・・?
・・・気がつくのに・・・・・
数秒かかりました・・・・
血です・・・・・
キムラくんの顔から、
大量の血が吹き出していたのです。
あ・・・・・・・・
つづく