終わりの無い校内暴力の話④

 前回の話🔻

終わりの無い校内暴力の話① - 警察官クビになってからブログ

終わりの無い校内暴力の話③ - 警察官クビになってからブログ

 

 

キムラくんは人相が悪く。

頭はベタベタに固められたオールバック。

 

まるで「私は不良です!」

そう周囲に主張しているような・・・・?

そーんな見た目でした。

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(彼なら・・・・殴っても大丈夫だろう・・・)

そう思いました。

 

私は数日間・・・・

遠くからキムラくんをチラチラ観察しました。

 

どうやらキムラくんは不良達の中でも、

ちょっと偉い立ち位置にいるようでした。

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(人望があるのかなぁ・・・・?)

 

そんなキムラ君を観察していると・・・・

私は廊下ではち合わせになってしまいました。

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キムラくんは廊下のド真ん中を、

ズンズンと歩いて向かってきます。

 

廊下を歩いていた人達は、

前から歩いてくるキムラ君を見て、

壁際にササッと避けるのです。

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なぜこう、不良は自分の力を誇示したがるのか?

(私は・・・・彼を避けるワケにはいかない!)

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私は足を止めず廊下の真ん中を、

キムラくんに向かって歩き続けました。

 

しかし・・・二人がぶつかる直前・・・・・

怖くなった私は少し横に避けてしまったのです・・・

が・・・・・・・・・

ドンッとキムラくんに肩をぶつけてしまいました。

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(あっ・・・・・・)

 

キムラくんが足を止めて・・・・

何も言わずゆっくりと振り返ります・・・

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 (あっ・・・・)

 

臆病な私は・・・・・

急いで階段を駆け下りて逃げました。

 

キムラくんは・・・・ただ階段の上から、

ジッと逃げる私を見つめていました・・・

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(怒らせてしまっただろうか?)

 

 

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その日はもうずっと・・・・

足の震えが止まりませんでした。

 

不良っていう生き物は・・・・

やっぱり我々とは違う・・・

(あんな人を殴れるのだろうか?)

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そして・・・・・数日後・・・・

私はまたキムラくんと顔を合せました。

 

私は彼が来るのを待っていたのです。

人気の無い『放課後の自転車置場』で・・・・

ボーッと・・・・・・・・

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キムラくんは私に気づくと、

ジッと見つめてきました。

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私もキムラくんを見つめます。

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何か・・・言おうとも思ったのですが・・・・

言葉が何も出ません。

 

それもそのハズ・・・・・

私達はお互いの事を何も知らないのです。

 

キムラくんは・・・・

無言のままズンズンと近づいてきます。

 

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(あっ・・・まずい・・・)

 

彼は拳を握っています。

私は・・また怖くなって思わず後ずさりします。

 

が・・・・・・・

突然!ドンッ!と
お腹を殴られました!

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うっぷ痛い!

 

しかし・・・ありがたい!

これで『殴る正当な理由』が出来た。

 

私は反射的にブンッ!

殴りかかりました。

 

しかし・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

空振り・・・・当たりません。

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(あ・・・れ・・・・・・?)

私はショックで硬直してしまいました。

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(なんで当たらないんだ?!)

 

この日の為に・・・・・・

ずっと準備してきたのに・・・・・・・

 

 

『警察官』を目指し、

『不良を殴りたかった』私は・・・・・

 高校三年生になってから強くなる為に

格闘技ジムに通い始めました。

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プレハブ小屋みたいなボロボロのジムです。

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(大きい所は怖い!こんな小さい所なら安心だろう!)

そんな風に思っていました。

 

入門初日・・・・・

トレーナーに笑顔で

「サンドバック殴ってみるか?」

そう言われたので殴ってみました。

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 「おっパワーはあるなぁ!」

そう褒めてもらえた事が嬉しかった。

 

実は格闘技を始める前に徹底して

『ウェイトトレーニング』をしていたのです。

(大きな重りを上げたり下げたりする練習)

 

だから力はあった方だと思います・・・・・

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しかし・・・入門1ヶ月後には 、

「お前はパワーだけだなぁ?!」

 と言われてしまうようになりました。

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そして追い打ちのようにこう言われました。

「センスがまるで無い」

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そうなのです・・・・私は弱かった。

 

 

ドスン!

トレーナーのパンチが私の腹に突き刺さります。

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私はダンゴムシのように丸くなります。

いつもの光景です・・・・・

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「折れたかぁ~?」

軽い調子でトレーナーが笑顔で声をかけてきます。

 「よーし折れて無いなら立とうか~?」

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(まさか・・こんなに厳しいジムだとは・・・・)

 

息も絶え絶えで立ち上がり・・・

なんとかダンゴムシから人間に戻ります・・・・

しかし数秒後には、またダンゴムシに逆戻りです。

 

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私は弱い・・全部が弱い・・・

もちろん最初から知っていました・・

 

実際に戦ってみると30数名がいるこのジムで、

子供を除けば私は最弱

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でも弱いだろうなと・・・知ってはいましたが・・・

格闘技を始めたからこそ、自分が弱いと実感出来た。

 

実感出来たからこそ懸命に練習に取り組めた・・・・

 

「お前は弱い!」そうハッキリ言ってくれる

トレーナーがここに居てくれて良かった・・・・・・

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格闘技の練習が終わると真夜中ですが・・・・

今度はウェイトトレーニングに励みます。

 

はじめてから大体1年ほどで、

上半身は『大人2人分』

下半身は『大人4人分』

の重量を持ち上げられるようになりました。

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普通の大人の男性が持ち上げられる重量の

3倍くらいだと思います。(たぶん)

 

 他に褒めてもらえる所が無かったので・・・

 私はウェイトトレーニングが楽しくて

楽しくてたまりませんでした。

 

 そんなある日・・トイレに行くと・・・・

『血尿』が出ました・・・・・

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慌ててトレーナーに相談すると、

「気にすんな!よくある事だから」

の一言で終わりでした。

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カラダにアザが出来すぎるとこうなるらしい・・・

恐ろしい世界だと・・・・改めて思いました。

 

こうして数ヶ月ボコボコと、

殴ったり殴られたりしていると・・・

少し・・・・自分が強くなったように感じました。

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(早く・・・・不良を殴りたい・・・・・)

でも殴るだけじゃダメなのです。

正義は勝たなくちゃ・・・・

絶対に・・・絶対に・・・・・・・・

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私は焦りました・・・・

そう・・・・・時間が無いのです・・・・・・

高校の卒業が近づいているのです。

 

ずっと目障りだった不良というモノに、

自分が学生のウチに一矢報いなければ・・・・

そうで無ければ・・・それが出来なければ・・・

正義の味方(警察官)になれない!

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そして考えた結果・・・・・・

・・・悪(不良)の代表はキムラくんに決めました。

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しかし・・・イザ殴ってみると・・・

当たらなかった。

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(ええっ!?そんな・・・・)

 

簡単に避けられてしまった・・・・・

 

ショック!

ケンカの最中にも関わらず・・・

私は動揺を隠せません。

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しかし・・・・・・・・・

恐怖と緊張と動揺で固まる私に・・・

キムラくんからの反撃がきません・・・・

(あれ・・・・・・?)

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・・・・・・・・・・・?

 

・・・気がつくのに・・・・・

数秒かかりました・・・・

 

です・・・・・

 

キムラくんの顔から、

大量の血が吹き出していたのです。

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あ・・・・・・・・

 

つづく