対北朝鮮制裁に違反の船舶4隻、寄港を禁止=国連
国連は9日、北朝鮮に対する経済制裁への違反が判明したとして、4隻の船舶に対して世界中の港への寄港を禁止したことを明らかにした。
北朝鮮制裁委員会の専門家パネルのヒュー・グリフィス調整官は、前例のない措置を行ったと説明した。
寄港が禁止されたのは、「ペトレル8」、「ハオ・ファン6」、「トン・サン2」、「ジー・シュン」の4隻。
船舶の動きを把握する海洋情報データベースサイト「マリーン・トラフィック」によると、「ペトレル8」はアフリカ沖インド洋の国コモロ船籍、「ハオ・ファン6」はカリブ海の国セントクリストファー・ネイビス船籍、「トン・サン2」は北朝鮮船籍で、「ジー・シュン」の船籍は不明。
国連は先月、北朝鮮が6回目で過去最大の核実験を行ったことを受けて、制裁強化決議を安全保障理事会で採択した。
グリフィス調整官は9日に開かれた制裁執行会議の終了後に処分を発表し、4船舶が「禁止物資の輸送」を行っていたと述べた。寄港禁止は今月5日から実施されており、資産凍結や渡航禁止は伴わないと語った。
禁輸
8月に採択された制裁決議では北朝鮮からの石炭や海鮮物、鉄鉱石の輸出が禁止されている。その後の制裁強化で繊維製品の輸出が禁止されたほか、北朝鮮から出稼ぎ労働者の受け入れも禁じられた。北朝鮮への石油輸出にも上限が定められた。
経済制裁は、6回目の核実験に加えて日本の上空を越えるミサイルの発射実験が2回実施されたことを受けたもの。
北朝鮮の主要な貿易相手国である中国は、ロシアと共に制裁に賛成した。現在の制裁よりも厳しい内容だった当初案には、中ロとも反対していた。
中国向けの石炭や鉄鉱石、その他の一次産品の輸出は北朝鮮にとって限られた外貨獲得手段の一つになっている。推計では、北朝鮮の年間輸出額は30億ドル(約3370億円)で、制裁による減少幅は10億ドルに及ぶとみられている。
しかし、経済制裁が繰り返し実施されてきたにもかかわらず、北朝鮮が核・ミサイル開発を続けるのを阻止できていない。
(英語記事 UN bans 4 ships from global ports for violating N Korea sanctions)