小学生の頃、母親が自家用パン製造機を買ってきた。
私はパンが大好きだったので「やった!これで毎日パンが食べられるね!」と喜んだ。
翌日、母が作ったパンは美味しかった。私は、これからのめくるめくパン食べ放題生活に夢焦がれていた。
私がその後、母の自家製パンを食べた記憶はほとんどない。
結婚して、妻が諸々の家財道具一緒に自家用パン製造機を持ってきた。私は嫌な予感がした。
「ねえ、これいる?」と私は聞いた。
「いるに決まってるじゃん」と妻は言った。
一緒に暮らす初めて数カ月、私はパン製造機が目につくたびに、「パン作らないの?」と妻に訊いた。しつこい私に呆れたのか、妻はその後1度だけ自家製パンを作った。美味しかった。
しかし、その後、妻がパンを作ったことはない。
(参考画像:amazon.comより)
女性はなぜ自家用パン製造機を買いたがるのか?
自家用パン製造機。今はホームベーカリーと言うらしい。
時代は進み、機能も充実して、今はパンだけでなくうどんやそば、ピザなども作れるし、製造時間はかなり短縮されたらしい。
私は、母と妻のホームベーカリーに対する姿勢を見て、女性の習性を垣間見たような気がした。
ホームベーカリー、買っても絶対作んねえじゃん…。
女性はなぜ自家用パン製造機(ホームベーカリー)を買いたがるのか?
ホームベーカリーで定期的にパンを作る女性は存在しない
気持ちはわかる。みんな、パンが大好きである。特に、女性でパンが嫌いな人には会ったことがない。
家の中にパン製造機があって、朝起きたらほかほかのパンが出来上がってるとか、それはもう夢のような話である。
そんな生活を想像したときに、胸がときめくのはわかる。だから、女性が自家用パン製造機を欲しくなる気持ちは、十分にわかるのだ。
だけど、もし目の前でパン製造機を買おうとしている人がいたら、後ろから私はささやきたい。
「でも絶対作らないよね?」
彼女は反論するだろう。でも、絶対作らない。理由はない。ホームベーカリーで定期的にパンを作る女性など、この世界に存在しない。
無視できないキッチンにおける存在感
もそこれが、収納簡単な大きさであれば、私だってとやかく言わない。キッチンのシンクの下あたりにでもしまっておけばいいのだ。
しかし、ホームベーカリーというのは、けっこうな大きさなのである。炊飯器より大きい。
うちにあるのは、電子レンジを縦にして、一回り小さくしたような感じの大きさだ。キッチンにおいて、独特の存在感を示している。
その家電が、日常的に使われているならまだ、いい。
しかし、1年に一回、使うか使わないかの家電がその存在感で鎮座しているのは、明らかに場違いであろう。
女性の習性としての自家用パン製造機
誤解されるかもしれないが、私は自家用パン製造機を頑なに保有し続ける妻に文句を言っているわけではない。
しかし、女性の習性として、とても面白いと思っているだけだ。
母と妻だけではサンプルとして脆弱なので、同僚の家庭を持つ女性に聞いてみた。
「ホームベーカリーって家にありますか」
「ありますよ」
「使ってる?」
「使ってないね(笑)」
安定の回答である。もはや、それが当然であるかのような答え。
いや、当然と言えば当然なのだ。女性は、ホームベーカリーは欲しい。ただ、絶対に使わない。たまに思い出したように使って、1年の大半は電源オフ。それがホームベーカリーの運命である。
パンはコンビニでもパン屋でも行けば買える
そもそも、よく考えてみてほしい。パンなんて、コンビニに行けば買える。
パンが食べたい、と思った時に、自家用パン製造機でいろいろ材料を入れて少しの時間待つ手間と、コンビニやパン屋へ行って好きなものを買ってくる労力とを比べたら、明らかに後者が勝るのだ。
確かに、焼き立てではないかもしれない。しかし、焼き立てでなくても、コンビニのパン屋は美味しい。朝一に行くパン屋のパンは、この世がひっくり買えるぐらい美味しい。
それで十分じゃないか。
自分でパンを作る必要なんかないんだ!!
この記事は、私自身の周囲の狭い世界で観測できる範囲における、女性のパン製造機購買習性とその後の姿勢について書いた。
もし、週に1度パンを作る女性がいたら、研究の参考にするので教えてほしい。