じゃらんnet>じゃらんニュースTOPページ>関東>食欲の秋に是非1杯!ラーメン官僚が選ぶ、絶品辛ラーメン&ニューラーメン10傑
季節はもう、秋真っただ中。夏場に減退した食欲が嘘のように回復し、つい、「あれもこれも」と様々な食べ物に手を伸ばしてしまいがちなのが、この時期のお約束だ。
でも、ちょっと待ってほしい。いくら「食欲の秋」とはいえ、人間ひとりが胃袋に収めることができる食べ物の分量には限りがある。食事の回数は、決して無際限ではないのだ。機会が限られてしまうのであれば、可能な限りリスクを避け、確実においしい料理を口にしたいではないか。
というわけで、今回の特集では、貴重な機会を確実にモノにできる絶品ラーメンが味わえる店舗を10軒選りすぐって紹介することとしたい。
前半の5軒は、相変わらず人気が堅調な辛いラーメンが食べられる店舗、後半の5軒は、直近3ヶ月以内にオープンした新店をピックアップさせていただいた。
気になった店舗があれば是非、店へと足を運んでいただき、「食欲の秋」を謳歌していただければ、嬉しい限りだ。
9月13日、東京・池袋に1軒の新店が産声を上げた。それが、今回ご紹介する『六坊担担面』だ。
同店を手掛けるのは、『渡なべスタイル』の代表・渡辺樹庵氏。店舗のロケーションは、各線池袋駅から3分も歩けばアクセス可能な好立地。
渡辺氏は、ラーメンコンサルタントとして数多くのラーメン店をプロデュースしながら、自らも複数のラーメン店を経営する、ラーメン界の大御所。そんな渡辺氏が今般、汁なし担々麺の開発・提供に乗り出していることは、9月上旬段階にはマニアの間で周知の事実となっており、大きな期待が寄せられていたところだった。
提供するのは、「日式汁なし担々麺」、「成都式汁なし担々麺」及びそのバリエーション。
「日式汁なし担々麺」は、ジャンルの特徴を的確に把握し味を美しくまとめ上げることに長けた同氏の才能が、存分に活かされた逸品。辛みとうま味がピタリと符合することで生まれる後味は、官能的。時折、顔を覗かせる海老の芳香も、この上なく甘美だ。
時間を問わず、サラリーマンやOLが行き交うビジネス街、虎ノ門。
そんな虎ノ門エリアは、ここ数年、多くのラーメン店がオープンし、ちょっとしたラーメン激戦区の様相を呈しつつあるが、実は、大衆中華のメッカであることでも知られる。
今回ご紹介する『中国家庭料理味覚』は、そんな大衆中華料理店のひとつ。とりわけ、麻婆豆腐のクオリティが高いことで有名であり、ほとんどの客が「麻婆豆腐」をオーダーする。
名物メニュー「味覚石焼麻婆刀削麺」は、そんな麻婆豆腐と、弾力性豊かな極太刀削麺がコンビを組んでいるのだから、もはや、向かうところ敵なし状態だ。
辛みの強さは、今回の特集で紹介している辛系メニューの中でも圧倒的。最も辛みを抑えた「薄辛」でさえ、辛み耐性が低い人なら、口内に激痛が走り、全身から汗が噴き出すほど。
辛味一辺倒ではない。唐辛子・ラー油の辛みのみならず、中国山椒に由来する「麻」の痺れや、熟成豆板醤のうま味が存分に堪能できる構成は、中華通、ラーメン通ともに一目置かざるを得ない本格派だ。
引き続き、紹介させていただくのは、『キング軒銀座出張所』。
同店は、広島市で絶大な人気を誇る汁なし担々麺の実力店『キング軒』の東京進出第二号店。広島県のアンテナショップ『TAU』の中に設置された、カジュアルな雰囲気のイートイン・スペースが、そのまま店舗となっている。他ではなかなかお目に掛かれない、面白い立地だ。
提供するメニューは、「広島式汁なし担担麺」オンリー。
啜り上げた麺が口内に飛び込んだ刹那、麺にピタリと付着した中国山椒から柑橘の香りが舞い上がる。芳香が鼻腔へと突き抜けた直後、自家製ラー油から放たれる、目が醒めるような辛みとコク深いうま味が、味蕾を心地良く刺激。
花山椒、ラー油、そして唐辛子。これらの3者の風味を見事にまとめ上げる芝麻醤の豊潤な甘みも、同店の汁なし担々麺のアイデンティティを形成するキラーコンテンツ。
麺量は、普通盛で高々140g。じっくりと味わいながら食べ進めていかないと、一瞬で丼を空けてしまうに違いない。
「和歌山の生産農家へと足を運んだ時に出逢った、有田川町『カンジャ山椒園』のぶどう山椒。その農園のぶどう山椒の風味に心底惚れ込み、この宝をラーメンに使いたいという欲求がムクムクと湧き上がってきました。それが『ぶどう山椒の麻婆麺』誕生のきっかけですね」と笑う店主。
一般的に、その反対こそあれ、ラーメンを構成する素材のひとつからラーメンの姿を構想する作り手など、滅多にいないだろう。それを、易々とやり遂げてしまう。店主の発想力の非凡さを示すエピソードだ。
山椒を使用しながらも、ありがちな担々麺に飛び付かず、レア度がより高い麻婆麺に挑戦するところにも、好感が持てる。
食味も群を抜く。中国山椒とは趣を異にする「ぶどう山椒」の清く涼やかな辛みが、味の決め手。その辛みが、豚挽肉に幾種類ものスパイスを重ねた自家製麻婆餡のうま味を、より一層鮮やかに彩る。
麺も、来訪客の嗜好に合わせて、オープン当初の中細麺から太麺へとシフト。老若男女を問わず、十分な満足感が得られる1杯へと成長を遂げた。
東武スカイツリーライン沿線における埼玉の玄関口に位置し、以前から、県内屈指のラーメン激戦区として名声を轟かせてきた草加。
そんな草加の地に8月22日にオープンしたのが、こちらの『tokyo hoajao style IKEDA』だ。屋号に『tokyo』は冠しているが、実は同店。愛知県・名古屋市の人気店『tokyo miso style IKEDA』の首都圏初進出店舗である。
現時点におけるメニュー構成は、「ラーラー麺」「ラーラーパクチー」「カリー麺」「カリーパクチー」の4種。
うち、基本メニューは、「ラーラー麺」と「カリー麺」。いずれもハイレベルだが、特におススメなのが、メニューリスト筆頭メニューである「ラーラー麺」だ。
味噌ダレに芝麻醤をしっかりと溶かし込んだスープは、自家製の薫り高いラー油のコクとうま味が絶妙な塩梅で作用し、ひと口目から頬が落ちそうになるフルボディの味わいを展開。あえて硬めに茹で上げられた中太麺のボクっとした食感も、食べ手に鮮烈な印象を刻み込む。
この味。ありそうで中々なかった、辛系ラーメンの新機軸だ。
店舗のロケーションは、JR新橋駅から徒歩5分弱。外堀通りに沿って虎ノ門方面に歩を進めていけば、やがて、右手に瀟洒なモノトーンに彩られた真新しい店舗が現れる。
それが、本年9月11日にオープンした『肉そば鶏中華 最上川』だ。
屋号が示すごとく、同店で提供されているのは、山形県・河北町のご当地麺「肉そば」と「鶏中華」。最近、中央区から港区にかけての一帯に、ご当地ラーメンを提供する店舗が続々と誕生している。確かに、考えてみれば、地方出身の社会人が数多く勤務するビジネス街に、彼らの故郷の味を提供する店舗を出すことは、理に適った戦略だ。
「肉そば」には日本蕎麦、「鶏中華」には中華麺を用いるが、スープや具など、それ以外のパーツは共通。
大量の羅臼昆布を用い、サバ節・カツオ節・いりこ等とともにじっくりと煮込んだスープは、口に含んだ瞬間、
穏やかで優しいうま味に、思わず笑みがこぼれてしまう。具として、コリッと硬質な歯ごたえが特徴的な親鶏を採用し、本場の味を忠実に再現しようとする姿勢も、高く評価したい。
オープンは、本年9月2日。ロケーションはJR吉祥寺駅から徒歩10分程度と、必ずしも至便でないにもかかわらず、その日、開店前から長蛇の列が店の前に出現した。
それもそのはず。同店の店主は、都内を代表する実力派『地雷源』グループで研鑽を重ねたすご腕。いわば「鳴り物入りでの創業」ということもあり、この日が来るのを待ちわびていたマニアも多かったのだ。
同店の基本メニューは、「醤油の旨味ソバ」。
スープは、鶏と豚骨が無類の存在感を誇示するが、魚介などを含めた様々な素材もうま味の形成に一役買い、ファーストアタックから群を抜くクオリティの高さを感じさせるものとなっている。
カエシのうま味の作り方も精巧極まりないが、カエシを支える出汁の厚みも尋常ではない。啜った時に口内に滞留する出汁の素材感が、オープン早々にして、既に99.9%の他店のそれを完全に凌駕している。
麺も秀逸のひと言。修業先のそれよりも短くカットされ、啜り心地と啜りやすさを兼ね備えたものとなっている。啜り心地軽やかな麺が、スープを巻き込みながら口の中でパツンと弾ける。この1杯を前にすれば、丼を空にするなと言う方が無理な相談だ。
引き続きご紹介するのは、本年9月15日にオープンした『櫻井中華そば店』。
同店は、これまで目立った動きがほとんどなかった横浜市・保土ヶ谷エリアに、突如として降臨。オープン直後から、常に長蛇の列を発生させる人気店となり、現在にまで至っている。
提供するメニューは、現在のところ「中華そば」「つけそば」の2種類と、そのバリエーション。
中でも私がおススメしたいのは、「中華そば」に希少な「寿雀卵」の味付玉子をトッピングした、「味玉中華そば」だ。
味は、オープン早々にして既に一流。「信州黄金シャモ」の丸鶏と、鶏生ガラ・鶏ムネ挽き肉・手羽先などを丁寧に炊き上げたスープは、食べ始めから食べ終わりまで、知覚できる鶏の滋味が衰えを見せることは一切ない。
カエシに用いる醤油は、200年以上の歴史を誇る茨城県の醸造所『ヨネビシ醤油』の生揚げ。鶏の素材感を最も重視しながらも、全体として、複数のうま味が舌上で手を結ぶ奥深い味わいを構築。このスープに合わせる自家製手もみ麺のメリハリ豊かな食感も、一度は体験する価値ありだ。
ひと昔以上前から、いぶし銀的な店舗が随所に点在する、中板橋エリア。
そんな中板橋エリアに、本年8月30日、待望の新店が登場した。それが、こちらの『まつおぶし』だ。
店主は、千葉県・津田沼を代表する名店『必勝軒』の暖簾分け店舗である、蘇我の『つけ麺石ばし』のご出身。いわば、『必勝軒』の孫弟子店ということになる。
同店で、私がおススメするのは「つけめん」。
豚のゲンコツをはじめとする動物系素材から採った出汁と、鰹節・サバ節・宗田節等の節系素材から採った出汁とが華麗にクロスオーバーするつけダレは、濃度や粘度に頼らず、出汁由来のコク&和風味の合わせ技で勝負する、修業元譲りの味わい。
小麦の素材感と香りを高らかにフィーチャーした麺は、もちろん自家製。麺自体が「個」として存在感を主張するタイプであり、つけダレとの適度な分離感が、却って心地良い食味を生んでいる。啜っている内に、麺があっという間になくなってしまうので、麺の量は中盛(270g)以上を頼みたい。
今回の特集のトリを飾るのは、本年9月15日、JR北松戸駅のロータリーにオープンした『麺屋ひなた』。
店主は、4年前から独学でラーメンづくりを始め、何度も試行錯誤を重ねた末、今般、ついに自身が納得できる味へと到達。
書き留めたレシピはノート1冊分を優に超えるという。そんな店主が紡ぎ出す「中華そば」は、カメリアラード、鶏油、ネギ油の3種類の油を惜しげもなく用いることで、動物系由来の力強いうま味と節由来の繊細な和風味とが交互に味覚中枢を侵襲する、メリハリ豊かな1杯だ。
節系素材を大量に投入し、じっくりと炊き上げることで、油やタレとも真っ向からせめぎ合う豊かな出汁感を演出。「もう少し塩分を上げようかどうか迷っています」と言うが、現在のバランスこそが、老若男女を問わない最適解。
麺は、店主が心底惚れ込んだという『菅野製麺』製のストレートを採用。スープのみならず、スープ表層に浮かぶ油をもガッツリと持ち上げる良品だ。
※この記事は2017年9月27日時点での情報です。
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通称「ラーメン官僚」。ラーメン食べ歩き歴20年以上、実食杯数は11,000杯以上に及ぶ。直近の数年間は、毎年700杯~800杯のラーメンをコンスタントに実食。2016年現在、日本でラーメンシーンの「今」を最もよく知る人物。