RSAとは、代表的な公開鍵暗号の1つである。この暗号の発明者である3人の名前(R.L.Rivest、A.Shamir、L.Adleman)の頭文字をつなげて命名された。
RSA暗号は、整数論の定理であるオイラーの定理と2つの素数を使って公開鍵暗号の仕掛けを実現しており、大きな数の素因数分解が困難であることを、安全性の根拠としている。
インターネットを活用した情報交換が活発化すると、その相手が不特定多数かつ広範囲となることから、鍵の管理が容易かつ相互運用性に優れた方式が必要になる。RSA暗号はその性質を満たしており、登場から30年がたつ2017年現在もPKIやSSL、TLSなど、さまざまな場面で活用されている。
RSA暗号は、世界で初めて開発、実用化された公開鍵暗号ということもあり、特殊条件下での暗号への攻撃についての研究が他の公開鍵暗号と比較して進んでいる。このため、RSA暗号を利用する場合には、OpenSSLやGnu PG(PGP)のように、利用実績が豊富なソフトウェアの最新版を利用し、それらのソフトウェアが生成する安全な鍵を利用すべきである。
通常の公開鍵暗号方式は、通常は公開鍵を用いて暗号化を行い、秘密鍵を用いて復号を行うが、RSA暗号はその構造上、通常の公開鍵暗号方式とは逆に、秘密鍵を利用して暗号化を行い、公開鍵を用いて復号を行うことも可能である。このような性質を電子署名に応用することは十分可能だが、秘密鍵と公開鍵の役割を逆転させたRSA暗号を、そのまま署名として利用する場合、利用の仕方によっては安全性が損なわれる。このため、RSA暗号を電子署名用途に用いる場合には、RSA-PSSなどの安全性の証明されている既存の方式を用いるべきである。
■公開鍵暗号方式
■SSL(Secure Sockets Layer)
■PKI(Public Key Infrastructure)
■PGP(Pretty Good Privacy)
【2004/1/1】初版公開。
【2017/10/10】最新情報に合わせて内容を書き直しました(セキュリティ・キャンプ実施協議会 著)。
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