ビタミンC不足で寿命が1/4
<ビタミンC不足で寿命が1/4>
ビタミンCが不足すると何が起きるのか、その恐ろしい事実をご存じですか?
肌荒れや化粧の乗りが悪くなる程度では済まされず、寿命が4分の1になってしまうというのです。
4分の1ということは、100歳の人間にたとえるなら、25歳で死んでしまうということです!
ビタミンC不足の恐ろしい影響を劇的な形で世に示したのが、東京都健康長寿医療センター研究部長、石神昭人さんです。
それが明らかになったのはマウス実験です。
数々の実験で活躍するマウスですが、ビタミンCを調べるには問題がありました。
実はマウスは人間とは違って、ビタミンCを与えなくても、食べたエサを材料に体内でビタミンCを作ってしまうのです。
そこで石神さんたちは遺伝子を操作して世界で初めてビタミンCを作れないマウスを開発しました。
そのマウスを2つに分け、片方には十分なビタミンCを(人間に換算して、100mg/日)、もう片方にはごく僅かな量だけ(人間に換算して、2.5mg/日)与えました。
そして、どんな差が出てくるか、追跡したのです。
すると半年後、ビタミンC不足のマウスが次々と死んでいったのです。驚かされたのは、その原因でした。
「がんや炎症など、人が起こるような病気になって死ぬことはありませんでした。カラダが痩せ細って、臓器が萎縮して軽くなってしまう。人の老衰としか言えないような症状で、このマウスたちは死んでしまいました。」(石神さん)
[資料提供:東京都健康長寿医療センター]
実験開始から半年後の写真です。
ビタミンC不足のマウスは足が衰え、自分の体重を支えられていません。
老衰したときに見られる特徴の1つです。
普通のマウスの寿命はおよそ24か月。
一方、ビタミンC不足のマウスは平均して6か月しか生きられませんでした。
これこそ「ビタミンC不足は寿命を4分の1にしてしまう」という衝撃の事実を世に示した実験なのです。
なぜ寿命が縮まるのか。キーワードは「サビ」だといいます。
いったい、サビとは何なのでしょうか。
また、そもそもカラダの老化とは、どういうものをいうのでしょうか?
「老化とはカラダを作っている、1つ1つの細胞が、年を取るに従って、働きが落ちてくる。すると、その細胞たちが作っている、組織、器官、臓器の働きも落ちてくる。これが老化です。その最も大きな原因と考えられているのが、酸化つまり「サビ」です。細胞1つ1つの働きが落ちれば、当然エネルギーを作る速度は落ちてきますから、疲れやすくなるのです。」(石井教授)
私たちが思っている以上に、ビタミンCは必要なんですね。
ビタミンCには、老化の原因、カラダのサビを食い止める力があるということ。
それを示すため、リンゴを使った実験をしてみました。
切り立てのリンゴが、6時間経過すると……。表面が茶色く変色しています。
「空気中の酸素が表面を酸化させているということです。カラダの中では活性酸素が同様に酸化させることになります。」(石井教授)
ところが、ビタミンCに漬けて6時間たったリンゴは、切り立てよりもむしろきれいに見えます。
「これは、まさしくビタミンCがカラダの細胞にできるサビ、酸化を防いでいるということです。カラダの中は、水分で満たされている。そこにビタミンCがあれば、これと、同じ状況です。」(石井教授)
ビタミンCで老化を食い止められるという証拠ですね!
<1500万年前の突然変異>
マウスは人間と違って自分のカラダのなかでビタミンCを作るという説明がありましたよね。
でもそれ、マウスだけではありません。
ライオンなど肉食の動物も、ビタミンCをカラダの中で作ることができるのです。
実は、自分でビタミンCが作れないのは、人間やサルなどの一部の生き物。
それは遺伝子の突然変異が原因でした。
およそ1500万年前、私たちの祖先がまだサルだったころ。突然変異が起こり、私たちはカラダのなかで
ビタミンCが作れなくなってしまったのです。
いまや食べ物でビタミンCをとるしかない私たち。
しかし、実はそれが、意外に難しいのです。