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決定的瞬間。報道写真は死んでいない。それを証明する写真たち

決定的な瞬間

今年2月、「第60回世界報道写真コンテスト」の受賞作品が発表された。大賞に輝いたのは、駐トルコ・ロシア大使の殺害現場を写したドラマティックな1枚。そのほかにも、2016年を象徴するような印象的な写真が選ばれた。

審査員のメアリー・カルバートは声明の中で、「審査は難航しましたが、今の世界に渦巻く憎悪が伝わってくる衝撃的な写真を大賞に選びました」と述べている。「この写真がスクリーンに映し出されるたびに、後ずさりしたいような気持ちになりました。それほど衝撃的な写真です。また、世界報道写真コンテストとその意味をまさに定義付けるような1枚だと感じました」

受賞作品の中から38枚を紹介しよう。全受賞作品はこちらに掲載されている。

現代社会の問題部門、組写真第1位

Amber Bracken, Amber Bracken for BuzzFeed News

1886kmにわたる地下石油パイプラインのプロジェクト「ダコタ・アクセス・パイプライン」に対する抗議デモと、それを制圧しようする保安官たち。ノースダコタ州モートン郡の、建設作業員が寝泊まりする宿舎脇にある道路でデモが行われた。保安官たちは参加者たちに、ゴム弾や催涙スプレー、テーザー銃を使用。複数の逮捕者が出た。抗議デモは繰り返し行われており、保安官側は軍隊用車両や放水砲、催涙ガスを駆使し、制圧を試みている。着発式の手りゅう弾が使用された疑いもある。


日常生活部門、組写真第1位

Tomas Munita for The New York Ti

キューバ青年労働軍の民兵たちが道路沿いに並び、フィデル・カストロの遺骨をサンティアーゴ・デ・クーバに運ぶ車列が通過するのを待っている。2016年12月3日の明け方に撮影。キューバ政府はカストロの死を受け、葬儀までの9日間、喪に服すと宣言した。

現代社会の問題部門、組写真第2位

Lalo De Almeida

母親の膝に乗せられた双子の妹エロア(右)とエロイーザ(右)を見つめるマルセラ。ブラジル北東部アレイアス郊外にある家族の自宅で撮影。エロアとエロイーザは、ジカウイルスが原因である小頭症を患っている。アレイアスのあるパライバ州は特に、ジカウイルスが原因の小頭症が高確率で発生している。

日常生活部門、単一写真第3位

Matthieu Paley

ストッキングに紙幣を挟むウイグル族の女性。中国カシュガルの列車ではよく見られる光景だ。ウイグル族はイスラム教徒だが、近隣諸国とは異なり、保守的なドレスコードに従う女性はあまりいない。

現代社会の問題部門、組写真第3位

Peter Bauza

人々が勝手に住みついているこの建物が抱えるさまざまな問題を説明する牧師。牧師自身も、この建物の住人だ。写真が撮影された数週間前の夜には、廊下が落下したという。ブラジルでは、まともな屋根もない場所に暮らす人が何百万もいると推定されており、その数は増加の一途をたどっている。政府は住宅計画や貧困対策を進めているが、「家なし、土地なし」の人々は未来に希望を見いだすことができないというのが現状だ。

日常生活部門、組写真第2位

Elena Anosova

ロシアの最北端にある人里離れた荒野では、数世紀前からほとんど変わらない暮らしが営まれている。道路はなく、月に2度、ヘリコプターの定期運行があるのみだ。住民たちの祖先は300年以上前、ニジニャヤ・ツングースカ川のほとりに小さなコミュニティーをつくった。彼らは、先祖代々のハンターたちだ。


一般ニュース部門、組写真第2位

Sergey Ponomarev for The New Yor

イラク軍とIS(自称「イスラム国」)が戦いを繰り広げる中、モスルの住民たちが街を出ようとしている。2016年11月16日撮影。イラク軍のモスル奪還作戦は6週間で行き詰まり、あとは消耗戦となった。ISの銃弾から無事に逃げ延びることができたら、きっと救いの手が差し伸べられる。多くの住民がこのような希望を抱き、危険を冒して避難した。

一般ニュース部門、組写真第1位

Daniel Berehulak for The New York Times

葬儀場の従業員がジムボーイ・バロサの遺体をナボタスの墓地に運ぶ前で、6歳の娘ジムジが「パパ」と泣き叫んでいる。2016年10月9日、フィリピンのマニラで撮影。ある夜、見知らぬ男たちがバロサと近所の友人を拉致。それから約1時間後に、近くの橋の下で、2人の遺体が発見された。遺体には、拷問の痕跡と銃で撃たれた傷跡があった。2人には麻薬密売の疑惑があったと警察は主張しているが、家族は自首したはずだと訴えている。

長期取材部門、組写真第1位

Valery Melnikov for Rossia Segodnya

道端の花に水をやる男性。2016年7月16日、ウクライナの荒廃した村スパルタクで撮影。ドンバス地域では2014年、分離派と政府による内戦が勃発し、一般市民が犠牲になっている。

長期取材部門、組写真第2位

Hossein Fatemi / Panos Pictures

2016年8月20日、米国シカゴのダウンタウンに暮らす2人のイラン人学生(タラとソロウシュ)が結婚式を記念してポーズをとる横で、路上で祈りを捧げるイスラム教徒のタクシー運転手。イランは全人口の60%超が30歳以下だが、彼らは、神権政治に移行する前のことをほとんど知らない。また、インターネットや衛星テレビはいまだに違法だが、ひそかに浸透しており、普通の若者文化や現代文化を体験できるようになっている。

自然部門、組写真第1位

「ルラー」と名づけられた、生後1カ月のサイ。母親を殺された後で、ハイエナに襲われた。南アフリカ、ネルスプロイトのNGO「ケア・フォー・ワイルド・アフリカ」のドラタ・ラドスが24時間体制で看護している。ラドスはルラーと一緒に暮らしており、写真はルラーの小屋で一緒に眠っているところだ。ルラーの傷と体温を定期的にチェックし、決められた時間に餌を与えている。

スポットニュース部門、組写真第3位

Mathieu Willcocks / MOAS

2016年、多くのリビア人が命懸けの航海に出た。地中海の向こうにあるイタリアを目指すためだ。航海に適さない船が次々と出航するため、慈善団体やNGOは対応に追われている。NGOの「MOAS」は国際水域に救難艇を配備し、請負業者から衛星電話を渡された密航者たちからの連絡を待ったり、目視で密航船を探したりしている。救助は一刻を争うため、たとえ真夜中でも無関係だ。


人々部門、組写真第2位

Antonio Gibotta / Agenzia Controluce

2016年12月28日、スペインのイビで「小麦粉戦争」が始まった。住人たちが2組に分かれて行う名物行事だ。「エンファリナット」(小麦粉軍)がクーデターを起こし、もう一方が制圧を試みる。武器は、小麦粉、水、卵、カラフルな発炎筒などだ。ユダヤ人の王ヘロデがイエスを探すため、赤ん坊を1人ずつ殺すよう命じた「幼児虐殺」の記念行事として、200年前から続けられている。

スポーツ部門、単一写真第1位

Tom Jenkins

競走馬「サーデシャン(Sir Des Champs)」から落ちる、騎手のニナ・カーベリー。2016年4月9日、英国リバプールのエイントリー競馬場で開催された「グランドナショナルミーティング」の3日目、メインレースの障害競走「グランドナショナル」の、「ザ・チェア」と呼ばれる障害物で落馬した。

スポーツ部門、組写真第1位

Giovanni Capriotti

ラグビークラブ「マディー・ヨーク」が資金集めのために毎年行っているドラァグ・クイーン・ショーの練習風景。マイケル・スミス(左)、デビン・マカーニー(中央)、ジャン・ポール・マルキデス。2016年11月5日、カナダ、オンタリオ州トロントで撮影。



この記事は英語から翻訳されました。翻訳:米井香織/ガリレオ、編集:BuzzFeed Japan

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Kate Bubacz is a Senior Photo Editor for BuzzFeed News and is based in New York.

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