耳鳴り(耳なり)

耳鳴り(耳なり)の整体

耳の専門家では耳鳴りの事がわからないのかもしれない

神戸のとある喫茶店での事です。
その店の常連客がマスターに、


「手首が痛いのだけど、なんで痛いかわからない。」


という話をしていました。
すると、たまたま別の常連客がいて、その人がお医者さんだったので、マスターが気を利かせて聞いてみてくれたそうです。すると、


「私は指の専門家なので手首の事はわかりません。」


と言って話を聞いてくれなかったそうです。
冗談のように聞こえますが、本当にあった話です。(もしかしたらプライベートで仕事の話をしたくなかっただけかもしれませんが・・・。)耳鳴りはこの話と同じような事が起こっていると考えています。試しに、手首に手をあてて指を動かしてみてください。指を動かせば手首にも動きがあるのを感じる事ができるでしょう。指が手首と無関係ではないことがすぐにわかるのです。

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手首に指をあてて手先を動かしてみてくだい。
指と手首は無関係でないのはすぐにわかります。

もしかしたら、ここまでの内容では私が何を言いたいのかわからない人もいるかもしれません。でも、とても大切なことですのでもう少し我慢して読み進めてみてください。

耳鳴りについて理解するには、人間の体についての理解を少し深める必要があります。
そこで遠まわりに感じるかもしれませんが、まずは私が耳鳴りという問題にどのような形で取り組んできたのか、その流れについて説明いたします。


整体をはじめたころは、耳鳴りなんてどうしようもないと考えていました。
ですから、耳鳴りの相談を受けても、正直にわかりませんと答えていました。しかし、耳鳴りが止まらないんですという人を整体して自律神経の働きを整えてゆくと、たいていの人は耳鳴りの音が止まったり、小さくなりました。当然ですが、耳鳴りをどうこうしようという意図があったわけではありません。ただ、その人の体の悪いところを探して自律神経の働きを整えていただけですが、意図しない結果として耳鳴りの状態がかわっていったのです。


耳鳴りが止まらないという人はたいてい、


「耳にはなにも異常がない。」


という検査の結果がでているのではないでしょうか。


しかし、もし耳鳴りが止まらない原因が耳にはなかったらどうなるでしょうか?
耳鳴りは、耳の状態を丁寧に調べますが耳しか調べません。そのせいで耳鳴りが止まらない原因がわからなくなっているのだとしたら?耳の専門家に指や手首の事について相談してみたらどんな答えがかえってくるか?

これが、


「耳鳴りは止まらないから死ぬまで上手に付き合うしかない。」


などという結論になってしまう理由だと私は思います。
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耳には問題がないから原因が見つけられないのです。


人間の体は原因と結果が1対1で対応しているわけではありません

実は、耳鳴りとは全く関係ないと思える事が耳鳴りが止まらない原因であることの方が多いのです。
ある方が、キーンという耳鳴りがひどくて困っていると、お医者さんへ相談にいったら、


「耳鳴りがなるのはあなたが横着だからだ。毎日せっせと運動をしていれば耳鳴りが鳴るようなことなどない。そして、耳鳴りは鳴りはじめたらもう止まらない。」


と言われたそうです。
この方はご主人と離婚して一人で子育てしていたそうです。必死に子育てして、その結果として体の調子を崩して耳鳴りで困っていたのでとてもショックを受けておられました。


しかし、この方の耳鳴りはあっさりと止まりました。
耳鳴りは時間をかけないと止まらない傾向があるので、整体した私がびっくりするぐらいでした。当然ですが、毎日、ジョギングをしたら止まったのではありません。耳鳴りの原因は運動不足ではなく、自律神経の働きが悪くなっていたからです。


耳鳴りで困っている人の体を確認すると自律神経の乱れが必ず見つかります。
耳鳴りは、交感神経の働きが悪くなっても、副交感神経の働きが悪くなっても起こります。この自律神経の乱れが、耳の音を感じ取る器官(内耳といいます)の働きに悪い影響をあたえてしまうのです。

ただ、一つ注意することがあります。
それは、自律神経の働きが悪くなった時に必ず耳鳴りが鳴るというわけではないということです。体の異常は、原因と結果が全て1対1で対応するわけではありません。敏感なところや弱い部分というのは個人差があります。

例えば、花粉症で、すべての人が鼻水で困るというわけではありません。
くしゃみで困る人もあれば、目のかゆみで困る人、のどのかゆみで困る人など様々あります。体質や生活習慣によって辛くなる場所や症状がかわってしまうことなど珍しくありません。

それと同じように、自律神経の働きが乱れたときに耳に影響しやすいタイプの人がいます。
同じように自律神経の働きが悪くなっていても頭痛や肩こりに悩む人もいれば、耳鳴りで困るようになる人もいるのです。原因と結果が1対1で対応していると考えるから本当の原因に気づけなくなっているのではないかと思います。


耳鳴りの原因とメカニズムについて

これは学術的な研究成果ではなく、整体の技術、知識、そして私の経験からくる推測です。
また、私は整体師ですから、耳の機能の細部について研究しているわけではありません。ですから、矛盾などもあるかもしれません。しかし、それでもこの考え方で耳鳴りの音はたいてい止まります。一部、耳鳴りが残る人もいますが、音はほとんど気にならない程度にまで小さくなります。

人間は、音を聞くために3つの骨を使っています。
具体的に、名前をあげると、鐙骨(あぶみこつ)、砧骨(きぬたこつ)、槌骨(つちこつ)です。インターネットで「耳の骨」なんていうワードで検索をしてもらうと、それぞれ骨の形が、馬のあぶみだったり、とんかちの形をしているのが確認できます。

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耳の構造を簡単に図に表してみたもの


余談ですが、実は耳が全く聞こえない人でも耳鳴りは聞こえます。
実際にそういう人が相談にこられた事があります。当然、会話はできませんから、手話のできる方が通訳でこられてコミュニケーションをとりました。耳がまったく聞こえないのに、耳鳴りが聞こえるという事実は、耳鳴りの事を考える上で非常に重要な事だと思いますがあまり語られる事がないようです。耳鳴りについて研究をしている人がいればどのように考えているのか、意見を聞いてみたいと思ったりもしています。

音を聞き取るということは3つの作業が必要です。
鼓膜で音の振動を受けて、それを増幅し、さらにそれを脳に伝えなければいけません。この作業を3つの骨で行っていると考えてもらうとよいでしょう。これらの3つの骨の働きがうまくいかなくなった時に耳鳴りが起こる事があるのだろうと考えています。

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音を聞くためには3つの骨がちゃんと働く必要があります。

控えめな表現になるのは、これらの骨に異常が起こったときに必ず耳鳴りが鳴るのではないからです。難聴になる人もいますし、聞こえにくい上に耳鳴りも鳴っているという人もいます。そのためちょっと乱暴な表現をするなら、耳鳴りも難聴も整体する上ではたいした違いがないことになります。

耳の3つの骨は頭の中にある小さな骨です。
当然ですが、手でふれて確認することができません。しかし、これらの骨にはちゃんと筋肉と神経がつながっていますので間接的に状態を確認できます。

もっともわかりやすいのは首の状態をみる方法です。
耳鳴りが鳴っている人に共通しているのは首に異常な緊張がみつかる事です。ですから、直接的な耳鳴りの原因は首にある異常な緊張だといってもよいかもしれません。

ただ、厄介なのは首に異常な緊張がでてしまう原因には様々なケースがあるということです。
わかりやすいものから、こんな事が原因なのかとびっくりするものまでありとあらゆることが耳鳴りの原因になってしまいます。

 変わった原因を4つほど紹介しておきましょう。

・足首が伸びない。歩くのには支障はないが正座できない程度
・胃の調子が悪い、逆流性食道炎である。
・お酒の飲み過ぎ。
・スケートボードの練習でできた体中の打ち身

 これらは突飛すぎて、どうして耳鳴りの原因になるのか理解しにくいかもしれません。しかし、自律神経の働きという点に注目して考えると十分に耳鳴りの原因になりえるものだとわかります。

 簡単にまとめるなら、体のどこかに悪いところがあると首の緊張が抜けなくなって、それが極まってしまった時には耳鳴りに化けてしまうことがあるということです。少々、ややこしい説明になってしまっていますがチャートで表現するならたったの3行です。


 体に悪い部分がある。つまり、自律神経のバランスが乱れている。
        ↓
 首の神経、骨、筋肉が緊張してしまう
        ↓
 首の緊張が耳の機能に影響して耳鳴りが起こる


 耳だけ、足だけ、腰だけ、胃の状態だけをみていると、耳鳴りというものの本当の原因が見えなくなってしまいます。これが、常に体全体を1つとみて、自律神経がどのような状態かと考えて整体している私の耳鳴りに対する考え方です。
 
もう1つ余談です。
突発性難聴もこれらの骨の異常ではないかと考えています。突発性難聴は突然きこえなくなった後、耳は聞こえるようになったがひどい耳鳴りが残ったという経過が多いようです。これらの症状は私は1つにまとめて考えた方がよいのではないかと考えています。どうしてかというと、耳の骨の緊張がピークに達した時には耳が聞こえなくなってしまうのですが、少しやわらぐと聞こえるようになって耳鳴りが残るという事が起こっているのではないかと思えるからです。風邪でいえば、まず寒気がして、それから熱がでるようなものだといえば伝わるでしょうか。寒気と発熱もどちらも風邪の症状ですが、それらをわけて別々に考える人はあまりいないと思います。


キーンという音、ジーっという音の違いについて

耳鳴りの聞こえ方で、対処方法が異なるという考え方があります。
聞こえる音が違うのですから、そのように考えるのは当然といえます。しかし、耳鳴りを整体で止める事を目的にした場合、キーンやジーっなど耳鳴りの音の違いを考慮する必要がまったくありませんでした。どうしてかというと、私がやっているのは自律神経の働きを整えるという事で、自律神経のバランスが整えば耳鳴りは止まってしまうからです。音によって対処方法が違うと考えてしまうせいで原因がわからず止まらなくなってしまうのではないでしょうか。

実際に、キーンという音の時とジーっという音の場合では耳や首の状態に大きな差を感じていません。もしかしたら、あったのかもしれませんが、難しい事はおいておいて耳鳴りさえ止まればいいと安易に考えていたせいもあります。

極端な言い方をしてしまえば、耳鳴りの原因、仕組みやメカニズムなどわからなくても、自律神経の働きが整って体が元気になれば耳鳴りは止まると考えています。問題が起これば原因を詳細に解明しなければいけないというのはただの思い込みです。体が元気になって耳鳴りが止まればそれでいいと思います。あれこれ考えすぎてしまうから耳鳴りが止まらないのです。

ただ、最近は、音の質についても考え始めるようになりました。
キーンという高い音の鳴る場合、上腕二頭筋、大胸筋、胸鎖乳突筋が強く緊張している傾向があります。胃の調子が悪い人、胃薬を手放せない人などは腕から首の筋肉の緊張が抜けませんからキーンとなるケースが多いでしょうか。ほかでは、若くて頑丈そうな人でも、キーンという耳鳴りが鳴っている事があります。これは重い荷物を持つなど、腕に負担のかかる仕事のせいで腕から首にかけての疲労がぬけなくなっている事が原因です。

一方、泌尿器系の働きが落ちている人は、キーンという音ではなく、ジーっという低い音がなる傾向があります。体がむくみやすい、頻尿ぎみ、手足が冷えるといった方は、泌尿器の働きが落ちていると考えていただくといいでしょう。ただ、泌尿器の働きが落ちていると、上腕二頭筋、大胸筋、胸鎖乳突筋が緊張してしまいますで、キーンという音が鳴ることもあるようです。ですから、泌尿器系の弱りが原因での耳鳴りの場合は必ずジーっという低い音が鳴るわけではありません。

普段は、キーンという高い音がなるのだけど、たまにジーっという低い音になるという人もいます。
曇ったり雨が降っている日は耳鳴りが鳴るという人もいます。自律神経のちょっとしたバランスの違いで耳鳴りの音がキーンと高くなったり、ジーっと低くなったりすると考えていただくのが現状はよいのではないかと思います。

音の違いという問題については今後もっと掘り下げて考えてみるつもりですが、さしあたって不快な耳鳴りを止めたい、和らげたいということであればあまり重要な事ではないと考えています。

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音から原因を追いかけるのは得策ではないと考えています。


耳鳴りの整体について

耳鳴りの直接の原因は首の緊張です。
しかしこれは非常に厄介な問題です。なぜなら、ありとあらゆる体の異常が耳鳴りの原因となる可能性があるからです。首に強い緊張があるからといって日常生活にすぐさま影響がでるわけではありません。首や肩がこると感じていても、そんなものはテレビやスマホのみすぎだと放置してしまう人も少なからずいることでしょう。そのため自分自身でも何が悪くて耳鳴りが鳴っているのかなかなか気が付けないのです。

先に上げた例でいうと、左の足首に問題があり、それが原因で自律神経の働きが悪くなっている方はわかりやすいでしょう。この方も正座ができないぐらいで、普通の生活をする上では何も問題がありませんでした。ただ、耳鳴りがなっていただけです。

お酒の飲み過ぎや暴飲暴食といった生活習慣が原因だったり、体によかれと思って食べていた食品やサプリメントが耳鳴りの原因になっている事など珍しくもありません。何年か前に足首を捻挫したのが原因だった。日常的に飲んでいる薬の副作用で耳鳴りがなっていた。仕事での腕の使い方に問題があったり、趣味でやっていたテニスのフォームが原因だったりすることもあります。これが耳鳴りの原因ですと断定して、どのようにすれば耳鳴りが止まるかについてホームページ上で説明することは少々無理があります。ただ、


「体は完璧で健康なんだけど耳鳴りが鳴る。」


こういう事はあり得ないと考えてもらうのがよいでしょう。
耳鳴りが止まらないということは、体に何かの問題があって、自律神経の働きが悪くなっているのです。


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