相変わらずの人工知能(AI)ブームだが、ビジネスでの応用が模索され続けている。データ分析などの活用は進んでいるが、これからはAIによる「生成」にますます焦点が当たることになりそうだ。
10月10〜11日に企画している「人工知能と社会」のシンポジウム(www.aiandsociety.org)では、AIの社会への影響を国内外の専門家とともに議論する。それに先立ち、ここではアートの世界におけるAI活用を見てみたい。
人工知能が小説や脚本を手がけるまでになった時代の「創造性」についての前編につづき、AIとアートの世界をつなぐキーパーソン、ルバ・エリオットさんにクリエイティブなAIの課題や可能性を聞く。
金井:ルバさんは、ご自身でもアート作品を作るのですか?
エリオット:ええ、少しは。去年は、「チューリングテスト」というタイトルのパフォーマンスアートの作品を作りました。
金井:それはネットでお見かけしました。どのような作品かご紹介いただけないでしょうか。
エリオット:この作品ではある友人に短いセリフのテキストをたくさん作ってもらいました 。それと並行して、ジョージ・バーナード・ショウの演劇のテキストをニューラルネットワークに学習させて、自動でテキスト生成ができるようにしました。
この二種類のテキストデータをもとに、役者の人たちに、ロボットだったらどういう風にそのセリフを話すか、人間だったらどう話すのかをイメージして演じてもらいました。その逆もおこない、観客に推測してもらう、という流れです。
金井:ややこしくて混乱してきました。観客は人が読んだセリフのどれが機械によって生成されたかを推測するということですか?
エリオット:どの人がロボット役で、どの人が人間役かということを推測します。ここには二重の混乱させる要素があります。
金井:つまり、誰がロボット役で誰が人間役かということに加えて、どのセリフが人間によって書かれ、どのセリフが機械によって書かれたのかということですね。
エリオット:そういうことです。
金井:確かにこれは混乱しますね。
エリオット:そうなんです!
金井:この状況だと役者の人がロボット役を命じられたら、いかにもロボットらしい話し方になってしまいそうなのですが。実際にやってみると区別は難しいのでしょうか。