17/10/09
アパート経営で不労所得!そのメリット、デメリットを徹底解説
写真:DAILY ANDS
ポイントはマンション投資に負けないうまみと低リスク
こんにちは。個人大家兼投資家の一鷹です。
アパート経営に興味を持っていて、特に「これから始めてみようかな?」という場合、
- 1.30年単位の長期の借り入れで
- 2.低利回りでじっくりと腰を据えた投資をして
- 3.最終的には無担保の土地を手に入れる
というビジョンを描いている方も多いのではないでしょうか。
しかし、ちょっと待ってください。①と②のステップも、一見華やかなゴールである③ですらも、実際に不動産投資をしている筆者の立場から見るとリスクだらけなのです。少し考えただけでも、次の3つが浮かびます。
- ・リスクを取ってでもアパート経営をする価値があるのか?
- ・実際的な収入や経費はどうなっているのか?
- ・ はたまた、もっと割のいい投資や不労所得はないのか?
今回は、そうした不安や疑問について具体的に見ていきましょう。
アパート経営とは?
そもそもアパート経営とは何でしょう。まっさきに思い浮かぶのは、マンション投資との違いですね。
一言で説明するならば、アパート経営は一棟まるごと管理する投資。マンション投資はワンルームマンション1室からでも所有できる投資です。
身近さという観点で言えば、マンション投資に軍配が上がりそうですが、これが一概にそうとも言えません。アパート経営について知るうえでも、まずはこの辺りから見ていきましょう。
アパート経営と比べると、区分マンションの場合、他にも分譲されているオーナーがいるというのがネックです。規約によっては、リフォームですら総会でいちいち合意を取らなければできなかったり、最悪の場合、自分の管理する部屋には何一つ問題がないのに、上の階で配管が詰まっていて、しかも修理に応じてくれなかったり……なんていう可能性も。
つまり、他者都合でのトラブルに悩まされるリスクが高いのが、ワンルームマンション投資なのですね。積立修繕金の使途や増額、収支状況にしても、「本当のところ」はフタを開けてみないと分からないのも怖いところです。
一方、アパート経営は一棟すべてを自分の管理下に置くことができます。責任は大きくなりますが、そのぶん融通が利く投資とも言えます。区分マンションとは異なり、土地が残るのも見逃せない魅力ですね。
不労所得とは?
アパート経営で目指すところとして、最も理想的なのは「自分は通帳をチェックするだけ」。これではないでしょうか。
『金持ち父さん 貧乏父さん』(筑摩書房)の著者で有名なロバート・キヨサキ氏は、自分のためにお金が働いてくれるものを「資産」、お金のために自分が働かなければならないものを「負債」と定義しています。
例えば、著書の印税や不動産など、自分が眠っている間にも文章や建物が24時間収入を発生し続けてくれる——これが氏の考える「資産」であり、不労所得の醍醐味というわけですね。反対に、お給料をもらうために取材で東奔西走するなどは「負債」ということになります。
私もこの考え方には賛同します。生きている間にどれほどこの「資産」を増やせるか。それが、総体的な所得ひいては社会貢献度を、より効率的に大きくできる分水嶺なのだろうと感じています。
一方で、取材などは自分の見識を広める意味もあるので、必ずしも「負債」と切って捨てる必要もないのではないかなと、緩く捉えています。
しかし、大家業に限っていえば「資産」と「負債」の肌感覚は、通常以上に鋭敏である必要があると断言します。
というのも、不動産投資というのは文字通り、投資です。言うまでもなく、投資にはリスクがつきもの。所有する不動産がめでたく「資産」になり得るか、はたまた赤字だらけの「負債」に転落するかは紙一重であり、この紙一重をしのぐためには経営努力が欠かせないというのが、大家になってから筆者がずっと持ち続けている実感です。
アパート経営のメリットとは?
さて、そうした基礎を踏まえてアパート経営のメリットを見ていきましょう。
築古の戸建て投資、新築マンション投資やシェアハウスなど、他の不動産投資とも比べたうえでも、とりわけ「アパート経営ならでは」の魅力といえば、次の3つが挙げられます。
1)立地さえ間違えなければ、半永久的に運用できる土地が手に入る。
東京が経済の中心である限り、新橋や有楽町、銀座などの地価が下がることはまずないでしょう。古くは東京大空襲や関東大震災、最近ならば3.11(東日本大震災)を見ても証明されているとおり、関連企業の株価などが一時的に下がることはあったとしても、地価はさほど変動せず、むしろオリンピックを間近にして上がり続けています。
一方で、記憶に新しいのは液状化を起こした浦安。メイン経済圏へのアクセスだけを見ると、神奈川や埼玉からでも代替が利くためか、こちらは地価が下がりました。また、福島第一原子力発電所の周辺は、地価云々以前に、避難指示地域は年々縮小されているとはいえ、いまだ宿泊不可とされる帰途困難区域があることを忘れてはいけません。
アパート経営は立地選びが9割です。私個人の考えとしては、良い土地が手に入らないのならば、わざわざアパート経営をするうまみはありません。戸建て投資で充分です。
2)修繕がしやすい。
これは戸建て投資とも共通する部分ですが、基本的にアパートというのは木造建築です。従って、天井をぶち抜いてロフトにする、隣り合わせの2部屋の壁を壊して広いLDKにするなど、周辺環境のニーズに合わせた間取り変更が容易に行えます。
少なくとも、鉄筋コンクリート造りのマンションに比べたら、はるかに楽なのです。意外と知られていないことですが、手入れさえすれば木造は十分に長くもつものです。
3)自分の裁量で管理できる。
前述のとおり、マンション投資と違い、一棟すべてを自分の管理下に置けますから、舵取りの判断は自由自在。基本的には好きなように建築・改築できますし、管理が面倒になったら建売業者に売ってしまってもよいでしょう。
写真:DAILY ANDS
アパート経営のデメリットとは?
デメリットのない投資はありません。メリットの1~3に準じて、今度はそれぞれ「アパート経営ならでは」のデメリットを見ていきます。
1)立地選びを間違えると、半永久的に固定資産税がかかる。
例えば、東京が経済圏から外れた場合を考えてみましょう。
首都直下型地震により、河川をさかのぼって堤防を超えた津波が甚大な被害を及ぼす「遡上津波」が街を飲みこみ、液状化が起きて道路は陥没——なんていう壊滅的なダメージが東京を襲ったときに、政府が「じゃあ山梨へ移りましょう。富士山あるし、リニア新幹線も通るし!」なんて言い出したら……。
もちろん、これはトンデモ仮定の話ですが、可能性としてゼロとは言い切れません。文化庁は2021年中に京都への全面移転を完了させるとして、2017年4月より先行移転を開始しています。また、長らく歴史のあった築地市場の豊洲移転も、諸々問題が叫ばれつつ2020年秋を目処に移転を検討すると発表されています(2017年9月17日z時点)。
万が一、土地そのものが「負債」になってしまったら、売るにも売れず、毎年莫大な固定資産税ばかり出ていく……なんていう悲劇も起こり得ます。
そうした意味でも、立地選びは慎重に行う必要があるのです。
2)利回りが低い。
アパート経営は長期融資を引きたいと考える方が大半かと思いますが、金利が上がらないという保証はどこにもありません。そこへ来て、立地が9割ということは……、そう。良い土地の地価は高いもの。取得するための初期費用が相当かかることになりますね。必然的に利回りは低くなります。
果たして、長期金利に耐え得る期間ずっとその土地に価値があるのか?
また、例えば30年後も今と同じ金利なのか?
最悪、どのくらいまで金利が上がっても対応できるのか?
そういったことも、最低限シミュレーションしておいたほうがよいでしょう。
3)空室リスクは「一見」低い、けれど……
ワンルームマンション投資や戸建て投資と異なり、アパートは部屋数があるので、1室が空いても他でカバーできる――。
それをメリットとアナウンスしている記事も多いのですが、私自身の実感としては、「怖くて手が出せない」というのが本音です。というのも、その理由は都心の自殺率の高さです。
極端な話に感じるかもしれませんが、日本では毎年2万人を超える人が自殺しています。これは、世界的に見てもワースト6位の数字で、日清戦争での死者数よりも多い数の人が毎年亡くなっているということなのです。
また、自殺だけでなく、仮にアパートが20室あったとして、そのうち1部屋で異臭騒ぎでも起きたとしたら? 犯罪者が暮らしていることが発覚して報道されたら? 何らかのトラブルで20室全てが空室になるという最悪のケースも、本来であれば頭の片隅に入れておいたほうがよいのではないでしょうか。
不労所得は分散投資でリスクヘッジ
……と、そんなリスクを見ていくと、仮に2000万円を投資するとした場合、20室のアパート1棟を都心で経営するよりかは、400万円で木造戸建てを郊外に5棟持ち、うち2棟をシェアハウスにするなどプラニングしたほうが安全ではないか。
というのが筆者の考えです。ちなみに筆者は、「自主管理雑務もけっこう楽しい」と考えている大家だと補足しておきます。
完全なほったらかしにしたいのであれば、1棟だけをどこかの管理会社に委託するほうが……確かに、税務の関係などは楽です。しかし、それで破産したら元も子もありません。本記事では割愛しますが、信頼できる管理会社を探すのも、また大変なことなのです。
今は戸建てなど、小規模投資でも融資を引きやすい公庫がありますから、アパート経営以外のスタイルも検討されてみてはいかがでしょうか。
***
以上、アパート経営について見てきました。
投資というのは創意工夫です。メリットが大きいからやる、デメリットが大きいからやらないというのではまず成功しません。「リスクテイカー」という言葉がありますが、要はデメリットが目立っても、それを補填できれば問題ないのです。
そして不動産投資の面白いところは、「人が欲しがらない物件ほど化けやすい」という特徴があるところ。この辺りは、「こんなに安いの? 不動産投資の意外な真実 」をぜひご参照ください。
あなたにピッタリの投資スタイルが見つかりますよう、千葉県の片隅から応援しております!
一鷹
利回り15%を実現する個人大家で、年運用益10%の株式投資家。冒険ガイド、登山家としての顔も持つ。モットーは「文武両道」。
【関連記事もチェック】
・空室リスクばかり気にしてはダメ! 滞納リスクをしっかりと対策
・不動産投資の最大のリスク「空室リスク」に備えるには?
・新築以上に価値アリ!? 築25年以上の築古マンションを賢く購入する方法
・シングル女性が不動産購入をした方がよい2つの理由
・女性のライフプランに「不動産投資」という選択肢を組み入れよう!
この記事が気に入ったら
いいね!しよう