バルセロナで大規模集会 カタルーニャ独立に反対
スペインからの独立を問う住民投票を今月1日に実施した北東部カタルーニャ自治州の州都バルセロナで8日、少なくとも35万人がスペインからの独立に反対する集会に参加した。
参加者らはスペイン国旗とカタルーニャの旗を振り、「一緒の方が強い」や「カタルーニャはスペインだ」と書かれた横断幕を掲げた。
1日の住民投票をめぐる騒動のなか、カタルーニャで開かれた最大の集会となった。
スペインのマリアノ・ラホイ首相はカタルーニャ独立を阻止するために、「法律の範囲内で」いかなる手段を取ることも排除しないと警告した。
7日にはスペイン各地で同様の集会が開かれた。
カタルーニャの住民投票の最終的な結果によると、230万人の投票者のうち90%が独立を支持。投票率は43%だった。
住民投票では複数の不正があったとの主張があった。また、スペイン国家警察が多数の投票箱を押収した。
警官隊が、住民投票を禁止するスペインの憲法裁判所命令を執行しようと投票者らを排除しようとし、900人近くのけが人が出た。また33人の警官も負傷した。
バルセロナ市警によると、8日の集会参加者は35万人。集会の主催者らは95万人が参加したと主張している。
集会には中央政府の元閣僚のジョセップ・ボレル氏やノーベル賞作家マリオ・バルガス=リョサ氏も参加。ボレル氏は、カタルーニャの人たちは冷静さを取り戻す必要があると語った。
ペルーで生まれスペインの市民権を持つバルガス=リョサ氏は、「500年以上の歴史で培われたものを破壊するには、クーデター計画以上のものが必要だ」と集会参加者たちに呼びかけた。
別の集会参加者のアラセリ・ポンセさん(72)はロイター通信に対し、「私たちはカタルーニャ人でありスペイン人でもあると感じている」と語った。
「限りなく未知の状況に直面している。今週何が起こるか待たなくちゃいけないけど、私たちが求めていることを知ってもらうために、思いっきり声を上げないと」
カタルーニャのカルレス・プッチダモン州首相は現地時間10日午後6時(日本時間11日午前1時)、州議会で声明を発表する見通し。スペイン憲法裁判所は、9日に予定されていた州議会の会合を停止していた。
次回の州議会で一方的に独立を宣言するとの予測があったが、プッチダモン首相の政党に所属するマルタ・パスカル議員は、今のところそこまでする予定はないと話した。
パスカル議員はBBCに対し、プッチダモン首相が「象徴的な声明」を出すと話した。
パスカル議員はさらに、プッチダモン首相は住民投票の結果を認め、大多数のカタルーニャの人々が独立を求めているとした上で、独立に向けた道筋を歩むことを宣言すると語った。
中央政府のラホイ首相は7日、スペイン紙エル・パイスのインタビューで、住民投票をめぐって同氏と政府が取ってきた厳しい姿勢をあらためて示した。
ラホイ首相は、「政府は、いかなる独立宣言も無に帰すようにする」と語った。
また、住民投票前にカタルーニャに派遣された追加の警官隊を、危機が終わるまで同州に残す予定だと話した。さらに早期の国政選挙実施の要求を拒否した。
ラホイ首相は、国会による自治州の統治への介入を可能にするスペイン憲法155条を発動する用意があるかを聞かれ、「法律の範囲内でいかなる手段を取ることも決して排除しない」と強調した。
2014年に英国からの独立を問う住民投票で独立を主張したものの敗北した英スコットランドのニコラ・スタージョン自治政府首相は8日、危機を乗り越える唯一の方法は、「双方が共に(中略)法の支配や民主主義、選択する権利を尊重するような今後の道筋を模索する」ことだと話した。
スペインの首都マドリードでは7日、何千人もの人々がスペインの団結を求める集会に参加した。また、政治的対話を訴えるデモもバルセロナなどで行われた。
一方、政治不安が続くなか、企業が相次いでカタルーニャからの撤退を発表している。
(英語記事 Catalonia independence: Huge Spain unity rally in Barcelona)