お題箱経由で質問がきましたので、お答えします。
大学で租税法のゼミに入りたいと考えています。租税法を学ぶ上でまずこれは読んでおくべきというものがありましたら教えていただけると嬉しいです。
学部3年生でこれから租税法ゼミということであれば・・まずは租税法概説、所得税法、法人税法から学ぶのではないかと思います。
ゼミの指定テキストがどの教授の手になるものになるかはわかりませんが*1、共通して基礎を作れるテキストをいくつか・・
①導入編
超入門コンパクト租税法 [ 木山泰嗣 ] |
法学部で憲法、民法、刑法など基本的な法学を勉強してきた学生が、専門課程で租税法を選択して学習を始めよう・・という時にいちばんやさしく学べるテキストです。
著者は税務訴訟を専門とする弁護士の木山泰嗣氏。青山学院大学法科大学院教授でもありますね。
話し言葉で平易に書かれていますし、250ページ弱しかありませんのでサクッと読めます。
租税法の「考え方のサワリ」を理解できます。
②入門編その1
- 作者: 増井良啓
- 出版社/メーカー: 有斐閣
- 発売日: 2017/08/25
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
もとは雑誌「法学教室」に連載されていた租税法入門の記事をまとめて編集したものですので、学部生向けの入門向けテキストとして相応しいかと。
しかし、入門=易しいではなく、かなり考え抜かれて厳密に書かれていますので、すぐには理解できなくても時々振り返って読み直すと新たな発見が得られるテキストだと思います。
③入門編その2
- 作者: 佐藤英明
- 出版社/メーカー: 弘文堂
- 発売日: 2015/10/27
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
④入門編その3
- 作者: 三木義一
- 出版社/メーカー: 有斐閣
- 発売日: 2017/04/05
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログを見る
⑤ちょっと応用編
- 作者: 岡村忠生,酒井貴子,田中晶国
- 出版社/メーカー: 有斐閣
- 発売日: 2017/10/05
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログを見る
基本書ではありますが、入門書ではありません。
端書きにこうあります。
基本的であることと理解が容易であることはまったく無関係である。・・本書は妥協を排してて理論的に詰めた記述を目指した。・・一読すると難解と思われる箇所が生じているかもしれない
はい、かなり難しいです。岡村教授の執筆している第1章の概説部分が「何を言っているのか」が理解できるようになれば、入門者レベルを卒業できた、ということになるかと思います。
これらはいずれも法学分野としての租税法の入門書です。
税務申告実務を行うための計算規定については学べません。
それは会計学の一分野としての税務会計分野になりますので、また別の入門書がありますので、ゼミで学ぶことを確認の上、お選びください。
*1:通説である金子名誉教授(東大系)、清永名誉教授にはじまる京都大系の岡村教授などの学派がありますね。それぞれ微妙に学説に違いがあります。