遺族年金の計算方法を解説|早見表・エクセルシミュレーション付き

遺族年金はいくら受給することができるのか?と疑問に感じる方も多いと思います。遺族年金には、遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類あります。

遺族基礎年金については受給金額が決まっていますが、遺族厚生年金は亡くなった方の収入や年金加入期間によって受給できる金額が異なります。

そこで、今回は遺族年金の計算方法をお伝えしたいと思います。記事後半にはエクセルシミュレーションをダウンロードできますのでご自身の遺族年金の計算にお役立てください。

遺族年金ってどんな制度なの?と疑問に感じる方は「遺族年金の仕組み|受給金額はいつまでいくら貰えるのか?」をご参照ください。

遺族基礎年金の計算方法

遺族基礎年金は国民年金と厚生年金加入者が受給できる遺族年金となります。遺族基礎年金の受給額は受給できる金額が定められておりますので、遺族年金の計算方法も非常に簡単であります。

遺族基礎年金の計算方法

77万9,300円+子の加算

  • 第1子、第2子:22万4,300円
  • 第3子以降:7万4,800円

遺族基礎年金の性質は、残された子供の支援が目的となりますので、18歳未満の子供(障害等級1級、2級の子は20歳まで)がいる配偶者と子が支給対象になりますので、子供が18歳を超えた場合は遺族年金の支給が停止されます。

遺族基礎年金の計算例

それでは、16歳、14歳、10歳の子供を持つ配偶者の場合はいくらの遺族年金が受給できるのか計算を行いたいと思います。

77万9,300円+(22万4,300円×2名)+7万4,800円=130万2,700円

遺族基礎年金のみを受給する場合は、上記のケースであれば年間130万円、月間にすると10万8,000円の遺族年金を受け取ることが可能になります。

遺族基礎年金だけで生活することは難しいかもしれませんが、遺族年金は全額非課税となりますので所得には計算されません。したがって毎年130万円程度の非課税収入が子供の年齢が18歳を超えるまで支給されるというメリットがあります。

詳しくは「遺族年金が非課税の根拠|扶養家族は所得税や住民税の節約にも繋がる」をご参照ください。

遺族厚生年金の計算方法

遺族厚生年金は、厚生年金に加入者が受給できる遺族年金の一種となり、国民年金加入者は受給することができません。一方、厚生年金加入者は遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方を受給できることから非常にメリットがあると言えるでしょう。

この遺族厚生年金は亡くなった方がどのくらいの期間厚生年金に加入したのか?また、いくらの保険料を納付したかによって受給できる金額が異なります。

遺族厚生年金の計算方法

  • 本来、被保険者が受給できる老齢厚生年金の3/4+遺族基礎年金受給額

遺族厚生年金は18歳未満の子供(障害等級1級、2級の子は20歳まで)と「妻」が受給対象になります。遺族基礎年金とは異なり「妻」は一生涯支給対象になることが最大の特徴です。ただし、妻でも30歳未満の子供がいない場合は5年間の有限支給となります。

厚生年金加入期間が300ヶ月未満でも300ヶ月加入したとみなす

厚生年金の加入期間が300ヶ月に満たずして亡くなってしまう方もいるでしょう。このような場合は救済措置として、厚生年金の加入期間が300ヶ月に足りない場合でも300ヶ月加入したとみなすことが可能になります。

厚生年金加入期間 遺族厚生年金の加入期間
300ヶ月未満 300ヶ月として計算
300ヶ月以上 実際に加入した期間で計算

遺族厚生年金の計算例

遺族基礎年金の計算例と同様に16歳、14歳、10歳の子供を持つ配偶者の場合で遺族厚生年金の受給額を計算したいと思います。また、遺族厚生年金の加入期間は120ヶ月とし、老齢厚生年金(報酬比例の年金額)は30万円として計算を行いたいと思います。

  • 遺族厚生年金:30万÷120ヶ月×300ヶ月×3/4=56万2,500円
  • 遺族厚生年金+遺族基礎年金=56万2,500円+130万2,700円=186万5,200円

遺族厚生年金と遺族基礎年金を合わせると家族4名で186万5,200円が支給されることとなりますので、月額15万5,433円が支給されることとなります。

厚生年金の加入期間と受給金額の確認方法

さて、遺族厚生年金の加入期間と受給金額を確認するには、「ねんきん定期便」をご覧頂ければ確認が可能となります。ねんきん定期便の赤枠部分の加入期間と加入年金額をご確認いただき、ご自身やご家族がどの期間加入しているのか。どのくらいの金額を受給できるのか事前にチェックすることをおすすめします。

遺族基礎年金・遺族厚生年金の受給額早見表

さて、エクセルでのシミュレーションの前に簡単に遺族年金の受給額を知りたいという方に向けて遺族年金受給額の早見表を作成しました。

早見表は、「遺族基礎年金のみ」、「遺族基礎年金+遺族厚生年金」のケースで作成しておりますのでご確認をください。

遺族基礎年金の早見表

遺族基礎年金+遺族厚生年金の早見表

遺族年金計算用のエクセルシミュレーション

遺族年金を計算するために便利なエクセルシミュレーションを作成しましたので以下よりダウンロードが可能です。

遺族年金のシミュレーションでは「ねんきん定期便」をご用意頂き、年金加入期間や受給金額をお調べの上ご活用ください。また、50歳以上の方であれば年金ネットにて受給できる年金額をお調べ頂くとより正確な情報を入手することが可能になります。

年金ネットの使い方は「年金ネットの使い方|登録・ログイン方法から見込額の試算までガイド」をご参照ください。

遺族年金の計算方法まとめ

遺族年金の計算方法として、遺族基礎年金と遺族厚生年金の計算方法を解説しました。遺族年金は非課税扱いになり、受給できる金額も比較的高額になることから残された家族を支える貴重な収入源になるでしょう。

そのため、非常に重要な制度であることから年金を滞納してしまい受給できないなど無いようにしましょう。

万が一、経済的な理由で年金を納付することが難しい場合は、免除や猶予の申請を行うことで遺族年金は受給可能です。詳しくは「国民年金保険料の免除と猶予|基準・申請方法・必要書類・追納を解説」をご参照ください。

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