ラブライブ!サンシャイン!!2期1話:「奇跡」は紙飛行機の形をしている

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物語は「ラブライブ!の予選で落ちた事実」を話すことで始まります。

「確かに、全国大会に進めなかったのは残念でしたけど」

しかし、惜しかった、残念だとは言ってますが、そこまで悔しくなさそうなAqoursのメンバーたち。それこそ参加賞のショボさで文句を言う程度の価値でしか思ってないのです。なぜかと言うと、

「でも、ゼロをイチにすることは出来た。ここにいる皆さんの力ですわ」

0を1にするという目標を達成したから。1を10にして、10を100にするという次のステップへ進めるから。そしてそれは「皆の力」で成し遂げたのだと。「ラブライブ!」はそのための手段に過ぎない。だからそこまで意味はない。

そして、実は予選で落ちたのだって考えてみれば当然のことです。

エントリーしてないメンバーは参加禁止。1期13話ではわざわざそういう話をしてましたが、それはつまり「ラブライブ!」というシステムは「9」までしか受け入れないということ。「ラブライブ!」に火をつけた「SUNNY DAY SONG」がどんなライブだったかを考えると皮肉みたいな話ですが、まあ前作の話はさておき。

しかし高海千歌はそのシステムに「10」を持ち込んだ。それが彼女の「輝き」だから。そしてその「皆の力」によって0から1へ進んだ。でも、だからこそ「ラブライブ!」は、今の「スクールアイドル」はそんな「輝き」を受け入れてくれない。実力による競争だけが残った世界だから。別に失格になったわけではなさそうですが、やっぱり進めないのは当たり前。

でもやりたいことはやった。そもそもそんな「ラブライブ!」に対して一期でも疑問を感じてた。だからこそ彼女たちはあまり気にしないのです。自分たちのやり方でやる。「ラブライブ!」はそのための手段に過ぎない。目標じゃないから、むしろ目標にはちゃんと近づいてるから別に悔しくない。ちょっと惜しいだけ。きっとそういうことでしょう。

もう少しで、羽根のように舞い降りてくる奇跡に出会えそう。

 

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しかし、そんな希望は否定されました。やっぱり世界は彼女たちの輝きを受け入れてくれない。「それだけでは」足りないのだと。もう奇跡は起きない。可能性自体を否定された。もちろん統廃合も大事ですが、別にそれだけに拘ってるだけではなく、これは彼女たちの「輝き」自体が否定されたのと同じなのです。がむしゃらに頑張ればきっと奇跡はやってくるはずだと思ってた高海千歌だから、彼女は「そんなんじゃない」と言う。「手段」を奪われた時とは違って、本気で落ち込む。

「もし、あの時、ラブライブ!の予選に勝って、本大会に出場出来てたら、未来は、変わってたのかな」

自分の「輝き」に疑問を抱く千歌。Saint Snowは勝つことが大事だと言いました。そういうシステムだから当たり前だと。じゃあもしかしてシステムに受け入れてもらえてたら、そんなやり方をしてたら、結果は違ってたのか。もちろん、花丸の言う通り「過ぎたことをいつまで言ってても仕方ない」のですが。

もう奇跡は起きない。羽根のように舞い降りてくる奇跡に出会うことはない。羽根は空のどこかで落ちてくるものだから、運命に選択されなかった人が自分の力で手に入れることは出来ない。ではこれからどうするのか?否定されたから、受け入れてもらえなかったから、自分たちの「輝き」は間違ってたと諦めるのか?廃校阻止はもう無理だから思い出作りでもしながら限られた時間を過ごす話になるのか?

 

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「起こそう奇跡を!」

それでも諦めたくない。だから今度は奇跡を起こす。もう高海千歌は「奇跡だよ!」と「起きた奇跡を観測する」側ではありません。これから起こす奇跡は紙飛行機の形をしています。羽根とは違って、紙飛行機は地上から誰かの手によって意図的に飛ばされたもの。待ってるだけじゃ絶対に飛ばないもの。空から「輝き」が舞い降りて来ないのなら、今度は自ら「輝き」を折りそれを紙飛行機にして、空へと飛ばすのだと。

 

これはフィクションです。奇跡は起きるのだと言い切り、頑張った結果奇跡は起き廃校を阻止した、くらいの物語にすれば簡単でしょう。もしくは、奇跡は起きないのだと諦め、現実を受け入れる物語にするのもありです。廃校になろうともスクールアイドル楽しもうぜって。普通の物語とはそういうものだから。

しかし「ラブライブ!サンシャイン!!」はどっちも選ばない。そんなの不可能だと認めた上で、それでもやりとげると言い切る。一期でもそうでしたが、ただでさえ高いハードルを自らもっと高くして、それを超えようとしている。本当に馬鹿です。なぜ簡単な道を選ばないのか。やっぱり頭おかしい。でもその姿はとってもかっこよくて、眩しくて、だからこそ私は「ラブライブ!サンシャイン!!」を愛しているのだと、予め思わせる素敵な1話でした。