フジマキ「英国病から日本病に、危機感乏しい日本人」
“伝説のディーラー”と呼ばれた藤巻健史氏は、海外から「日本病」と批判される日本経済の状況について、危機感を持つべきだと指摘する。
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私が英国に赴任した1982年、経済が低迷して「英国病」真っ盛りだった。英国とアルゼンチンが争ったフォークランド紛争の勃発直後。「アルゼンチンに爆撃されたら、地下鉄に逃げ込めよ」と脅しのような励ましを受けながら赴任したことを覚えている。
当時、地下鉄は動く灰皿だったうえ、ストでしょっちゅう止まり、公衆電話の7割は壊れており、ごみ収集車が動かずに街がくさかった。「英国病」とはまさにこういうことか。妙に感心したのを覚えている。
先日、「THE INTERNATIONAL ECONOMY」という雑誌が送られてきた。世界的に権威ある経済誌だ。
各国の元財務相、元中央銀行総裁、元銀行頭取やチーフエコノミスト、ハーバード大、ロンドン大など著名大学教授ら、そうそうたる論客が寄稿している。2017年夏号の特集は「Japan Disease(日本病)は世界に蔓延するか?」だった。
かつて「英国病」と揶揄された英国に代わり、世界は今や日本経済を「日本病」と名付けているのだ。世界から、当時の英国並みの状況とみられているのかと思うと、あまりに情けない。「デフレから脱却できない国」などという生やさしい分析ではない。
世界がこれほどまでに「日本経済に問題あり」と考えているのを、日本人は知っているのだろうか?