HOME > レビュー > ソニーの最新ウォークマン「NW-ZX300」と「NW-A40」は買いなのか? サウンドはどれほど進化したのか?(前)
2017年10月 6日/鳥居一豊
10月7日に発売となる新ウォークマンは、ミドルクラスの「NW-ZX300」と、ハイレゾ対応のエントリークラスとなる「NW-A40」シリーズ。ハイレゾ対応のポータブルオーディオプレーヤー(DAP)として確固とした人気を持つモデルだけに注目度も高く、気になっている人も多いだろう。
新モデルのポイントは2点ある。ひとつは、昨年発売で今年も継続となる最上位クラスの「NW-WM1Z」、「NW-WM1A」の高音質を受け継ぎ、さらなる音質向上を果たしたこと。もうひとつは、パソコンとUSB接続し、USB DACとして使える機能が盛り込まれたことだ。
音質の向上はもちろんのことだが、USB DAC機能はパソコンでハイレゾ音源を含めた楽曲の管理をしている人にとっては実にありがたい機能。特にパソコンのヘッドホン出力にイヤホンなどを直接接続して聴いていた人ならば、大幅な音質向上ができる。これらの進化で、今年の新ウォークマンも「買い!」と断言できるものになっている。
前編となる本稿では、各モデルの概要と進化したポイントを紹介していく。
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Profile
鳥居一豊(Kazutoyo Torii)
雑誌の編集を経てフリーランスとなる。AVはもとより、PCオーディオやヘッドホン、また各種ガジェットの造詣も深く、さまざまな分野で執筆している。自らが設計から携わった自慢のシアター空間「架空劇場」は、ドルビーアトモスやDTS:X再生にも対応する「6.2.4」構成。最高の映像と音を求め、日々進化し続けている。大のアニメ好きでもあり、深夜アニメのエアチェックは怠らない。
ソニー
NW-ZX300
オープン価格(想定市場価格¥65,000前後)
●対応ファイル:~384kHz/32bit PCM、~11.2MHz/1bit DSD
●搭載メモリー:64GB+micro SDカードスロット
●寸法/質量:W57.7×H120.4×D14.9mm/約157g
NW-ZX300は、NW-ZX100の実質的な後継モデルだが、デザインなどは一新されている。4.4mm(5極)のバランス出力を備えることや、操作画面のデザインや機能性を含めて、WM1シリーズの弟モデルと言った方が近い。内蔵メモリーは64GBで、さらにメモリー増設用としてmicroSDメモリーを1スロット備えている。Bluetoothにも対応しており、NFCによるワンタッチのペアリングができ、高音質コーデックのLDACも使用えきる。タッチパネルのディスプレイは、前面ガラスの「マットガラス」を採用している。マット仕上げのボディとの質感が揃っているほか、指紋が付きにくく、操作感が良いなど使い勝手の向上にも貢献している。
ボディはアルミ削りだしで、シャーシにインピーダンスを下げるための金メッキ処理を施した無酸素銅プレートを組み込む構造も継承している。リアパネルにアルミを採用するほか、大型高音質抵抗やアンプ部とヘッドホン端子をつなぐケーブルに低抵抗の無酸素銅線を採用するなど、高音質化を徹底している。このほか、低位相ノイズ水晶発振器を2個(44.1kHz系/48kHz系)搭載するなど、WM1シリーズ譲りの作りとなっている。
デジタルアンプは、「S-Master HX」を搭載。PCM音源は最大384kHz/32bit、PDM出力のままのネイティブ再生となるDSDは最大11.2MHzだ。左右とプラスマイナスで独立した電源部には、「高分子コンデンサー(FT CAP)」を搭載し、低音域の力感を向上。アンバランス接続時は50mW+50mW(16Ω)、バランス接続時は200mW+200mW(16Ω)の実用最大出力を実現している。
そして、CD音源や圧縮音源を高音質化する「DSEE HX」も搭載。「DSEE HX」は音楽のジャンルなどに合わせた5つのモードが用意されており、好みに応じて使い分けが可能。さらに、低音感を6つのモードから調整できる「DCフェーズリニアライザー」、10バンドのグラフィックイコライザーなどの機能も備えている。
音楽再生機能に特化し、ネットワーク接続や動画再生機能なども持たないストイックな仕様は、WM1シリーズと同様。WM1の機能や高音質を受け継ぎながら、手の届く価格を実現したモデルと言っていいだろう。
ソニー
NW-A45HN
オープン価格(想定市場価格¥29,000前後)br>
●対応ファイル:~192kHz/32bit PCM、~11.2MHz/1bit DSD
●搭載メモリー:16GB+micro SDカードスロット
●寸法/質量:W55.9×H97.5×D10.9mm/約98g
続いてはNW-A40シリーズを紹介する。モデルは4種類ある。イヤホンの付属しない本体のみのモデルとして、内蔵メモリー64GBの「NW-A47」(想定市場価格¥37,000前後)、内蔵メモリー16GBの「NW-A45」(想定市場価格¥22,000前後)。ノイズキャンセル対応イヤホン付属モデルが、内蔵メモリー32GBの「NW-A46HN」(想定市場価格¥34,000前後)、内蔵メモリー16GBの「NW-A45HN」(想定市場価格¥29,000前後)となる。今回試聴に使ったのは、最後に紹介したNW-A45HNだ。
デザインは前モデルのNW-A30シリーズと同じだが、5色のカラーバリエーションが一新され、ムーンリットブルー/ペールゴールド/グレイッシュブラック/トワイライトレッド/ホライズングリーンとなった。A30シリーズのカラバリと比べると、どれも落ち着いた色になっていて、男性でも選びやすい色になったと感じるし、ファッションとも合わせやすいと思われる。付属イヤホンはケーブルやハウジング、イヤーピースなどの色もすべて同色で統一されている。
新たに搭載された「USB DAC」機能以外は、NW-A30シリーズと共通となっており、FMラジオや語学学習モードも備える。Bluetooth機能を持ち、NFCやLDACに対応するのも同様だ。
デジタルアンプは「S-Master HX」を搭載し、CD音源や圧縮音源を高音質化する「DSEE HX」も備える。こうした基本的な概要はNW-A30と同様だが、オーディオ回路はさらに大きく改良が加わっている。まずは電源回路を見直し、バッテリーから「S-Master HX」への経路が最短ルートになるように改善している。「S-Master HX」のICチップの基板への接続もソニー専用の高音質はんだを採用した。これに加えて、44.1kHz系と48kHz系の2つのクロックの搭載や、「S-Master HX」の電源部のコンデンサーに「POSCAP」を5基搭載するなど、さらなる高音質化を追求。
このほか、基板などの部品を固定するビスに導電性を有するビスの採用、バッテリーからの配線を低抵抗ケーブルを使うなど、NW-A30シリーズから引き続き採用している。フィルドビア構造を採用した厚膜銅箔プリント基板の採用なども同様だ。
NW-A30シリーズも安価な価格のモデルとしては、かなり音質の点で評価が高かったが、NW-A40シリーズはそれをベースにさらに高音質化を図ったモデルと言える。
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