仏像をCTスキャンしたら中からミイラが現れた!…と世界で話題沸騰のこの画像。中国の加漆肉身仏なので、中に僧侶のミイラが入ってんのは昔からわかってたことなんですが、画像のインパクトで絶賛拡散中です。
仏像は11世紀から12世紀頃に作られたもので、このようにミイラ入りのものはこれ1体ぐらいなんだそうな。 昨年中国から海外に初めて出展され、現在は欧州各地を巡回中です。
昨年4月から8月にオランダのドレンツ博物館で開かれた「ミイラ」展での展示が終わるのを待って、9月にアメルスフォールト市に住む仏像文化芸術の専門家Erik Bruijn氏(ロッテルダム世界博物館客員学芸員)が同市内メンダー医療センターでCTスキャンをかけてみたんですが、今出回っているのは、そのとき現地のJanene Van Jaarsveldt記者が記事で紹介した画像ですね。
体内から見つかった変なもの
初報によると、病院では非番で暇な病院スタッフが集まってミイラ入り仏像のスキャンを手伝った模様です。
異物のサンプルと胸郭、腹腔を調べるところは胃腸肝臓専門医のReinoud Vermeijden氏が担当。サージカル・テクノロジーズが開発した内視鏡で覗いてみると、内臓のあった場所からありとあらゆる腐敗物に混じって、なんと古代の漢字を記した紙くずが見つかりました。新発見だったのは、この紙くずの方なのだとか。
CTスキャンはX線技師Ben Heggelman氏が担当し、保存状態のいいミイラの姿を確認後、骨をサンプル抽出してDNAテストに回しました。
結果は、いつになるかは不明ですが、この禅僧がテーマの研究論文で発表される予定です。
ミイラは誰? どうミイラ化した?
気になるのは僧侶の正体ですが、そちらはLiu Quanという禅僧とのことです。没年は西暦1100年前後。仏像の年代もこの没年から来ています。
ドレンツ博物館ではいろんなミイラを一堂に集めて展示したのですが、この仏像は「self-mummification」の事例として紹介されました。日本語で言うと「即身仏」。地獄の苦しみの修行です。The History Blogの解説を訳しておきますね。
禅僧は断食をし、水分を体から抜き、しまいには毒まで飲んで、不滅の体を解脱して悟りを得ようとした。
まず最初1,000日は寺周辺で拾った木の実と種だけ食べる。次の1,000日は松の木の皮と根っこ。それが終わると今度は漆の茶(毒)を飲む。すると嘔吐で体の水分が出て、本来なら死体に群がる虫・微生物も食指の進まない体になるのだ。
あとは座禅できるだけの空間だけある墓に入って、竹の空気穴で呼吸をし、読経しながら鈴を鳴らす。鈴が止まると死んだ合図だ。外にいる人が空気穴を閉じ、そのまま3年放置する。
1,000日置いて墓を開け、ミイラ化したかどうかをチェックし、失敗なら(大体は失敗に終わった)埋葬。成功なら永遠の悟りの境地に達し、輪廻転生から解脱し、仏の位に高まった証拠である。ミイラに服を着せてきれいに飾り奉納する。
空海が中国で学んで持ち帰った修行法で、同じ習わしは中国、インドにもあった。この手法のキモは内臓を抜かないでミイラ化してしまうところだ。1,000日放置してから内臓を抜いたとも思えないし、一体どういうプロセスでミイラ化したのだろう? 結果が待たれるところだ。
ミイラ入リ仏像は5月までハンガリー自然史博物館で展示され、その後はルクセンブルク、ドイツ、スイス、オーストリア、スウェーデン、ウェールズを2018年までかけて回る予定。
image: Drents Museum
source: NLTimes.nl, The History Blog via RobsWebsTech, io9
(satomi)