本日、とある入居者様(以下:Aさん)救急搬送をした。
体温、血圧、脈、酸素飽和度。どの数値も問題ない。
本当にただただ衰弱しただけ。
少しずつ食事が摂れなくなって、水分が摂れなくなっていた。
排尿が出なくなり、活気もなくなっていった。
経済的虐待
食事量が落ちている。
「食べたいものある?」
職員が聞く。
Aさんは
「あんぱんが食べたい」という。
でも、Aさんのお金は施設にない。
お金は全て家族がすべて持っている。
Aさんは生活保護。そのお金を、家族は車を買ったり、子供の養育費に充てている。
Aさんのお金を、家族は使い込んでいる。
食べたいって言ったあんパンでさえ、買ってあげることができない。
介護放棄
家族の面会は、極稀。
Aさんは家族が来ると喜ぶ。
徐々に弱っていくAさんの情報を家族に連絡する。
「できれば一度、顔を見せてあげてほしい」
職員から伝える。
家族は、「今度行きます」という。
家族が来たくないことは職員もわかっている。
たまの面会も、仕方のない用事のついでだ。
ケアプランだって家族の意向はない。
どうだっていいのだ。
「今度行きます」って、何か月後のことを言っているのだろう。
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手遅れ
いよいよ危ないって時に、ようやく家族が面会に来た。
Aさんの名前を呼んでも返事はない。焦る家族。
「食べたいって言ってたあんぱんだよ」
もう口は開かない。
「私のことわかる?」
目も開かない。
Aさんはもう、家族がいるのかどうかも判断できない。
家族はもう、Aさんの笑顔を見ることはできない。
家族は言う。
「まだ若いのに、どうしてこんなになったんですか?」
「少し前まであんなに元気だったのに、こんなに痩せて・・・」
家族の“少し前”と、Aさんの“少し前”は違う。
Aさんは家族が来るのを待ってたんだよ。
家族は後悔している。
でももう、Aさんは恐らく永くない。
もう口からは食べれない。
衰弱してから後悔しても、もう遅いんだよ。