電車で席を独占し化粧に興じるおデブと僕
午前7時30分。戦いのゴングは鳴る。
ボクは通勤で必ず先頭車両に乗る。
先頭車両はネバーランドだ窓際を眺め駅名を閃光のように呟く中年、車内を軽快にスキップしながらシャトルランを始める中年。
そんな快適な先頭車両にある日ピグモンのようなデブ女が出現して以降ボクの快適な通勤生活に濃い暗雲が立ち込めている。
デブ女は颯爽と電車に乗り込むと、車内の椅子に腰掛ける「ミシミシ」けたたましい椅子の断末魔を鳴り響かせ、衝撃が古代シダ科の葉脈のように僕の痛んだ古傷を抉る。
ボクはデブが理解できない、地球に存在する限りある貴重なカロリーをそんなに無駄にしてどうするんだろう。
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人間、大切なのは中身か?外見か?
デブは言う「人は中身だ」確かにこれはそうかも知れない「が!」個人的にデブはゴキブリのようなものなのである、お前らゴキブリが「俺足速いよ」とか「俺物凄い数の遺伝子を創造できる」とか自慢してきて好きになれるか?なれないだろう。
はっきりさせておきたいのがデブ女に可愛い面など一切ない、夜通し泣き明かし辛い出来事から立ち直りチベットの高原地帯で偉い坊さんに慰めの言葉を頂戴してる姿を100m離れた距離から見る横顔ですらブサイクなのである。
デブは人の気持ちを考えない。
記憶に新しいのが、ガリガリガリクソン、ガリガリガリクソン容疑者とか読まされるアナウンサーの気持ち考えたことあるんだろうか、デーモン閣下が捕まったら10万歳って表示出るのかな、そんな無駄な事を考えさせられ無駄に酸素を消費し俺様の貴重な時間を奪った罪は極刑に値する。
飲酒して車ガリガリしてホイールもガリガリしてタイヤパンクしたところをおまわりにガリガリ見つかってガリガリ捕まったけど酒飲んだせいで記憶がガリガリやられて車をガリガリ運転したか覚えてないって、ニュースの字面見て一瞬性犯罪かと思った。それは謝罪する。
話を戻そう、仕事を控え今にも殉職しそうな表情を浮かべているリーマンが無造作に立ち並ぶ車内がリング。
青コーナーがデブで赤コーナーが僕。
ボクは暑さを訴えフェイスを手で仰ぎ、お前は存在が公害だよジャブを放つ、デブは何食わぬ顔で化粧をし始めるという軽快なフットワークで軽くかわし、僕の拳は空を切る。
そこにデブがせんべいをボリボリ食べるカウンター攻撃。
「ボリボリ」醤油の匂いと共にデブ特有の汗交じりの香水の匂いがアルカトラズと化した車内に立ち込める。
発生源を特定しようとする試みる社蓄は数秒の抗戦ののち、戦意と共に永遠に砕け散る。
タオルを要請するようにセコンドを見やる。
セコンドのいるべき空間には車内駅名絶叫中年と、シャトルラン中年の姿があるだけ。
絶望。実質の敗北である。
デブは発汗が凄い顔は油塗れでテカッている。
来世はその特殊能力を活かして薪不足に悩む存在すら認知されていない原住民に薪として重宝され駆使されるか、熊のおもちゃとして動物園に寄贈されてほしい。
デブの幽霊は存在しないようにあらゆる面でデブは異端なのである、早く気付けデブ、人の視界に入らないように気をつけろデブ、身体に気をつけろデブ。
デブは関係ないが電車とは戦場である(うんこ)
親愛なる姉の結婚式に備えスーツを新調しようとコンクリートジャングルへ電車で向かうと、不慣れな環境、大衆の欲望と消費の集積場に無謀にも単身で乗り込んだプレッシャーからか猛烈な便意に襲われ、雷魔神-サンガ(う○こ)を召喚しそうになり僕は打ちのめされた。
急な腹痛!ゲリラ豪雨ならぬ『ゲリラ便意』
必死に絶える、ケツに力を入れすぎて呼吸が乱れてくる、眉間にシワが寄る、血の気が引いていく、つり革が冷や汗で滑る、瞳孔が開く。
窓に反射で映る平静を装う自分,顔面にはチアノーゼが浮き出てありありと限界を物語っている。
天は我を見放した。
松方弘樹ばりに天井を見上げる。
ここで尻に若干の熱量を感じる、山の山頂から向こう側の世界を見た、そう、約束の地(トイレ)を。
皆(乗客)が約束の地(目的地)に行く時、私はこの世にいないかもしれない。
これから何が起ころうとも、絶対に忘れるな。
私は必ず約束の地(トイレ)へたどり着く。
僕は今日とても幸せだ。
不安も恐れもない。
何も恐れる必要がないのは、神が私達の味方であると知っているからだ。
僕は最果ての境地大聖堂(トイレ)へ向かう、怪鳥のような雄叫びを上げ、トイレに駆け込む。
ふぅ危ない危ないうんこ漏らした。
出かける間際腹に若干でも違和感を感じた場合外出は控えよう。
悪いことは言わないから、やめておけ。
僕の教訓を無駄にするな。それだけだ。
日の朝露が光り百年の溜飲が一度に下りたかのようにすっきりした顔のトイレから出てきた僕をキッズが羨望の眼差しで見ていたよ。