表紙が好きで手に取ったのです。
わかります?このlainとか灰羽連盟を彷彿させる安倍吉俊風のタッチ。
マンガ選ぶ時って、絵柄がユニークな人って、だいたい話や絵と話にかかってくる演出にも一手間かかっているもの。だから、
「この絵でただのほのぼのってことはないだろ!…かわいいけど」
と思って購入。
ちなみに、作品を読んでから表紙を見返すと、この表紙にもトリックが仕込まれていることに気づくため、「さすがやなぁ~」と驚きます。
…いや、表紙とかじゃなくて、3回ぐらい読み返すと
「あそこの伏線がここで」
「この設定にはちゃんと意味があって」
「あーこの番外編でのキャラの出し方は、この話を読み解くために説明になってる!」
と、とにかく奥が深い作りになってる。
1巻しか出てないけど「このペースでキチッとした作品を描き続けたら、話題にもなるだろうし、原作のストックがたまってきたらアニメ化もされるだろう」とすでに期待しまくってる作品。
・概要
主人公は東京から田舎に転校してきた女の子。
田舎での日々を楽しんでは、それを日記にしてました。
ところが、引っ越してきておおよそ1ヶ月…この村を出ていくことに
…なるはずだった。
…あれぇ?
やり尽くされたジャンル。でも、ハンパなく洗練された作品。
めんどくさいアニオタが好きそうな、
「同じ時間を何度もやり直す系(ループもの)」
の作品。
古くはビューティフル・ドリーマー、最近ではまどマギでやられているほのぼのがちょっとづつ怖いものに変わっていくタイプの作品。
それまでがすごいかわいくても、ホラーとかサスペンスとかSFとか言われちゃうような…そういうやつ。
ただ、すごく洗練されているから、「この作品は来るよ!」と言ってる。
まず、その作品が成り立つために時代設定がすごい。
敢えて携帯電話やネットが普及していない時代の話にしたり、今だったらネットでなんでも買えるけど、(田舎の人が持ってないものを持ってることで)都会っ子設定が生きるような設定に。
ちなみに言葉を聞いている限りは舞台は九州の、それも海が出てこないから山奥っぽいけど…どうなんだろ?
次に、作者の画力が高いことを活かして、ほのぼのテイストの画風から、ホラーへのテイストのタッチへの落差を大きくしてる。
さらには「台詞による伏線」「表情によるダブルミーニング」も複合的に作品の中に仕込まれていて、読み返した時の驚きがすごい!!
その仕込みのクオリティがすごくクオリティが高い。
2回3回読み返すと発見があるように、作品の中を何本かの線が張り巡らされているような構造に仕上げているけど、1回目読んでも全然不自然じゃないから、読み返した時にも「深読みしすぎかな?」と悩ませる感じのシーンが多くて、すごく考えさせられる。
…と、色々言ったけど、僕の中では
「読んでよ!」
「それも、何回も読んで」
というのが、一番言いたい!!
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読みながら閃く・繋がる感覚は読んだ人にしかわからない
すごいとか、洗練されてるとか、設定の辻褄があってるとか…そういうことはいくらでも言えるんだけど…作品の完成度の高さは読んでもらって、実際に感動してもらうのが一番わかることだから!!
「こんな感じ」とか、「ここがよかった」とかいくらでも言えるし、説明したことを何となく伝えることは言えるよ?
でも、結局は手にとって「こことここがつながるじゃん!」「え?この話ってまさかここから始まってる!?」みたいなことを衝動的に読み返す感覚を味わってほしい!!
この作品にはストーリーや、絵柄や、細かい設定がキチッとしているからこそ「読んだ人にしかわからない閃き」「読んだ人だけが掴み取る快感」がある。
それを感じ取って欲しい。
紹介として「とにかく読んでよ!」って言ってしまうのは、すごく言葉で説明するのを放棄してる感じがして抵抗感がある。
だけど、それでも「読まないとどうしてもわからない」「口で説明しちゃうとどうしても陳腐になってしまう」部分こそ、この作品の真髄だからそれはしょうがない。
そういう作品なんです。
わかりやすくほのぼのしていて、絵もキレイな作品ではあるけど、その奥に何倍も掘り下げられる世界が広がっている。
ホラーとほのぼのがお互いの存在を引き立て合ってるから、読めば読むほど「洗練されてる」「すごい」ということばがよく似合う仕上がり。
しかも、その部分を体験してもらうには読んでもらうしかない作品でもある。
本当に続編が楽しみ。
1巻でこれだけ濃ゆかったから、2巻以降どうなっていくかすごく興味がある。