「私の払った年金って、ちゃんと返ってくるの?」
「何年かしたら、年金制度自体が破錠してしまうのでは…?」
なんて不安を感じている人も多いかと思いますが、年金の支払いには国の税金が投入されているため、年金制度が破たんしてしまう可能性は低いと言えるでしょう。
しかし、「年金がもらえるか不安」という感覚は的を得ています!
そもそも年金は、現在バリバリ働いている若者世代が納め、主に高齢者を支えるために使われます。
そして納めた年金の中から一部を積み立て、若者世代が歳をとって今度は支えられる側になったときの財源の一部にあてられるようになっています。
このように「支える側」と「支えられる側」がいて成り立つ年金制度ですが、現在は出生率が低下しているので、将来「支える側」が極端に少なくなる見通しです。(参考:内閣府「高齢化の状況」)
そのため将来、年金を受け取れる額が少なくなる、または若者が今以上の年金を支払うといったリスクが発生します。
そんな不安を解消できる保険が、将来、国からもらえる年金とは別に年金が受け取れるようになる個人年金保険(こじんねんきんほけん)です!
公的年金では生活費が足りない人、退職から年金が支給開始されるまでの生活費を準備したい人に向けて販売されていて、40~60代では20%以上の方が個人年金保険に加入しています。
(参考:「生命保険に関する全国実態調査」)
魅力的な保険商品で多くの人が加入しているとはいえ、デメリットがまったくないわけではありません。
今回の記事では、個人年金保険とはどのような保険なのかや、メリット・デメリット、どんな人が加入に向いているのかについてお伝えします。
自分の将来をイメージしながら、個人年金保険に加入すべきかどうかをじっくり考えてみてください。
老後っていくら必要なの?
定年を控え、老後の生活を考えた時に老後資金の準備として個人年金保険に加入する人が多く、一方20代30代はそこまでの必要性を感じていないようです。
所帯を持っていない人は特に、個人年金保険だけじゃなく、生命保険そのものに興味や関心が低いのが現状です。
なお、「平成24年家計調査」(総務省)によると、老後の1ヶ月の支出は以下のようになっています。
| 夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯 | 約27万円 |
| 世帯主が60歳以上、無職世帯 | 約23万円 |
| 世帯主が60歳以上、単身無職世帯 | 約15万円 |
平均して月に約22万円が必要になり、年間では「22万円×12ヶ月=264万円」の費用がかかります。
厚生年金の受給年齢の引き上げが検討されている今、60歳で定年を迎えたとしても5年間分の約1,320万円が、生活していく上で最低限必要になってくるかもしれません。
しかし、あくまでこれは最低限の費用です。これにプラスして、余暇を楽しみたい場合は旅行費や趣味にかかるお金がかかります。
また、高齢になるにつれて病気にかかる頻度も多くなりますので、医療費などの費用も必要になるでしょう。
さらには、年々徐々に上がっていく物価の上昇などにも対応しなければいけません。そのため資産運用や個人年金保険と合わせて、まとまったお金を用意しておきたいところです。
個人年金保険ってナニ?
個人年金保険は、若いうちに加入して保険料を支払うと、一定の年齢に達したときから一定期間(または一生)年金を受け取れるようになる貯蓄性の高い保険です。
支払いに関してどうなのか、受給に関してどうなのか、さらにわかりやすくご説明します。
個人年金保険は3種類ある
個人年金保険は、年金の受け取り方別にわけると「終身年金タイプ」「確定年金タイプ」「有期年金タイプ」の3種類になります。
| 終身年金タイプ | |
| |
被保険者が死亡するまで一生涯年金が支払われるタイプ。
個人年金が一生涯受け取れるが、そのぶん保険料も高めに設定されている。 万が一早く亡くなってしまうと、それまで払い込んだ保険料を下回る可能性がある。 |
| 確定年金タイプ | |
| |
決められた期間(通常5~15年の期間)個人年金が受け取れるタイプ。
万が一この期間内に被保険者が亡くなってしまっても、遺族が個人年金を受け取ることになり、原則的にそれまでの保険料が受取額を下回ることはない。 個人年金保険では、この確定年金タイプが受け取り方として主流。 |
| 有期年金タイプ | |
| |
確定年金と同じように決められた期間だけ個人年金が受け取れるタイプ。
被保険者が亡くなった後に個人年金は受け取れなくなるので、期間内に亡くなってしまうと元本割れも考えられる。 保険料が安いのが特徴。 |
支払い期間は死亡保障が付いている
図の青い三角の部分が保険料の払い込み期間になりますが、この間はそれまでに払い込んだぶんと同額の死亡保障が付くことになります。
ただ、この金額は通常の死亡保険に比べると、額も低いことがほとんどなので、死亡保障目当てで加入するのはおすすめできません。
個人年金の受給開始は60歳以降になる
一定期間保険料を払い込むと、個人年金の受給が開始されます。通常60~65歳から受け取り開始になることがほとんどでしょう。
個人年金は分割で受給する
払い込んだ保険料は分割で受け取っていきます。受取期間については3種類それぞれ異なります。
保険料の支払いかたは複数ある
個人年金保険は、保険料の支払い方もいくつかの種類があります。
定額型
月払い・半年払い・年払いのいずれかの方法で定額の個人年金保険を支払う方法です。一般的には年払いは保険料が安くなり「月払い<半年払い<年払い」の順で保険料が安くなったり、年金額の優遇があります。
支払い途中で解約すると元本割れをしてしまう場合もあります。個人年金保険は長期間の支払いが必要となる保険のため、申し込みの際は、確実に支払える金額を選びましょう。
なお、生命保険文化センターの『生命保険に関する全国実態調査』では、個人年金保険加入者は平均して月額15,750円を支払っています。必要な老後の資金は人それぞれですが、ひとつの目安として参考にしてください。
一時払い型
保険料を一度に支払う方法です。一般的に、定額型より保険料が安かったり、年金額が高かったりと優遇される傾向があります。
保険料の種類を選べる
支払う保険料は以下のようにいくつか種類があり、その中から選べます。
| 円建て |
従来型のベーシックなもので、保険料は円で支払い受給時も円で受け取る。 |
| 外貨建て |
米ドルやユーロ、豪ドルなどの外国の通貨で運用し、受け取れる年金額は外貨の為替で変動する。 |
| 変額型
|
円建てと比べると海外の高めの利率で運用できるので有利。円安になれば年金額が増える一方で円高になれば年金額が減るリスクがあり、為替コストがかかる。 |
個人年金保険のメリット・デメリットは?
このような個人年金保険ですが、どのようなシーンで役に立ち、どのような注意点があるのでしょうか。こちらでは、個人年金保険のメリット・デメリットをまとめてみました。
個人年金保険のメリット
銀行の利率よりも良い
現在、銀行の普通預金にお金を預けていても利息は全くと言っていいほど付きません。銀行にお金を眠らせているくらいなら、個人年金保険を利用したほうが老後の備えになります。
| おおよその利率 | |
| 銀行 | 約0.001~0.1% |
| 公的年金 | 約0.12% |
| 個人年金 | 約1.05~1.5% |
なお、個人年金保険は継続期間が長ければ長いほど返戻率が高くなるので、加入年齢が若いほどメリットがあるということになります。
老後の備えがきちんとできる
特に若いうちは老後の備えがおろそかになりがちですが、個人年金保険は、自動的に毎月老後の貯蓄をしていく形になるので、老後にきちんと備えることができます。
個人年金保険料控除が受けられる
個人年金保険で支払う保険料は、個人年金保険料控除の対象になります。会社員は、年末調整で控除を受けることで、所得税が一定額抑えられます。1年間で1万円程度ですが、数十年もするとバカにはできない金額です。
例えば、年間8万円以上(年間8万円は、月額ならば約7,000円以上の保険料)の個人年金保険料を支払った場合、所得税では4万円、住民税では2万8,000円の所得控除を受けられます。
控除の条件として「保険料払い込み期間が10年以上であること」などいくつかの条件がありますが、上手に活用すれば個人年金保険をお得に利用できます。
<所得税の控除>
| 年間の支払保険料 | 控除額 |
| ~ 20,000円 | 支払保険料全額 |
| 20,000円~ 40,000円 | 支払保険料 × 1/2 + 10,000円 |
| 40,000円~ 80,000円 | 支払保険料 × 1/4 + 20,000円 |
| 80,000円~ | 一律40,000円 |
<住民税の控除>
| 年間の支払保険料 | 控除額 |
| ~ 12,000円 | 支払保険料全額 |
| 12,001円 ~ 32,000円 | 支払保険料 × 1/2 + 6,000円 |
| 32,001円 ~ 56,000円 | 支払保険料 × 1/4 + 14,000円 |
| 56,001円 ~ | 一律 28,000円 |
※課税所得…1年の所得総額のうち税金の対象になる所得
個人年金保険のデメリット
途中で解約したら元本割れになる
まず、最も大きなデメリットは解約してしまうと、元本割れを起こしてしまうことです。元本割れとは、支払ったお金よりも受け取るお金が下回ってしまうことを言います。
解約の際は、解約払戻金が支払われますが、この払戻金は、払い込んだ保険料を下回ることがほとんどです。
そもそも解約をしなければいい話ですが、家計が苦しくなった場合や、ローンなどで、どうしても他の支払いをしなければいけない場合などあるでしょう。解約がやむを得ない場合を除き、解約は控えるようにしましょう。
保険会社が万が一破綻したら保障が一部カットされてしまう
個人年金保険は、長きにわたって関わってくる保険商品ですが、契約期間中に万が一保険会社が破綻してしまったら、保障額・個人年金額が一部カットされてしまいます。
「生命保険契約者保護機構」によるバックアップがあるので、支払った保険料全額を失うことはありませんが、万が一の事態になってしまうリスクはデメリットです。
これは、銀行にお金を預けていても、他の投資商品を持っていても同じことは言えるのですが、運営元が破綻してしまうと利用者にしわ寄せ来てしまいますので、その会社の運営が健全であるかどうかを気にして契約することでいくらかリスクは減らせるでしょう。
(ただし、これまでに大手保険会社が倒産した事例はきわめて少ないです。)
どんな人が個人年金保険に加入すべき?
個人年金保険は、以下のような人にこそ向いています。
お金を半強制的に貯めたい人
個人年金保険の保険料は、預金口座から自動で引き落としになります。お金があるとある分だけ使ってしまい貯蓄が出来ないという方は、個人年金保険を解約しないことでコツコツと、半強制的にお金を貯めることが出来ます。
老後のために貯蓄したいがなかなかうまくいかない人
一般的には、老後は仕事をやめて収入が得られなくなり、病気や介護にお金が必要になります。これを考慮すると、それをまかなえるだけの備えが必要になります。ゆとりある老後の生活を真剣に考えている人にとって個人年金保険は向いていると言えます。
金銭的に余裕はあるがそのお金を有意義に使えない人
現在、資産が多くありゆとりある生活を送れているが、そのお金を運用して大きく増やすことは苦手なため少しずつでもいいから確実に貯めたい…という方にとっても個人年金保険は向いています。
自営業者や主婦
現在の年金制度は、以下の図のように3階建てで構成されています。
つまり、自営業、フリーランス、または主婦の方は、会社員とくらべて厚生年金がないために将来受け取れる年金もそのぶん少なくなります。
老後を考えた場合に、国民年金に保険料を上乗せして支払う国民年金基金に入っておくという手段もありますが、将来の受給額が減ったり受給年齢が引き上げられたりするリスクがあります。
このリスクのカバーを目的として、民間の保険である個人年金保険への加入も検討してみるべきでしょう。
まとめ
総務省統計局の国勢調査では、2025年には高齢者の人口は約3,500万人になると予想されており、高齢化社会はますます加速することでしょう。
公的年金の保険料を支払う事は国民の義務ですが、老後の自分と家族を養うために、資産運用は必須の時代になってきました。
資産運用のひとつの方法として、ローリスクな個人年金保険は有効です。様々な金融商品と組み合わせながら、加入を検討してみましょう。