撮影&文:奥村來未
今日は私の愛犬Mackが罹った病気、前庭疾患について書こうと思います。私は、私の大切なMackを歩けなくしてしまった、この病が本当に憎らしいです。
小学生の時にやってきたMack。その時からMackは私の大切な弟になりました。Mackと私は、とても仲良しの姉弟で、Mackは目が見えなくなる前は、私と追いかけっこをするのが大好きでした。そして目が見えなくなってからも、家中どこまでも私の後ろをついて歩く子でした。
2016年初夏、それは起こりました。
大切な弟から歩みを奪った憎い「病」
Mackが17歳になって、間もないある日。Mackは突然、真っすぐ歩けなくなりました。ヨタヨタとびっこを引いたように歩き、首をやや右へ傾げたような仕草をするようになったのです。がんばって歩いても、ヨタついたり、転んだり、クルクル回るようになりました。
ヘルニアを過去に二度やっていて、痛みがあった時は何かを訴えてくるような鳴き声をあげていましたが、そんなそぶりもないし、腰回りを触っても痛がったりするわけでもないので、ヘルニアとは違うということはすぐにわかりました。でも歳も歳だし、足の関節が痛むのだろうか?と思っていました。
その症状から何日か過ぎ、私はやはり病院に連れて行こうと思いました。そして通院日前日に、獣医師に症状をしっかり伝えたいと思い、インターネットで「老犬、首の傾き、歩行異常」と検索してみたところ、当時のMackの症状に近い病気が見つかりました。それは「前庭疾患」という聞き慣れないものでした。
そもそも私は、「前庭」という言葉の意味を知りませんでした。その日はほとんど眠らずにインターネットで調べ、結局それが脳起因の疾患であることが分かってきました。
調べてみて分かった症状は、次のようなものです。
●突然症状がでる突発性の場合が多い
●首を片側に傾ける斜頸(捻転斜頸)になってまっすぐに歩けなくなる
●眼振
●食欲不振・嘔吐
●睡眠障害
すべてのことが、当時の私にとっては恐ろしく感じましたが、確かにその頃のMackの様子は、微かに目を回した時のように眼球が右へ左へ揺れる動き(これが眼振だった)や、眠りが浅く夜中に何度も起きる、眠いのに眠れないなど、歩行以外でも合致することばかりに思えました。
実際、かかりつけの医師からも「前庭疾患がみられる」との診断でした。しかし突発性前庭疾患の場合は軽度の場合、改善することもあると言われ、どうか改善してくれと願い続けました。
ところが私の願いもむなしく、Mackの状態は改善するばかりか、みるみる悪化していくばかり――。更に悪い事は重なるもので、一番症状が酷くなって来た頃に、急性膵炎を発症。
Mackは約2週間集中治療室で寝たきり入院生活の結果、立つ・座る・歩く……すべての動きができなくなってしまいました。
歩けなくなり、寝たきりになってからはMackもストレスがとても大きかったようで、なかなか食事も受け付けてくれず、大きな涙をこぼして吠え続ける日々が、しばらく続きました。
歩けなくなったMackに、せめて少しでも動けるようにと車椅子を購入しました。Mackを車椅子に乗せてみましたが、Mackのストレスはなかなか改善されず、体の方は徐々に回復していても、心は折れたままのようでした。
しかし、こちらが介護に慣れてくると、Mackも自分の体の状態を徐々に受け入れたようでした。更には歩けないことを利用して、少しでも離れたら呼びつける・眠るときは絶対に身体のどこかを密着させないと眠らない等、今まで以上にうんと甘えてくるようになったのです。
家族全員で決めたことは、後ろ向きな事は考えないようにしようという事。とにかくMackができたこと、例えば「食べること」や「排泄」でさえも大げさに褒め、明るく接しすることにしたのです。
その結果Mackは、また座れるようになるまで回復。
これは本当にうれしかった……
現在はというと――
残念ながらMackの症状はもっと進みました。病魔はなかなか手加減をしてくれません。首の斜頸が酷くなり、また座れなくなってしまっています。
けれど私たち家族は諦めないで、Mackが調子のいい時には、車椅子に乗せるようにしています。また少しでも改善してくれたらいいなあと思いながら、みんなで見守っているのです。
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憎たらしい病魔――
しかし、いつも一生懸命に戦うMackを見ていると、ただ病を憎んでばかりでは行けないんだという気持ちになってきます。今では私も家族も、なんとかこの病とうまく付き合う方法を考えようと、日々模索しています。
何より、18歳になった今でも決して諦めず、病と闘うMackは、本当に逞しく、私自身も勇気や元気を貰う毎日です。
皆さんも、愛犬が病気になったとして、どうか諦めないでください。愛犬は前と少しもかわらず、いつまでも可愛いままでそこにいるのです。どうかあなたの心が先に、愛犬を見捨ててしまうことがありませんように。
文:奥村來未
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