ソーシャルレンディングに興味があるけど、“ソーシャルレンディングって本当に大丈夫なの?”、“何か問題点はないの?”と気になっていませんか?
「投資の知識がなくても高利回りな運用ができる」という点が魅力で、近年急速に拡大し、今最も注目されているソーシャルレンディングではありますが、実は、比較的新しい投資分野であるがゆえに業界が抱えるいくつかの問題点も存在しています。
そのため、ソーシャルレンディングを始める前に、それらの問題点をきちんと理解し、リスクヘッジをしながら安全な運用を心掛けることが大切です。
このページでは、元大手金融投資顧問会社のアセットマネジャーとして、様々なファンドを運営してきた筆者が、「ソーシャルレンディング業界の問題点や注意点」について、以下の流れに沿ってわかりやすく解説します。
- 事前に知っておくべきソーシャルレンディング業界が抱える3つの問題点
- 企業信頼性が鍵!投資を始める前に必ず押さえるべき2つのポイント
- ソーシャルレンディング業者比較で注目すべき3つのポイント
- ソーシャルレンディングをやるなら押さえておくべき信頼性重視のおすすめ業者5選
すべて読めば、「ソーシャルレンディングが抱える問題点」を理解した上で、「高利回り」等のメリットを活かしながら無理なく安全な投資判断ができるようになるでしょう。
1.事前に知っておくべきソーシャルレンディング業界が抱える3つの問題点
ソーシャルレンディングは世界的に注目され急成長を遂げていますが、投資を始める前に、新しい投資分野であるがゆえの問題点をきちんと理解しておきましょう。具体的には以下の3点が挙げられます。
- 金融商品としての透明性が十分に確保できていない
- 将来的な供給過多による利回り低下の可能性
- 経済不況時の市場ダメージが予測困難
1-1. 金融商品としての透明性が十分に確保できていない
ソーシャルレンディング業界が抱える問題点として、まず最初に貸金業法に基づく「債務者の匿名性の優先」が挙げられます。
これにより、ソーシャルレンディングの投資家は「投資先(貸付先)の情報が非公開な状態で投資判断しなければいけない」という状態にあります。
ソーシャルレンディングサービスを運営する為には以下のように「第二種金融商品取引業者登録」と「貸金業者登録」を行う必要があります。
そして、「貸金業法」に基づき、投資家側は出資先の企業名を始め、詳細な事業内容を知ることができません。これは、「貸金業法」が借り手を保護する観点から定められた法律である為です。
仮に、出資先を明確にしてしまうと一般投資家が直接貸金業を行なっていると見なされ貸金業法違反となってしまう可能性があります。
反対に、投資家はソーシャルレンディング業者を介して出資や分配金を受け取る為、必ず「匿名組合出資契約」を結ぶ必要があり、それにより貸し手側においてもどのような投資家から出資を受けているのか知ることができません。
このように金融商品としての透明性が十分に確保できていない点がソーシャルレンディングの問題点の一つと言えるでしょう。
今後、ソーシャルレンディングが更なる発展をしていく上で、法改定され改善されるかもしれませんが、現時点では、投資をする際には、仲介しているソーシャルレンディング業者の信頼性と、その業者が開示している案件情報から見極めて判断するしかありません。
1-2. 将来的な供給過多による利回り低下の可能性
高利回りが魅力的なソーシャルレンディングですが、今後、市場規模が拡大していくと仮定した上で考えられるのが「利回りの低下」です。
今でこそ「お金を借りたい人」と「投資したい人」を繋ぐ画期的な金融商品として需要が高いと言えますが、市場拡大に伴い、新たなソーシャルレンディング業者が増えるにつれ、「借り手」の需要が満たされ、「投資家」の供給過多になってしまう可能性も考えられます。
その場合、業者同士が「借り手」を確保する為に価格競争を始め、金利が低下していく可能性が懸念されます。さらに、「借り手」が減少する事で、リスクの高い不良案件が増加するかもしれません。
1-3. 経済不況時の市場ダメージが予測困難
ソーシャルレンディング市場は、リーマンショック後の景気が回復に向かっている追い風の中生まれた金融商品である為、今日まで経済情勢としては恵まれた環境で成長してきました。
逆に考えると経済不況を経験していない為、例えばリーマンショックのような金融危機が発生し、不動産市場が暴落した場合、ソーシャルレンディング業界でも倒産や貸し倒れなどの甚大なダメージを被る可能があります。
金融危機のような思わぬ大惨事に備えて、日頃から少額分散投資や短期投資を心掛ける等の対策を考える事をおすすめします。
2. 企業信頼性がカギ!投資を始める前に必ず押さえるべき2つのポイント
前述の通り、ソーシャルレンディングで比較的安全な投資を行うにあたり、失敗して後悔しないよう事前に押さえておくべき絶対的な注意点を2つご紹介しておきます。
ソーシャルレンディングで後悔しないためにリスクヘッジ策として事前に押さえておくべき注意点は以下の2つです。
- 必ず複数業者に分けて分散投資する
- 商品についてもジャンルを分けて分散投資する
2-1. 必ず複数業者に分けて分散投資する
ソーシャルレンディングに限らず全ての投資について言えることであり、プロが必ず行なっているリスクヘッジ策が「分散投資」です。
特に未成熟なソーシャルレンディング業界では、過去に貸付先の精査が甘くデフォルトを起こした業者(AQUSH)や、投資家から集めたファンド資金を社長自らの借金の返済に充当するといった悪徳業者(みんなのクレジット)のような最悪な事例も現に発生しているため、業者の信用リスクは他業界より高いと言わざるを得ません。
当然、しっかりとした健全経営でソーシャルレンディングの最大の魅力である高利回りな商品を問題なく償還し続けている優良業者も多いため、ソーシャルレンディングが魅力的な投資であることは間違いありませんが、万が一のリスクを避けるためにも、一社の案件に集中投資することは避けて、必ず複数の業者に分けて分散投資するようにしましょう!
【参考記事】ソーシャルレンディング業界で起こった過去の不祥事について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
2-2. 商品についてもジャンルを分けて分散投資する
前項の理由から、業者については分散投資してリスクヘッジするのは絶対と言えますが、個別の商品についても本来の投資リスクヘッジの観点から、ジャンルを分けて分散投資することをおすすめします。
それは、世間一般的な事情として、同業態の事業者は経済変動等により同じような経済的影響を受けるため、一社の経営が傾くと同業態の業者も同じように経営が厳しくなるという特徴があるためです。
特に、ソーシャルレンディングでは、デフォルトにより投資元本が返ってこないという最悪のリスクに対するヘッジ策を考えるべきであり、「事業者に対する貸付け」という仕組み上、同じようなジャンルの商品ばかりに投資するのはリスクの上積みでしかありませんので、できるだけ他ジャンルに分けて分散投資するよう心掛けましょう。
3. ソーシャルレンディング業者比較で注目すべき3つのポイント
ソーシャルレンディングの業者や案件選びの際に「年利回り」だけを基準として判断してしまう人が多いですが、年利回りだけを理由に業者を比較してしまうのは危険です。
ソーシャルレンディングの業者比較では以下の3つの順で注目することが大切です。
- 企業の「信頼性」
- 案件の「安全性」
- 「信頼性」と「安全性」を満たした上での「年利回り」
3-1. 企業の「信頼性」
国内業者の多くは、公開情報が少ないベンチャー企業です。
現段階では、国内市場は未成熟で発展途上であることから、倒産などの企業リスクも比較的大きい業界である事を理解して「信頼性」の高い業者を選びましょう。
例えば、大手企業からの資本を集めることに成功している業者は、経営面での信頼性が高いと言えます。
3-2. 案件の「安全性」
ソーシャルレンディングの商品は全てリスク商品である為、最悪、貸し倒れの可能性があり、その場合は投資家が損失を被ることになります。
業者によっては一部の商品に担保がついたものもある為、必ず担保保証付き(保証会社付き)の有無とその内容について確認した上で投資先を選定しましょう。
3-3.「信頼性」と「安全性」を満たした上での「年利回り」
上記の理由から、「年利回り」等商品の内容だけで投資判断をするのは絶対にやめましょう!
個別案件(商品)は数日間の短期募集が多い事から口座開設後では既に入れ替わっている可能性も高く、また、投資先の詳細を確認することはできない為、業者の審査能力が大変重要です。
まずは運営業者の概要や特徴についてきちんと理解した上で、自分なりに信用できると判断した業者の運営する個別案件の中で、できる限り担保付きの案件を選び、その上で年利回りやその他のニーズに合ったものを厳選して投資するようにしましょう。
4. ソーシャルレンディングをやるなら押さえておくべき信頼性重視のおすすめ業者5選
前章の通り、ソーシャルレンディングにおける業者選びは「企業信頼性」が最も重要な項目であり、次いで「商品の安全性(担保保証の有無)」、「年利回り」という順でそれぞれの業者を比較していくことが大切です。
実際には、さらにその他の項目も含めて最終的に自身のニーズにあった業者の中で個別商品を選択していくことになりますが、ここでは全ての人におすすめできる厳選5業者として「信頼性」を最重要項目とした上でその他の項目に関しても優れている業者をご紹介します。
業者のサービス内容は随時変更されていくため、あくまで2017年9月時点での情報ですが、上記の条件を満たす業者としては以下の5社がおすすめです。
- 『maneo(マネオ)』|複数の大企業から出資を受けている業界最大手
- 『オーナーズブック』|不動産案件メインで全商品不動産担保付きの業者
- 『LCレンディング』|保証内容が非常に手厚い商品が多い人気業者
- 『クラウドクレジット』|伊藤忠商事が出資する社会貢献性が高い商品を扱う業者
- 『SBIソーシャルレンディング』| SBIグループに属す手堅い業者
※募集期間が非常に短い案件が多いため、気になる業者の口座は予め開設しておいた方が良い。
ソーシャルレンディングの個別案件の投資募集期限は数日間と非常に短いものが多いです。 また、募集期限前でも募集額満額に達した時点で締め切られるため人気案件はすぐに募集終了してしまいます。 良い条件の案件を見つけてから口座開設していては間に合わないケースもあるため、 気になる業者の口座は予め開設しておくのがおすすめです。
4-1. maneo(マネオ)|複数の大企業から出資を受けている業界最大手
『maneo(マネオ)』は2007年に日本で初めてソーシャルレンディングサービスを始めた業界のパイオニア的存在で、GMOクリックホールディングスやSMBCベンチャーキャピタル等、大手企業からの資本を集める事実から信頼性が高く、国内シェア率NO1.の人気業者です。
初めて開設する口座やメイン口座として最もおすすめです。
4-2. オーナーズブック|不動産案件メインで全商品不動産担保付きの業者
『オーナーズブック』はカカクコム株式会社等大手企業から出資を集める信頼性の高い業者で、不動産のプロによる厳選された全件不動産担保付きの商品を扱う人気業者です。
「maneo」同様、投資家から多くの人気を集めるオーナーズブックは、「商品安全性」「年利回り」共に一歩抜けており、初心者から中上級者まで幅広くおすすめできます。
4-3. LCレンディング|保証内容が非常に手厚い商品が多い人気業者
『LCレンディング』はジャスダックに上場するLCホールディングス株式会社の100%子会社である事から信頼性が高く、不動産に特化した商品を扱う人気業者です。
LCホールディングスの保証が付いた非常におすすめな手堅い商品も扱っており、初心者にも上級者にもおすすめの業者です。
4-4. クラウドクレジット|伊藤忠商事が出資する社会貢献性が高い商品を扱う業者
『クラウドクレジット』は伊藤忠商事株式会社等大手企業から出資を集める信頼性の高い業者で、海外向けに特化した高利回りな商品を扱う人気業者です。
ペルーやカメルーンといった資金不足の新興国への融資を中心に、彼らの自立と貧困からの脱出を担うといった社会的意義が大きい投資ができる他の業者にはない特徴があります。
残念ながら担保保証はありませんが、グループ会社や世界レベルの大手金融機関の出資を受けている提携会社に限定して融資を行うことでリスクを低減しています。
投資経験が豊富で、資金的に余裕がある人におすすめの業者です。
4-5. SBIソーシャルレンディング|SBIグループに属す手堅い業者
『SBIソーシャルレンディング』は大手金融会社SBIグループで信頼性が高く、全件担保付きの安全性が高い商品を扱う人気業者です。
不定期でキャッシュバック等の嬉しいキャンペーンを開催する事もある為、開催中のキャンペーンは可能な限り活用する事をおすすめします。
5. まとめ
いかがでしたでしょうか。
ソーシャルレンディングに対する疑問が解消できたのではないでしょうか。
本サイトで紹介したいくつかの問題点を押さえれば、短期少額から投資が可能なソーシャルレンディングは初心者でも簡単に始められる魅力溢れる投資です。
きちんと自分に合う業者を選び、ソーシャルレンディングで後悔しない最先端の投資を行いましょう!
<すべての人におすすめできる厳選業者5選>
- 『maneo(マネオ)』|複数の大企業から出資を受けている業界最大手
- 『オーナーズブック』|不動産案件メインで全商品不動産担保付きの業者
- 『LCレンディング』|保証内容が非常に手厚い商品が多い人気業者
- 『クラウドクレジット』|伊藤忠商事が出資する社会貢献性が高い商品を扱う業者
- 『SBIソーシャルレンディング』|SBIグループに属す手堅い業者