京大の男性准教授が育休を取って知った“後悔”とは
連載「子育て世代の幸福論」
どうしたら人々が幸せに生きられる社会をつくることができるのか?「幸せ」をテーマに研究を続ける社会学者、京都大学准教授の柴田悠さん(39)は今年5月に双子が生まれ、約半年の育児休業を取得している。夫婦2人で2人の子どもの育児に奮闘する日々の中で、初めて「後悔」を味わっているという。子育てで何が変わるのか。男性社会学者が考えた。
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もともと私は、ポジティブな人間だと思う。というか、ポジティブにならないと今の社会ではやっていけない気がする。たとえ失敗をしたとしても、「次からは気をつけよう」「誰かに迷惑をかけてしまったのならその人には真摯に謝り、今後の行動で誠意を示していこう」と考えてきた。
だから、これまでは「後悔する」ということがあまりなかった。その時々で自分にできるかぎりのことをしてきたし、それ以上のことはできなかっただろうからだ。
しかし今年5月に双子が生まれてからは、育児をするなかで、私は初めて「後悔」を重ねる日々を送っている。
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子どもの保護者として育児をするということは、その子どもに対して「取り返しのつかないかもしれない影響」を毎日与え続けるということだ。言い換えれば、「疲れが出てしまったときに、子どもの成長にとって良くない行動を無自覚のうちにしてしまう」というリスクと不安を、毎日抱え続けるということだ。
この子たちの人生で最も多感であろう「0歳」のこの時期は、今しかなく、「次からは気をつけよう」というような「次」のチャンスはもう二度と来ないかもしれない。
そのような、毎日24時間つづく緊張感のなかで、私はたびたび後悔を重ねている。「あのとき、もっと丁寧に扱ってあげればよかった」「もっと働きかけてあげればよかった」などなど、挙げればきりがない。
きっと世の親たちもみな、程度の差はあれ、このような後悔を重ねながら育児をしているのではないか。逆にいえば、そのように子育てについてどうしても後悔を重ねてしまうのが、「親」というものなのではないか。