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  • Oct 7, 2017
夫婦仲良く「別居婚」?“現代版の通い婚・通称LAT”が増加中。愛のある離ればなれ生活の実態

「あそこの夫婦、『LAT(エル・エー・ティー)』なんだって」。
いったい、どんな夫婦のこと?

1. Lots of Aggressive Tantrum(毎日痴話喧嘩ばかりの)
2. Lettuce And Tomato(レタスとトマトみたいにお似合いな)
3. Living Apart Together(別居婚している)

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別居してても、愛のあるカップルです。

 正解は、3.「別居婚」。別居婚、字面からなんとなく予想できるが、定義は「夫婦、あるいは未婚でも真剣交際しているカップルが、自らの意思で離れて暮らすこと」。その“別居”の「LAT」カップル(夫婦)がいま増えている。特に20年前に比べると離婚率が倍増した熟年カップルに多く、中には子どもがいる夫婦も数十年もLATなのだとか。

 米国勢調査局によると、国内の350万人(これは、結婚しているカップルの3パーセントにあたる)が絶賛別居婚中で、ところ変わってイギリスでも9パーセントの成人がパートナーとの別居を選択しているらしい。さらに英経済社会研究会議(ESRC)が572人の別居婚者を対象に行った調査では、61パーセントが35歳以下*と、若年カップルにも別居婚が多いことがわかった。

*28パーセントが35〜55歳、11パーセントが55歳以上だった。

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 せっかく結婚したのに別居? の声に、別居カップルは真っ向から「結婚=同居って誰が決めたの?」。愛があれば住処が一緒でなくても大丈夫、むしろ一緒に住まない方が愛が育む、なんて意見もあるとか。

理由を聞けば、確かに納得…。

 日本には平安時代から、夫が妻の家を訪ねる「通い婚」の文化があった。世界的に見れば、仏作家カップルのサルトルとボーヴォワール、メキシコアーティストカップルのフリーダ・カーロとディエゴ・リベラも別居、とインディペンデントな文化人同士の別居は昔からあった。では現代の別居カップルの生活ものぞいてみよう。

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部屋の趣味だって夫に合わせなくて済むでしょ?
 ニューヨーク市内在住の結婚歴25年の初老夫婦。子どもも二人いるが、一度も一緒に暮らしたことはない。生活習慣やお金の価値観が違うなどの理由のほかにも別居の理由(妻)は「部屋の趣味も違うし]
。アンティーク家具で埋め尽くされた夫の家は趣味に合わない、と自分の好きなものに囲まれて生活したい妻の押しが強い例だ。

もう二度と手に入らない価値のあるアパート、手放したくない。
 マンハッタン在住のアート関連職につくゲイカップル。まだ地価が比較的安かった数十年前に購入したアパートが双方にあり、別居している。徒歩22分の距離に住んでいるので、ちょくちょくお互いの家を行き来し服もシェアする仲良しぶり。どっちかのアパートに移り住めばいいのに、と思うかもしれないが、カップルが懸念するのは「近年の土地価格高騰」。一度手放したら二度と同じ値段では買うことのできないアパートの不動産価値を冷静に考え、それぞれのアパートを所有したままの関係を続けている。

通勤の往復4時間はかなりキツイよ。
 平日は別々の家での生活、週末だけどちらかの家で寝食をともにする。そんな週末婚スタイルも多いケース。違う都市で仕事をしているため多忙な平日は自分の家から通勤したい、時間を節約したい、というのが主な理由だ。ロンドンに平日のみ在住の映画業界の男性は、ロンドン郊外に住む妻と子どもと別居婚。クリエイティブ職ならではのイレギュラーな勤務時間に加え、平日に往復4時間の通勤はかなりの時間のロス。時間ができた週末には、妻と子どもに会いに実家に帰る、という生活を繰り返している。

“Me Time(自分だけの時間)好き”ミレニアルズ婚にも最適?

 経済的な理由や価値観の齟齬(そご)、生活スタイルの違い、通勤時間など物理的な合理性、そしてたんに「離れていた方が関係が良好」だから、別居。元々は赤の他人同士が一緒に生活することになるのだから、やれ歯磨き粉の出し方が気にくわない、やれ水まわりが汚い、トイレの便座をあげっぱなし、ドアを開けっ放しにする。いくら仲良しカップルであっても、そんな喧嘩の火種は日常に転がっている。常に顔を合わせていがみ合うくらいなら、別々に生活をして相手のイラつく部分に蓋をしてしまってもいい、そんな結婚生活のカジュアル化が進んだのか。

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 それに最近のミレニアルズは、セルフィー大好き&セルフケア好きの「Me Generation(ミー・ジェネレーション)」とも呼ばれている。“me time(ミータイム、自分一人だけの自由時間)”をこよなく愛し大事にする世代ともいわれているから、別居婚、ミレニアルズ結婚のスタンダードになってもおかしくない、それがいいか悪いかはまた別として。

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Text by Risa Akita
Content Direction & Edit: HEAPS Magazine


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