つみたてNISA対象の金融商品は120商品に上る見込み
つみたてNISA対応の商品が明らかになりました。基準を設けて絞ったと言えども、120商品にも最終的には上りそうだということです。投資が趣味の人にとってはその選別も楽しい作業でしょう。
ただし、全く投資をしたことがない人にとっては、
「120商品もあったら選べないよ」
「どういう視点で選べばよいのか分からないよ」
ということになると思います。実際にすでにご質問をいくつか頂戴しておりますので、ここでインデックス投信に絞ってまとめておきたいと思います。
つみたてNISA、金融商品つみたてにあたって持っておきたい視点
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つみたてNISAは金融庁肝いりであり、すでに金融庁に対象になる連動指数が示されています。この連動指数に沿っている、あるいは準拠していないといけません。つまり、つみたてNISA対応商品は、事前に選別された商品だということです。
そのため、大きな失敗は無いでしょうが、いくつか持っておきたい視点がありますのでここでおさらいをしておきたいと思います。
- 米国が投資の本流
- 先進国というくくりの罠
- 新興国をどうとらえるか
- 日本株への対応
以下、簡単に触れていきます。
1「米国が投資の本流」
まず、米国株を柱に入れている商品、ないしは米国株一本の商品が良いでしょう。理由は、世界が多極化時代を迎えていると言えども、まだまだ米国の成長力は旺盛だからです。
短期では下落局面もあるでしょうが、実際に20年というスパンならばほとんど必勝と言ってよいぐらいに実績を残してきています。
過去100年以上において成長を続けてきた国です。イノベーションを起こす力、法整備、株主尊重、人口動態、少なくとも他国との比較においてアメリカに死角はほとんどありません。
2「先進国というくくりの罠」
ヨーロッパや日本といった国は投信・ETFでは先進国というくくりになっています。これらの国は現代社会において国際的な競争力を持つ国が多く、投資先として有望な企業もあります。
しかし、一部の企業を除いて、米国株ほど自社株買いを実行していなかったり、成長力に疑義が付く企業が多いのも事実です。
先進国企業ならば競争力があるのだろうと考えがちですが、株主に還元されているかどうかというのはまた別問題です。そこで、投資額の限られる「つみたてNISA」においてはあえてヨーロッパ株などを含む必要は無いと考えます。
ヨーロッパは個別株で光る、そんな投資先と判断します。
3「新興国をどうとらえるか」
新興国は経済成長という意味において魅力です。ただ、どの国も伸びるわけではなく、精選が必要です。また、法整備面においても未発達なところがあります。
国の経済成長と株価の上昇が同じ軌道になるという保証はなく、投資の本筋にはなりません。あくまでサテライト的に使うということになります。
4「日本株への対応」
日本株の場合は今後も日銀ETF買い入れが続く限りは安心できます。逆に日銀買い入れが無くなっていたらどうなっていたのか。今のTOPIX・日経平均は無かったでしょう。
日銀買い入れが永続的と信じるならば買えますが、そうではないと思うならば考えたほうが良いということです。つまり、多分に政治的であり、恣意的な相場になっているということです。
1989年のバブル崩壊までは絶好調だった日本株ですが、すでに誰もが儲かる時期をとうに超えています。そういう意味では日本株も投資の本筋にはなりません。日本株も値動きの上下を生かした、個別株が魅力の相場になっています。
こうした視点をもとに、つみたてNISAをきっかけとして投資を始める人に向けて、つみたてNISAで買うべきおすすめ商品ベスト3をズバリ上げてみたいと思います。
つみたてNISAで買うべきおすすめ商品ベスト3
前置きが長くなりました。ズバリ、ベスト3を紹介します。上記の視点を持つと、ほとんどの投信が当てはまらないという意外な事実に直面します。やはりまだまだ海外投資、北米投資はマイナーなのですね。
気にせず「人の行く裏に道あり花の山 」、付和雷同せずに自分を信じていきましょう。
つみたてNISA、おすすめ商品1位
楽天・全米株式インデックス・ファンド(信託報酬年0.1696%税込)
楽天・全米株式インデックス・ファンドはジェレミー・シーゲル先生もご推薦のETFである、VTIと同じベンチマークを使う投信です。VTIは米国上場株約4000株を買付対象とするETFで、米国の成長に便乗するならばこのETFがベストです。
VTIは市場まるごと対象とするETFですので、急な値動きは期待できないかと思いきや、2016年初頭に買った私でも40%以上の値上がりをすでにしています。20年間持っていれば、ほとんど間違いなく上昇すると思われます。
上昇しないケース。それは天変地異か世界大戦、歴史に残る恐慌が起きるケースぐらいしか想像できません。
つみたてNISA、おすすめ商品2位
iFree S&P500インデックス(信託報酬0.225%税抜)
こちらは著名なS&P500連動の投信です。他社に比べて信託報酬で圧倒しています。簡単に言うと安いです。このS&P500に連動するETFとVTIはパフォーマンスが近似します。ただ、著名度でいうとS&P500のほうが上です。
世界最大の運用会社であるブラックロックが出しているS&P500連動のETFはIVVです。これはブラックロックの看板商品です。また、世界最大のETFはSPY、これは世界3位の運用会社であるステートストリートの看板商品です。
こうした信頼できるベンチマークであることから、こちらも最適解の1つでしょう。
つみたてNISA、おすすめ商品3位
楽天・全世界株式インデックス・ファンド
こちらは全世界ということで、ヨーロッパや新興国も含みます。しかし、50%を超える比重がアメリカ株です。対応するETFはVTです。VTはVTIに比べると運用規模は劣りますが、日本人には非常に人気があります。
その人気の理由は分散性です。私はVTも持っています。VTIと同じ時期に買いましたが、VTは新興国上昇の波に乗っており、パフォーマンスはほとんどVTIと同じです。今後は違いが生じると思いますが、積立額を考えるとそんなに気にしなくてもよいのかな、と思っています。
アメリカ一本よりも世界各地に投資したい、分散させたい、という方にとってはこちらの商品が良いでしょう。他の全世界対象の投信を押さえて選ばれたのは、信託報酬が出色だからです。同じベンチマークなら低信託報酬の商品を選ぶ。
シンプルな基準です。
つみたてNISAのおすすめ商品ベスト3のまとめ
まとめます。1位はVTI、2位はS&P500(IVV・VOO・SPY)、3位はVTというところでしょうか。楽天がバンガードと組み、経費を削った商品を出してきています。あっさりと、拍子抜けするぐらいにシンプルに消費者が求める商品を出しました。
この手があったか、ということでコロンブスの卵のようです。その動向は今後も注目です。
「債券系がない」「金などの商品系がない」というご指摘もあるかもしれません。しかし、月々3万3千円前後の積み立てということで、株式全力でも良いかと個人的には思っています。このあたりは議論の余地はあるでしょう。
さて、今まで高信託報酬・手数料での回転売買で利益を出してきた時代は何だったのでしょうか。シンプルに米国で支持されているETFを投信という形にして出した、それが最適解になる。当然と言えば当然ですが、やや複雑な思いがします。
日本の投信界が本当に顧客本位の商品開発をしていたら、そしてその積み上げがあったらどうなっていたのか。一抹の寂寥感はありますが、時代が変わる、投資が変わるということで前向きにまとめたいと思います。
関連記事です。
1位の楽天・全米株式インデックス・ファンドについてはこちらの記事でまとめています。早くも投資ブロガー、Twitter界隈ではかなり話題になっており、存在感を日に日に増している印象があります。
2位のiFree S&P500インデックスです。こちらも詳しくは下記の記事をごらんください。大本命と思われましたが、楽天バンガードの登場で2位となっています。しかし、その商品の良さは揺るぎません。
なぜアメリカを投資の中心に据えるのか。非常に単純ですが、先進国とは思えない成長国のようなGDPの伸び、そして移民の国の本領発揮ともいえる労働人口の増加、これらはヨーロッパ・日本には見られない特徴です。