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室井佑月「この流れでいいの?」

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。自らの子育てを綴ったエッセー「息子ってヤツは」(毎日新聞出版)が発売中。

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。自らの子育てを綴ったエッセー「息子ってヤツは」(毎日新聞出版)が発売中。

北朝鮮に対して強硬な姿勢を見せる安倍晋三首相(※写真はイメージ)

北朝鮮に対して強硬な姿勢を見せる安倍晋三首相(※写真はイメージ)

 北朝鮮に対して強硬な姿勢を見せる安倍晋三首相。作家の室井佑月氏は「対話」を捨てた安倍首相を批判する。

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 長い引用だけど、あたしの言葉より説得力があるのでぜひ読んでほしい。ナチスのナンバー2だったヘルマン・ゲーリングの言葉だ。

<一般市民は戦争を望んでいない。貧しい農民にとって、戦争から得られる最善の結果といえば、自分の農場に五体満足に戻ることなのだから、わざわざ自分の命を危険に晒したいと考えるはずがない。当然、普通の市民は戦争が嫌いだ。しかし、結局、政策を決定するのは国の指導者であり、国民をそれに巻き込むのは、民主主義だろうと、ファシスト的独裁制だろうと、議会制だろうと共産主義的独裁制だろうと、常に簡単なことだ。意見を言おうと言うまいと、国民は常に指導者たちの意のままになるものだ。簡単なことだ。自分たちが外国から攻撃されていると説明するだけでいい。そして、平和主義者については、彼らは愛国心がなく、国家を危険に晒す人々だと公然と非難すればいいだけのことだ。この方法はどの国でも同じように適用するものだ>

 どう思った? あたしたちは、今、これをされているんじゃない?

 国連で演説した安倍首相は、北朝鮮への恫喝に終始した。「必要なのは対話ではなく圧力です」と述べて。

 隣国からの危険が迫れば、国民は力強いリーダーを求めるという。実際、北朝鮮のミサイルが飛んでくるたび、森友・加計学園問題でガタガタになっていた政権支持率が回復していった。


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