ろ過組織少ない…弱く、疾病リスク高い
腎臓の中にあって血液から毒素などを取り除く微細なろ過組織「ネフロン」の数について、日本人は欧米人より少ないことを初めて確認したと、東京慈恵会医大の神崎剛助教らの国際研究チームが米医学専門誌に発表した。数が少ないと腎機能が弱いとされ、慢性腎臓病や高血圧になりやすい。ネフロンは塩分の高い食事などで消失するため、研究チームは「日本人は生活習慣に気をつける必要がある」と指摘する。
日本は世界的に見ても慢性腎臓病の患者が多い。悪化して腎不全になる人も多く、約33万人が透析を受け、その医療費は年間計1兆4000億円以上になる。ネフロンの数が少ないことがこの背景にある可能性もある。
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研究チームは、死亡した65歳前後の日本人男性27人を病理解剖してネフロンの数を調べた。欧米人は腎臓1個で平均約90万個あるのに対し、腎臓病も高血圧もない9人は平均約64万個だった。高血圧患者9人は同約39万2000個、中程度の慢性腎臓病患者9人は同約26万8000個とさらに少なかった。【渡辺諒】