高橋まつりさんの母親の幸美さんは裁判のあと弁護士とともに記者会見し、用意した紙を読み上げ「社員に対する違法な働かせ方は犯罪であり、会社に責任があるということが証明されました。どんなに立派な仕事をしていたとしても労働基準法違反は許されない犯罪です。社員が過労死しなければ罰せられない、調査が入らなければ罰せられないという間違った認識で会社経営が行われることがないよう、引き続き労働局の監視を強化してもらいたいと思います」と涙ながらに訴えました。
幸美さんは労働者が死亡した場合の罰則が強化されるよう法律の改正を望むとしたうえで「日本全国でこのような悲惨な事例はいまだにたくさん起きています。そのつど企業は『二度と同じようなことを起こさない』という決意を表明されていますが、その言葉が空虚に思えるほど過労死は繰り返されています。すべての企業が労務管理を改善していただきたい。そして国は今までの多くの犠牲者を生んでいる異常事態を認識し、過労死をなくすための法律改正をしていただきたいと思います」と述べました。
このあとの質疑で幸美さんは、労災の認定を公表してから7日で1年になることについて「まつりの生きざまが多くの人に注目され、共感を呼び、世の中を動かすことになった。世の中を変えるのがどうしてまつりの死でなければならなかったのか。まつりには世の中が変わっていくときに生きてほしかったとそればかり考えています」と述べました。
幸美さんは今後も過労死をなくす活動に取り組んでいくということです。
電通 違法残業に罰金50万円の判決 東京簡裁
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大手広告会社「電通」が社員に違法な残業をさせたとして労働基準法違反の罪に問われた裁判で、東京簡易裁判所は「違法な長時間労働が常態化し、サービス残業がまん延していた」などと指摘し、罰金50万円の判決を言い渡しました。
電通は新入社員だった高橋まつりさん(当時24)が過労のため自殺したことをきっかけに捜査を受け、高橋さんなど社員4人に違法な残業をさせたとして労働基準法違反の罪に問われました。
検察は非公開の略式の手続きで電通を起訴しましたが、裁判所の判断で公開の法廷で審理されました。
判決で東京簡易裁判所の菊地努裁判官は「違法な時間外労働で尊い命が奪われる結果まで生じていることは見過ごすことができない」と指摘しました。
そのうえで「違法な長時間労働が常態化し、労働組合との協定の上限を超えていた従業員が毎月1400人ほどいた時期もあった。労働基準監督署から是正勧告を受けたあともオリンピック関連の受注を失うのを避けるために形式的な対応に終始し、労働時間削減の具体的な対応は従業員や部長任せでサービス残業がまん延していた。会社の刑事責任は重い」として、検察の求刑どおり法人としての電通に罰金50万円を言い渡しました。
最後に裁判官は「労働時間の改善計画が徹底されるのか社会全体が注目しています。業界を代表する会社として相応の役割を期待したい」と語りかけました。
判決のあと山本社長は、高橋まつりさんの母親が座っていた傍聴席に向かって一礼し、法廷をあとにしました。
検察は非公開の略式の手続きで電通を起訴しましたが、裁判所の判断で公開の法廷で審理されました。
判決で東京簡易裁判所の菊地努裁判官は「違法な時間外労働で尊い命が奪われる結果まで生じていることは見過ごすことができない」と指摘しました。
そのうえで「違法な長時間労働が常態化し、労働組合との協定の上限を超えていた従業員が毎月1400人ほどいた時期もあった。労働基準監督署から是正勧告を受けたあともオリンピック関連の受注を失うのを避けるために形式的な対応に終始し、労働時間削減の具体的な対応は従業員や部長任せでサービス残業がまん延していた。会社の刑事責任は重い」として、検察の求刑どおり法人としての電通に罰金50万円を言い渡しました。
最後に裁判官は「労働時間の改善計画が徹底されるのか社会全体が注目しています。業界を代表する会社として相応の役割を期待したい」と語りかけました。
判決のあと山本社長は、高橋まつりさんの母親が座っていた傍聴席に向かって一礼し、法廷をあとにしました。
まつりさんの母親「過労死なくすため法改正を」
高橋まつりさんの母親の幸美さんは裁判のあと弁護士とともに記者会見し、用意した紙を読み上げ「社員に対する違法な働かせ方は犯罪であり、会社に責任があるということが証明されました。どんなに立派な仕事をしていたとしても労働基準法違反は許されない犯罪です。社員が過労死しなければ罰せられない、調査が入らなければ罰せられないという間違った認識で会社経営が行われることがないよう、引き続き労働局の監視を強化してもらいたいと思います」と涙ながらに訴えました。
幸美さんは労働者が死亡した場合の罰則が強化されるよう法律の改正を望むとしたうえで「日本全国でこのような悲惨な事例はいまだにたくさん起きています。そのつど企業は『二度と同じようなことを起こさない』という決意を表明されていますが、その言葉が空虚に思えるほど過労死は繰り返されています。すべての企業が労務管理を改善していただきたい。そして国は今までの多くの犠牲者を生んでいる異常事態を認識し、過労死をなくすための法律改正をしていただきたいと思います」と述べました。
このあとの質疑で幸美さんは、労災の認定を公表してから7日で1年になることについて「まつりの生きざまが多くの人に注目され、共感を呼び、世の中を動かすことになった。世の中を変えるのがどうしてまつりの死でなければならなかったのか。まつりには世の中が変わっていくときに生きてほしかったとそればかり考えています」と述べました。
幸美さんは今後も過労死をなくす活動に取り組んでいくということです。
幸美さんは労働者が死亡した場合の罰則が強化されるよう法律の改正を望むとしたうえで「日本全国でこのような悲惨な事例はいまだにたくさん起きています。そのつど企業は『二度と同じようなことを起こさない』という決意を表明されていますが、その言葉が空虚に思えるほど過労死は繰り返されています。すべての企業が労務管理を改善していただきたい。そして国は今までの多くの犠牲者を生んでいる異常事態を認識し、過労死をなくすための法律改正をしていただきたいと思います」と述べました。
このあとの質疑で幸美さんは、労災の認定を公表してから7日で1年になることについて「まつりの生きざまが多くの人に注目され、共感を呼び、世の中を動かすことになった。世の中を変えるのがどうしてまつりの死でなければならなかったのか。まつりには世の中が変わっていくときに生きてほしかったとそればかり考えています」と述べました。
幸美さんは今後も過労死をなくす活動に取り組んでいくということです。
電通社長「正しいと思っていたこと 根本的に間違い」
判決後電通の山本敏博社長は「判決を厳粛に受け止めるとともに責任の重大さを改めて痛感し深く反省しています。高橋まつりさんとご遺族の方々には申し訳ない気持ちでいっぱいです。果たすべき社会的責任を果たせなかったことを社会の皆様にも心からおわびします」と述べました。
そのうえで「現在取りかかっている労働環境改革を必ず成し遂げます。その実行を通じて電通が働き方も働きぶりにおいても皆様から信頼してもらえる会社になることが社長の最大の責務だと考えています。法律を順守し過重労働を根絶し、労働環境をよいものにすることをおわびとともに約束させていただきます」と述べました。
さらに経営の影響について問われると「非常に重大な影響だと受け止めています。仕事に取り組んでいくやり方がこれまで正しいと思っていたこと、これがお客様のためになる、会社の成長になると思っていたことが根本的に間違っていました。時間を無尽蔵に使って社員の心身の健康を害すようなやり方で仕事をしていたと気づかされたことが、経営が受けた最も大きな影響だと考えています」と述べました。
そのうえで「現在取りかかっている労働環境改革を必ず成し遂げます。その実行を通じて電通が働き方も働きぶりにおいても皆様から信頼してもらえる会社になることが社長の最大の責務だと考えています。法律を順守し過重労働を根絶し、労働環境をよいものにすることをおわびとともに約束させていただきます」と述べました。
さらに経営の影響について問われると「非常に重大な影響だと受け止めています。仕事に取り組んでいくやり方がこれまで正しいと思っていたこと、これがお客様のためになる、会社の成長になると思っていたことが根本的に間違っていました。時間を無尽蔵に使って社員の心身の健康を害すようなやり方で仕事をしていたと気づかされたことが、経営が受けた最も大きな影響だと考えています」と述べました。
電通「判決を厳粛に受け止める」
電通は「判決を厳粛に受け止めています。法令遵守の徹底、過重労働の撲滅、労働環境の改善に向けた抜本的な改革に全社を挙げて取り組み、『働き方も働きぶりも信頼される会社』を目指します」というコメントを出しました。
電通 違法残業に罰金50万円の判決 東京簡裁
大手広告会社「電通」が社員に違法な残業をさせたとして労働基準法違反の罪に問われた裁判で、東京簡易裁判所は「違法な長時間労働が常態化し、サービス残業がまん延していた」などと指摘し、罰金50万円の判決を言い渡しました。
電通は新入社員だった高橋まつりさん(当時24)が過労のため自殺したことをきっかけに捜査を受け、高橋さんなど社員4人に違法な残業をさせたとして労働基準法違反の罪に問われました。
検察は非公開の略式の手続きで電通を起訴しましたが、裁判所の判断で公開の法廷で審理されました。
判決で東京簡易裁判所の菊地努裁判官は「違法な時間外労働で尊い命が奪われる結果まで生じていることは見過ごすことができない」と指摘しました。
そのうえで「違法な長時間労働が常態化し、労働組合との協定の上限を超えていた従業員が毎月1400人ほどいた時期もあった。労働基準監督署から是正勧告を受けたあともオリンピック関連の受注を失うのを避けるために形式的な対応に終始し、労働時間削減の具体的な対応は従業員や部長任せでサービス残業がまん延していた。会社の刑事責任は重い」として、検察の求刑どおり法人としての電通に罰金50万円を言い渡しました。
最後に裁判官は「労働時間の改善計画が徹底されるのか社会全体が注目しています。業界を代表する会社として相応の役割を期待したい」と語りかけました。
判決のあと山本社長は、高橋まつりさんの母親が座っていた傍聴席に向かって一礼し、法廷をあとにしました。
まつりさんの母親「過労死なくすため法改正を」
電通社長「正しいと思っていたこと 根本的に間違い」
判決後電通の山本敏博社長は「判決を厳粛に受け止めるとともに責任の重大さを改めて痛感し深く反省しています。高橋まつりさんとご遺族の方々には申し訳ない気持ちでいっぱいです。果たすべき社会的責任を果たせなかったことを社会の皆様にも心からおわびします」と述べました。
そのうえで「現在取りかかっている労働環境改革を必ず成し遂げます。その実行を通じて電通が働き方も働きぶりにおいても皆様から信頼してもらえる会社になることが社長の最大の責務だと考えています。法律を順守し過重労働を根絶し、労働環境をよいものにすることをおわびとともに約束させていただきます」と述べました。
さらに経営の影響について問われると「非常に重大な影響だと受け止めています。仕事に取り組んでいくやり方がこれまで正しいと思っていたこと、これがお客様のためになる、会社の成長になると思っていたことが根本的に間違っていました。時間を無尽蔵に使って社員の心身の健康を害すようなやり方で仕事をしていたと気づかされたことが、経営が受けた最も大きな影響だと考えています」と述べました。
そのうえで「現在取りかかっている労働環境改革を必ず成し遂げます。その実行を通じて電通が働き方も働きぶりにおいても皆様から信頼してもらえる会社になることが社長の最大の責務だと考えています。法律を順守し過重労働を根絶し、労働環境をよいものにすることをおわびとともに約束させていただきます」と述べました。
さらに経営の影響について問われると「非常に重大な影響だと受け止めています。仕事に取り組んでいくやり方がこれまで正しいと思っていたこと、これがお客様のためになる、会社の成長になると思っていたことが根本的に間違っていました。時間を無尽蔵に使って社員の心身の健康を害すようなやり方で仕事をしていたと気づかされたことが、経営が受けた最も大きな影響だと考えています」と述べました。
電通「判決を厳粛に受け止める」
電通は「判決を厳粛に受け止めています。法令遵守の徹底、過重労働の撲滅、労働環境の改善に向けた抜本的な改革に全社を挙げて取り組み、『働き方も働きぶりも信頼される会社』を目指します」というコメントを出しました。