全米ライフル協会、銃改造部品の新たな規制求める
銃規制強化に反対する団体、全米ライフル協会(NRA)は5日、ラスベガスで起きた銃乱射事件でスティーブン・パドック容疑者が使用した「バンプストック」と呼ばれる銃改造部品に対する新たな規制を求めた。
NRAは、「半自動小銃が自動小銃のように機能できるようにする装置に対しては、追加的な規制が設けられるべきだ」とし、「これらの装置が連邦法に合致しているか、すぐに検討されるべきだ」と述べた。
与党・共和党は長年にわたりあらゆる銃規制に反対してきたが、今回はバンプストックの禁止を検討すると表明している。
連邦議会ではバンプストック禁止法に関する公聴会が開かれる予定で、審議が進む見通し。
NRAによる発表後、ドナルド・トランプ米大統領は記者団に対し「短期間のうちに」装置を禁止するかどうか考えると述べた。
NRA幹部のウェイン・ラピア、クリス・コックス両氏は、連名の声明で、「ラスベガスでの邪悪で無意味な攻撃の後、どうすれば悲劇が将来起きないようにできるのか米国民は答えを探している」と述べた。
両氏は「頭のおかしい男による犯罪行為に基づいて、法に従う米国人に銃を禁止するのは将来の攻撃の予防に何ら役立たない」とし、銃規制を訴える政治家たちを批判した。
死者58人負傷者500人近くを出したラスベガスの事件以来初となった今回のNRA声明は、バンプストックがバラク・オバマ前大統領の政権時に、アルコール・たばこ・火器爆発物取締局(ATF)によって承認されていたと指摘した。
声明発表直後に記者団と話したサラ・サンダース大統領報道官は、「(共和・民主)両党議員や複数の団体がバンプストックを検討する予定だ。我々は歓迎するし、議論に参加したい」と語った。
NRAの声明はさらに、銃を携帯して州間を自由に行き来できるようにする法律の可決を議会に求めた。法案は団体が長らく擁護してきたもので、州ごとに銃規制が違うなかで、地元で銃所持の許可を得ている人物がより厳格な規制がある州にも銃を持って行けるようにするのが狙い。
銃のサイレンサー(消音器)の規制緩和にもNRAは力を入れているが、ラスベガスでの事件を受け下院の共和党議員らは法案を取り下げた。
4日には、民主党のダイアン・ファインスタイン上院議員(カリフォルニア州選出)がバンプストックの禁止法案を提出。共和党のカルロス・カーベロ下院議員(フロリダ州)は記者らに対し、共和党案が5日中にも提出される可能性があると語った。
カーベロ議員は、事務所には法案に関心を示す議員たちから電話が「殺到」しているとし、超党派での合意が形成されつつあると述べた。同議員は「分別のある銃政策という点で、大きな進歩が目前にあると思う」と話した。
バンプストックには、バンプファイア・ストック、サイドファイア・アダプターとも呼ばれ、購入には自動小銃のような詳細な身元確認を必要としない。
ラスベガスの事件のスティーブン・パドック容疑者は乱射に使用した12丁のライフルにバンプストックを装着していた。
バンプストックは通常200ドル(約2万2500円)以下で売られており、関連企業の広告によると、わずか7秒で100発近くの高速弾を撃つことができる。
バンプストックの製造で大きな市場シェアを持つスライド・ファイア社は、ラスベガスでの事件以降「非常に大きな需要があったため」売り切れ状態になっていると述べた。
(英語記事 Las Vegas shooting: NRA urges new rules for gun 'bump-stocks')