今年のノーベル文学賞は、長崎市生まれの英国人小説家カズオ・イシグロ氏(62)に決まり、各地の書店では早くも特設コーナーの準備が始まった。
日本出身の作家としては1968年の川端康成、94年の大江健三郎氏に次ぎ3人目、23年ぶりの受賞となり、関係者は今後の売れ行きを期待する。
81年の短編小説を皮切りに、82年、英国に在住する長崎出身の女性の回想を描いた長編小説「遠い山なみの光」で王立文学協会賞、86年には「浮世の画家」でウイットブレッド賞を受賞。89年には「日の名残り」で、英国で最も権威がある文学賞、ブッカー賞に選ばれた。貴族に仕えた執事の苦悩を描いた同作品は93年に映画化。2005年に発表した「わたしを離さないで」は世界的なベストセラーになった。最新作は15年の長編「忘れられた巨人」。
神戸市中央区のジュンク堂書店三宮店店長の朝野道則さん(51)は「予想はしていなかったが、言われてみれば、納得できる作家。日本でも根強いファンがおり、いつも一定の在庫を置いておかないといけない。日本にもゆかりがあるので関心を持って作品を手に取る人が増えるのでは」と話す。