同社は本年6月4日、日本における腰椎椎間板ヘルニアを対象とするコンドリアーゼの第Ⅲ相臨床試験結果を発表した。
163名の患者を対象として行われた多施設共同プラセボ対照二重盲検比較試験で、顕著な下肢痛の改善効果が認められた。
下肢痛が50%以上改善した症例の割合は72.0%で、身体的な機能障害および「生活の質」(QOL)の評価スコアの変化量も有意に大きく、機能障害およびQOL の改善が認められた。試験責任研究者の北里大学北里研究所病院副院長は、「コンドリアーゼの下肢痛改善効果はヘルニア摘出術と同程度で、大きな副作用も生じずに忍容性も良好であった。保存療法無効の腰椎椎間板ヘルニア患者に対する有力な新規治療法となり得る」と述べ た。
腰椎椎間板ヘルニアは、椎間板の中心部分にある髄核や外側の線維輪の一部が突出することで脊椎周辺の神経を圧迫し、痛みやしびれを引き起こす疾患である。
ヘルニア(hernia)とは、体内の臓器などが、 本来あるべき部位から脱出した状態を指す。 鼠径ヘルニア=脱腸 |
治療法には、手術をする方法と、保存療法(鎮痛剤薬、神経ブロック注射、温熱療法、牽引療法等)がある。
現在、腰椎椎間板ヘルニアについて根本治療となる薬物療法は他に存在しない。
コンドリアーゼは、髄核の構成成分であるグリコサミノグリカン(GAG:コンドロイチン硫酸やヒアルロン酸等)を特異的に分解するコンドリアーゼという酵素を利用した注射薬で、椎間板内に直接投与することにより、GAGを分解して髄核を縮小させることで、神経への圧迫を減少させる効果が期待される。
タンパク質を分解しないため、血管や神経などの周辺組織に影響を与えないとされる。
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なお、椎間板ヘルニアや黄色靱帯(脊柱管の後方にある椎弓の間を結ぶ靱帯)が厚くなることで脊柱管を圧迫して狭くし(狭窄)、それによって脊柱管のなかの神経が圧迫を受けるのが脊柱管狭窄症である。
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